書籍・雑誌

2017年8月 5日 (土)

最高のパフォーマンスを発揮する! 疲れない身体を作るコンディショニング法 (山崎みゆき著 スターティアラボ)

健康ものです。気軽に読め、かつ、いくつかの発見がありました。

『・・・何もしなくても健康で元気な身体でいることができるのは、20代までです。
・・・私たちの身体は、37兆2000億個の細胞から成り立っています。もちろん脳も細胞からできていますので、細胞が変われば脳が変わり、脳が変われば思考が変わります。思考が変われば行動が変わります。行動が変われば今まで自分を取り囲んでいた環境が変わります。私たちの細胞は今この時から、約半年ですべてが入れ替わると言われています。半年後は違う自分になっていることが可能なのです。
・・・きちんとした見た目、清潔感のある見た目、血色がよく笑顔な表情はまわりに安心を与えます。
・・・飲食店、コンビニの利用で陥りやすい栄養失調が、「炭水化物過多」「タンパク質不足」「ビタミン、ミネラルの欠乏」「質の悪い油の摂取」です。
・・・そのタンパク質も一つ一つの細胞の集まりです。その細胞は、細胞膜という膜で覆われていて、その膜を通して細胞は血管から栄養を受け取っています。その膜が何からできているのかというと、油なのです。良い油を摂れば、一つ一つの細胞が良い細胞になり、膜が柔らかいため栄養の交換もスムーズです。しかし、ここで悪い油で膜を作ってしまうと膜が固くなってしまうため、血管からの栄養の交換がうまくいかず、栄養失調な細胞になってしまいます。
・・・私たちの身体を構成しているもので一番多いのは水分です。その次に何が多いのかというとタンパク質です。残りは何かというと、皆さんは健康診断などで体脂肪率を測りますよね。あれは身体の何%が脂肪ですよということなのです。皆さんはいくつくらいでしょうか?男性ですと、14~20%くらい、女性ですと20%~25%の方が適度だと言われています。
・・・糖質は、適量を食べれば身体のエネルギーの材料になる大切な栄養素です。しかし、食べ過ぎると余った二つの余計なものに変わってしまいます。まず一つ目の余分なものは脂肪です。そしてもう一つ、何になるのかというと【疲労物質】となって身体に蓄積されてしまいます。
・・・代謝のサイクルで大切なのが血液です。血液が細胞に酸素や栄養を届けてくれることで、エネルギーサイクルがきちんと回ります。・・そのエネルギーの元になるが糖質と脂質です。
・・・少なくとも一日に最低でも100gの糖質を摂らないと思考が低下し、考える能力が低下してしまいます。糖質100gというと、これはごはん茶碗2杯分くらいの量になります。
・・・タンパク質という言葉はギリシャ語で、「第一のもの」という語源からできた言葉。そのくらい大切な栄養素です。そして、身体のもっとも大切な部分の構成の大半を占める栄養素です。それは「脳」です。私たちの脳の約4割は、タンパク質でできています。良質なタンパク質を食べないと、まず身体以前に脳が働いてくれません。
・・・糖質がエネルギーに変わるためには、「ビタミンB1」が必要です。・・糖は適度な量を摂り、そしてビタミンBでしっかりエネルギーに変える。これが大切なことなのです。・・脂質を代謝してエネルギーに変えるためには、「ビタミンB2」が必要になってきます。皮膚や髪などの成長を促すので、若々しい外見を保つにも欠かせないビタミン!
・・・健康な身体になるには食べること、このようにビタミンB群を含む動物性のタンパク質の食品を食べることがとても大切なのです。・・健康維持のためには動物性のものからしか摂取できないビタミンBあります。それは、ビタミンB12というものです。・・ビタミンB12はエネルギーを作り出す代謝にかかわるのはもちろんのこと、血液の中で酸素を運ぶ大切な役割のある赤血球を合成してくれます。食べ過ぎは良くはありませんが、動物性のタンパク質もある程度摂らないと不健康な身体になってしまいます。
・・・ミトコンドリアの数が多ければ多いほどエネルギー生産が高い・・このミトコンドリアがどこの細胞に多く存在しているのかというと、「筋肉」の細胞の多く存在しているのです。ですから、筋肉組織が増えればミトコンドリアも増え、エネルギーを多く作り出せる身体になります。
・・・私たちの脳は4割がタンパク質でしたが、残りの6割が何でできているのかというと、実は脂質でできているのです。・・特に気を付けて頂きたいのが、トランス脂肪酸と呼ばれる加工された油。これは、マーガリン、ショートニング、パン、ケーキなど多くの加工品に含まれ、食品が酸化しにくいように食品の加工の過程で発生する有害物質です。アレルギーの原因になったり、身体を傷つける活性酸素を発生させるので、できるだけ避けて方が良い食品です。・・不飽和脂肪酸は善玉コレステロールを増やしてくれる効果があり、健康には必要な油であると最近はブームになってきていますね。これは、サンマ、サバ、アジなどの青魚の油です。植物性ですとエゴマ油やアマニ油などがあります。
・・・脳の神経間の連絡を取り合う役割のある神経伝達物質「セロトニン」。この物質は腸内で約90%作られており、これが無いと脳の情報伝達が上手くいかなくなってしまうため、仕事の効率が上がるには重要なホルモンです。また、セロトニンは幸福ホルモンや満腹ホルモンとも呼ばれているため、私たちの精神状態や食欲に大きくかかわっています。
・・・一日にどのくらい必要かというと、男性は約60g、女性は約50g必要だと言われています。(自分の体重からKを抜いたg)
・・・手軽に食べてもタンパク質補給ができるのが、卵の魅力
・・・この活性酸素を除去するパワーのことを抗酸化力といいます。抗酸化力が高い方は、身体の中にビタミンA・C・Eがたくさん蓄えられている方です。では、何を食べればよいのかというと、トマト、ニンジン、ホウレンソウ、ブロッコリー、小松菜などの色の濃い緑黄色野菜と言われる野菜です。中でも抗酸化力が高くて一番のおすすめはブロッコリーです。
・・・朝はできるだけタンパク質が補給できる卵や、繊維分の多い納豆や豆腐、野菜を食べ、お昼や夜ご飯の際は、まず初めに野菜や繊維分を食べてください。
・・・お酒を飲んだ後におすすめなのがカテキンです。カテキンは緑茶、カカオ、リンゴに多く含まれていて、お酒によって生まれた活性酸素を除去してくれる抗酸化食材でもあります。また、アルコールや油ものから胃の粘膜を守ってくれる役割もあります。
・・・古くなって油、加工されたトランス脂肪酸のような油は、悪い細胞を作りだして身体を傷つけてしまいます。・・良い油を摂るというのは難しいので、まずは外食では【揚げものを食べない】ことをお勧めします。
・・・生の青魚には「良い油」が沢山含まれています。DHAやEPAといった油は、質の良い細胞やホルモンを作ってくれたり、血中のコレステロール値を下げてくれたり、血流を促してくれたりする優れた食材です。ただ、この油は熱に弱いので、できるだけ生で食べることをお勧めします。さらに魚介類には、亜鉛が多く含まれているためタンパク質の合成や、遺伝子情報物質DNAの合成をサポートしてくれます。
・・・オリゴ糖というと甘いイメージですが、野菜に多く含まれています。ゴボウ、白ネギ・玉ネギはオリゴ糖と食物繊維がどちらも豊富に含まれているのでお勧めです。・・大豆は良質なタンパク質源でありながら、オリゴ糖まで摂ることができる優れた食材です
・・・コンビニ弁当や外食で心配なのが保存料、着色料などの添加物です。
・・・理想は一日の中でご飯はお茶碗2杯分(他に甘いものなど間食をするかしないかでも変わってきます)、タンパク質は毎食手のひら一枚分で動物性と植物性両方を摂る、繊維とビタミン群が摂れる野菜はなるべく食べることです。
・・・ぴんぴんころり、つまり老衰で亡くなる方がどのくらいの割合かご存知でしょうか?死亡原因のたった4%の割合だと言われています。』

2017年8月 4日 (金)

飛田の子 遊郭の街に働く女たちの人生 (杉坂圭介 徳間書店)

前に掲載した「飛田に生きる」の続編です。私自身いい年をしていますが、これまで知らない面を教えてもらいました。

『・・・私も危険覚悟で客を装い、飛田で働けそうな子をほかの風俗店やキャバクラから引き抜くしかありません。・・引き抜きがばれた場合、強請(ゆす)られたり、拉致されたり、大変な目に遭うからです。
・・・女の子の心が揺れ動き始めたらあとは押さずに引きの姿勢で待った方がスカウトの成功率が上がります。・・あとの判断は当人に任せることが重要です。警察に「スカウトで入った」と言わせない、思わせないのが、飛田で生きてための必須テクニックなのです。
・・・彼女たちは冷静に自分のポジションを認識しています。これは女性特有の納涼といってもいいかもしれません。少なくとも私の見てきた飛田の女の子たちの大多数は、自分を過大評価することはありませんでした。
・・・何事もなかったようにふるまっていましたが、心のどこかに暗い気持ちを抱えているとお客さんには伝わるものです。
・・・飛田の売れっ子の寿命の一年と言われています。絶頂期間が三か月から半年近くあって、残りは浮いたり沈んだり。そして一年たったら普通の「飛田の子」に戻る。
・・・幸せをつかむためには、飛田と決別しなければならないのです。この世界、入るのは簡単ですから出るのは難しい。短期集中で稼げる魅力はいつまでも女の子たちのなかに残り続け、ふとしたきっかけで「飛田」という選択肢がよみがえってくるのです。』

2017年8月 1日 (火)

儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇 (ケント・ギルバート著 講談社)

儒教についてある程度は知っているつもりでしたが、米国人の著者の論に教わるところはたくさんありました。

『・・・アメリカという土地で暮らしていると、私だけでなく多くのアメリカ人の目には、日本と「特亜三国」のあいだには、大きな違いがないように映ります。

・・・最近の外交問題を見ても、「特亜三国」の非常識ぶりは際立っていますが、その源泉は儒教に由来するというのが本書の主張です。「儒教の呪い」に支配されたままなのが、「特亜三国」、つまり中国、韓国、北朝鮮なのです。
・・・この儒教文化こそ、中国大陸を支配する王朝が次々に生まれては消えた長い歴史の中で、そこに住む人民を、そして周辺の国々を苦しめてきた、元凶の一つと言っても過言ではないのです。なぜなら儒教こそが、いまなお漢民族のエリート層を中心に根強く残っている「中華思想」と、密接につながっているからです。中華思想では、中国の皇帝こそが世界の中心であり、そこから離れた地域は未開の地そ、そして、そこに住む人々は禽獣にも等しいと考えます。中心に近ければ近いほど先進的で優れており、遠ければ遠いほど未開で野蛮なのだと、何の根拠もなく無条件に決めつけているのです。・・中華思想の下では、世界のすべては中国皇帝の所有物であるとも感がえます。
・・・「私」や「一族」の利益のためなら、法律を犯すこともよしとする風潮へと変化していったのです。今日、中国が世界の中でも特異な価値観を持ち、国際社会からの孤立を深めているのも、この価値観が大きな要因となっているわけです。つまり彼らが、国際法という公のルールを守ることよりも、「自国だけの利益」を、いや、実際には共産党幹部や軍の将軍が、「自分とその一族の利益だけ」を守ることの方が重要だと考えているからです。
・・・中華思想に基づく自らの主張が、たとえ史実や世界の常識に反していても、決して自らの過ちは認めないのが中国人。「中華民族(=漢民族)は店名を受けた地球の支配者なのだから、どこで何をしても許される」と本気で考えています。つまり、彼らの頭の中には、「過ち」という概念自体が存在しないのです。
・・・彼らは、息をするように嘘をつきますが、そこには罪悪感は微塵もありません。「騙す方より騙される方が悪い」と考えているからです。また、「公」よりも「私」を優先するので、国家への忠誠心もありません。・・大和総研が発表したデータによると、2008年に中国全体で受け渡された賄賂の合計は116兆円近くにも上るとのこと・・・・・・なんと中国のGDP(国内総生産。あくまで公式発表の数値)の30%を占めたのです。
・・・中国中央テレビ局(CCTV)は、「習近平国家主席はトランプ氏と電話会談を行って祝意を伝えた」と報じたのです。トランプ氏側は公式に「その事実はない」と主張しています。これは明らかに、中国政府が大国としての面子を保つ目的で、国内向けにうそを報じたのでしょう。トランプ氏としては、「中国人は嘘つきだ」という現実を目の当たりにしたところから米中外交をスタートできたので、とても幸運だったかもしれません。中国の長い歴史は、そのほとんどが戦乱の時代でした。戦乱の時代に勝ち抜き、生き残るためには、謀略やプロパガンダは許される---そういう風土が育ったのです。
・・・中国人の一つの特性に、「現生され楽しめればいい」という価値観があります。これはさらに拡大して、将来のことはどうなるかわからないから、いまさえ、この瞬間さえよければ問題ないという考え方になり、さらに自己中心主義にもつながっていきます。
・・・中国共産党は、蒋介石が率いた国民党との「国共内戦」には、確かに勝利しました。しかし、共産党が「抗日戦争」に勝利したという話は歴史的事実に反するため、彼らの主張はいつも虚偽に満ち溢れています。
・・・韓国問題に詳しい評論家の室谷克実氏の表現を借りれば、韓国人は「優れた属国DNA」を持っているそうです。つまり、「虎の威を借る狐」の役をやらせたら、韓国の右に出るものはいないということです。
・・・日本がポツダム宣言を受諾して第二次世界大戦を終結したのは1945年です。では、中華人民共和国の建国は?繰り返しになりますが、1949年です。正式に国家同士で交戦したのは、大日本帝国と中華民国(国民党政府)であって、中華人民共和国(共産党政府)ではありません。中華人民共和国などという国は、戦時中には存在しなかったのです。だから「戦勝国」にはなれません。
・・・現代の人民解放軍の兵士は、いまや「一人っ子政策」の第二世代の若者なので、両親や両方の祖父母(計六人)から「お前は唯一の跡継ぎなのだから絶対に死ぬな」といわれて軍人になるそうです。もし本当の戦争になったとしたら、人民解放軍の脱走率はかなり高いものになるかもしれません・・そして、本島に救いようがないのが韓国です。戦時中の朝鮮民族は日本の統治下にあって、全員が日本国籍を有し、大和民族とともに日本の勝利のために戦ったにもかかわらず、日本が戦争に負けるとあっさり裏切ったうえに戦勝国ヅラ・・・・。しかも韓国内では、「韓国は日本に独立戦争を挑み独立を勝ち取ったというのが共通認識なのだそうです。信じがたいことに、これは韓国の歴史教科書にも書かれていることなので、ほとんどの韓国人が信じているようです。少なくともこの地球の歴史にはまったく存在しない事実ですから、きっと韓国人は異次元の世界から迷い込んだ民族なのでしょう。・・実際には、志願兵の入隊試験に落ちて絶望し、自殺した若者も出るくらい、帝国軍人になることは当時の朝鮮男性の憧れでした。・・戦後、李承晩政権がサンフランシスコ平和条約に戦勝国として参加させてもらえるよう連合国に求めましたが、当然、この要望は却下されました。「韓国は戦勝国ではない」という歴史的事実は、ここで確定しています。
・・・かつて宮澤喜一総理や河野洋平官房長官が、ろくに事実関係を確認せずに謝罪したのは大失態です。
・・・アメリカでは、韓国の告げ口外交は、明白に外交儀礼に反する行為という見方をしていました。・・世界の常識からみれば異常な告げ口外交行も、朝鮮民族のあいだでは、古くからみられる行動パターンなのだそうです。
・・・セウォル号が沈没し、多くの若者が犠牲となった悲劇のあと、韓国を訪れたローマ法王フランシスコ卿は、「韓国がこのセウォル号の悲劇を道徳的(倫理的)、霊的(精神的)に生まれ変わるための機会としてとらえることを望む」と発言しています。ローマ法王は、このセウォル号事件を単なる一人の船長の犯罪というレベルではなく、韓国人すべてに根づいた病巣の表れだと見抜いているのです。
・・・天皇陛下訪英時のブレア首相は、「忘れはしないが、そうした感情が日英関係を損なうのはよくない」との見解を述べ、未来志向の日英関係を強調しています。いつまで経っても「謝罪しろ、補償しろ」など、根拠のないことで騒ぎ立てる品性の劣る国々とは違い、イギリスは紳士の国であり、騎士道精神の国であると思います。
・・・モンゴル人が建国した元が日本に侵攻した「元寇」には、属国である高麗軍、すなわち韓国人の先祖が加わっていました。そして彼らは、対馬の住民を大量虐殺しています。それからまだ1000年経過していませんが、韓国がこの件に関して公式に謝罪したことがあるでしょうか。
・・・利他の精神---自分よりもまず他人のことを考えるという日本人の美徳そのものが、ノーベル賞を数多く受賞している最大の要因だと、アメリカ人の私には思えるのです。そしてこの利他の精神は、自己中心主義の中国人や韓国人には、まったく存在していません。常に自分自身と身内の利益しか考えていないのです。
・・・嫉妬心や執着心は誰にでも多少はあるものです。しかしその病的なレベルについていえば、韓国人が世界一だと思います。韓国人が持つ異常な競争心、嫉妬心は、同じ韓国人にも向けられるといいます。これは儒学の流れを汲む朱子学の影響が強いようです。朱子学は物事を「正」と「邪」に明確に分けるので、上下のランク付けで負けてしまった方は「邪」ということになり、精神的にとても耐えられないのだそうです。韓国が大変な競争社会で、受験や出世競争がとても厳しい原因も、儒教思想に根差したいるというわけです。
・・・反日活動を激化させる中国人や韓国人は、特に歴史問題においては、「歴史を直視しろ」「歴史を改竄するな」と声高に叫びます。しかし歴史を改竄してきたのは、むしろ中国や韓国の方です。
・・・sの前方後円墳は、日本のそれよりも新しい時代に造られた墳墓であることがわかってきました。しかも、どうやら埋葬されていたのは倭人(日本人)・・そこで韓国側調査隊は、日本側に発表を待ってくれと頼んだそうです。そして、「朝鮮の豪族に仕えていた日本人家臣の墓」という発表を一方的にやってしまった。果たして家臣が前方後円墳まで造ってもらえるのかどうか、素人でも疑問がわくところですが、その後、調査はどこまで進んだのかは不明ですが、古墳は元通りに埋め戻されてしまいました。その前方後円墳がどういう意味合いのものかは明確には分かりません。ただ、韓国側にとって都合が悪くなると、とにかく隠ぺいしよう、見なかったことにしようという、明確な意思があることは分かります。・・日韓双方の研究者の意見が対立したとき、日本人研究者が、「資料をご覧になってください」と発言すると、韓国側研究者は興奮して立ち上がり、「韓国に対する愛情はないのかーっ!」と怒鳴ったのだそうです。
・・・日本大使襲撃で名を上げた犯人の政治団体に、資金援助をする団体がいくつか現れたこと問題です。これでは韓国は、テロ支援国家と呼ばれても仕方がありません。
・・・中国で生き残った儒教からは、「仁・義・礼・智・信」といった道徳的な思想が抜け落ちてしまいました。これには、もはら偽善的な意味しか残っていない。そのため中国では、皇帝を筆頭とする支配者層から見た場合、庶民は単に管理する対象でしかありませんでした。朝鮮に至っては、両班制度から見てもわかるように、庶民とは搾取する対象でしかありません。一方、日本では「信・義・礼・智・信」といった儒教の精神を引き継ぎ、道徳心を大事にしてきました。江戸時代以降の武士道は、支配者層であった武士が自らを律する道徳規範として成立しましたが、庶民はそんな武士を尊敬し、あこがれも抱いていたので、やがて日本人全体の精神として、生活の中に浸透していったのです。
・・・「孝」を重んじる儒教の呪いがかかった中国や韓国では、身内や親族を大事にするあまり、「公」の心が希薄になりました。政治家や起業家が親族ばかりを重用したがるのは、この「公」に対する意識が希薄だからでしょう。
・・・韓国(朝鮮半島)は中国文化の経由地に過ぎず、日本が韓国文化の影響を受けた形跡が薄いのですが、韓国人はそうは思っていないようです。彼らにとっては、自分たちの民族が満足できる「物語」のほうが重要であって、歴史的事実は二の次ですから
・・・相手が、「漢字はわれわれが教えてやったのだ」などと優越意識も露わに臨んできたら、冷静に反論すればいい。それだけの話です。日本人は昔から、世界中から輸入したものに独自の改良を加えてオリジナルを上回るものへと進化させることが得意な民族です。禅やラーメンなども発祥は中国かもしれませんが、いまでは世界中の人々が「日本のもの」だと考えています。劣化コピーではなく、オリジナルを完全に凌駕しているのですから、卑下すべきことは何もありません。・・「こちらが譲歩すれば相手も譲歩してくれる」---これは「和」を尊ぶ日本人の特徴的な思考回路です。日本人同士であればこの思考は確かにうまく機能しますし、人間関係も円滑になります。しかし、国際交渉、とりあけ外交は、この思考が通用しないと、しかと肝に銘じるべきです。
・・・武士道の日本の価値観では、相手の弱点を突くことはあまり褒められたものではありません。ただしこの価値観は、やはり国際舞台では通用しない。「郷に入れば郷に従え」を肝に銘じるべきです。
・・・黙っていたら「黙認」、すなわち「黙って認めた」ことになるからです。ただし、彼らと同じように感情的にはならず、そして卑怯な手段も使うことなく、冷静かつ紳士的に行うことです。
・・・スイス政府は冷戦時代に「民間防衛」(邦訳:原書房)という冊子を作成し、各家庭に配布しました。そこには「武力を使わない情報戦」という手順が書かれています。第一段階 工作員を政府中枢に送り込む  第二段階 宣伝工作-メディアを掌握し、大衆の意識を操作する  第三段階 教育現場に入り込み、国民の「国家意識」を破壊する  第四段階 抵抗意識を徐々に破壊し、「平和」や「人類愛」をプロパガンダに利用する  第五段階 テレビなど宣伝メディアを利用し、「自分で考える力」を国民から奪っていく  第六段階ターゲット国の民衆が無抵抗で腑抜けになったとき、大量植民で国を乗っ取る
・・・「改正の拒否を前提とした法律は、無効である」という近代法の精神があります。
・・・「平和を願う憲法」です。ところでこの憲法、誰に対して平和を願っていますか?かつてはソ連、現状であれば中国と北朝鮮です。どちらも自国民の人権はおろか、人命ですら尊重しない国々です。どうして外国である日本や日本人のことを尊重してくれると思えるのでしょうか。何の根拠もない楽観主義には驚かされます。』

2017年7月29日 (土)

天才 (石原慎太郎著 幻冬舎)

かつての政敵の手による著作であることもあり、田中元首相に対する印象が大きく変わりました。また、著者の目を通した世の中の見方にもハッと思わされるところがありました。

『・・・金の貸し借りというものが人間の運命を変える、だけではなしに、人間の値打ちまで決めかねないということをその時悟らされてような気がした。以来、俺は人から借金を申し込まれたら、できないと思ったときはきっぱりと断る、貸すときは渡す金は返ってこなくてもいいという気持ちで何もいわずに渡すことにしてきた。その流儀は今でも変わりはしない。手元を離れた金はもう一切俺に関りがないということだ。
・・・後年、俺が上京するとき、母親は三つのことをいってくれたものだった。「大酒は飲むな。馬は持つな。できもしないことはいうな」と。その言葉は今も忘れずにいる。
・・・何だろうと土方という、この世で一番末端の仕事をしている人間たちの力こそが、この世の中を結果として大きく変えていくのだという実感があった。
・・・この世をすべてしきっているのは、大なり小なりお上、役人たちが作っている縦の仕組みなのだ。
・・・政治家には先の見通し、先見性こそが何よりも大切なので、未開の土地、あるいは傾きかけている業界、企業に目をつけ、その将来の可能性を見越して政治の力でそれに梃子入れし、それを育て再生もさせるという仕事こそ政治の本分なのだ。
・・・福田外務大臣時代に厄介なことが起こった。ドルショックとアメリカの日本を無視した頭越しの中国への大接近だ。特にアメリカの日本を無視した頭越し外交は日本にとって大屈辱だった。沖縄返還をとりつけ鼻の高かった佐藤の面子は丸潰れで憤懣やるかたなかったに違いない。言い換えれば福田外交の大失態だった。これは福田の責任というより、もともと無能で腰抜けの外務省という役所の限界の露呈としか言いようがない。
・・・政治の出来事には表のお降り一遍ではすまぬことが多々ある。要は商売の取引の兼ね合いに似ていることが多い。駆け引きには裏があり、そのまた裏の裏が必ずしも表ではなしにまた違う裏ということさえあるのだ。そこらの駆け引きは口で説明しても埒が明かず、あとは目をつむってやってのけるしかないこともある。
・・・誰か相手を選ぶときに大事なことは、所詮人触りの問題なのだ。・・特に身近な相手にかかわる冠婚葬祭には腐心し手を尽くしてきた。何よりも人間にとって生涯たった一度の死に関する行事である葬式の折には精一杯の義理を果たしてきた。・・「たとえ見知らぬ者でも、その人間の一生の意味や価値は傍には計り知れぬものがあるに違いない」といったそうな。なるほどなと俺は思ったものだったが。
・・・他人の冗談には笑って感心してやるのが何よりなのだ。
・・・ロッキード事件という日本の司法を歪めた虚構を知りつつ、それに加担した当時の三木総理や、トライスターなどという事例よりもはるかに大きな事件の山だった対潜哨戒機P3C問題を無視して逆指揮権を発動し、それになびいた司法関係の責任者たちこそが売国の汚名のもとに非難糾弾されるべきだったに違いない。
・・・古参のアメリカ人記者が、アメリカの刑法では許される免責証言なるものがこの日本でも適用され、それへの反対尋問が許されずに終わった裁判の実態に彼等のすべてが驚き、この国の司法の在り方に疑義を示していたのを覚えている。そして当時の私もまた彼に対するアメリカの策略に洗脳された一人だったことを痛感している。
・・・役人天国を支えているおよそ非合理極まる単式簿記などという会計制度を国家全体として是正し一般の企業並みに発生主義複式簿記に直して(東京都だけでは何とか実現はしたが)、税金の無駄遣いを是正するといった大改革が成し遂げられたのではないかとさえ思うが。
・・・私は自分の回想録にも記したが、人間の人生を形作るものは何といっても他者との出会いに他ならないと思う。結婚や不倫も含めて私の人生は今思えばさまざまな他者との素晴らしい、奇跡にも似た出会いに形作られてきたものだった。』

2017年7月28日 (金)

戦国の合戦 (小和田哲男 学研新書)

日本における戦いについて、思い込みが多かったことを痛感しました。

『・・・水田耕作の全面的展開となると弥生時代ということになる。ちなみに、弥生時代は、紀元前3世紀ごろから紀元3世紀までの期間をいう。

・・・この戦いによって、中央政界における武士の地位は飛躍的に高まり、特に清盛の勢力は大きなものとなった。しかし、その時点では、平氏と源氏の力は拮抗し、並立する状態であった。ところが、それに続く平治元年(1159)の平治の乱で清盛が源治の棟梁源義朝を破ったことにより、平氏圧倒的優位の状況が生まれることになった。
・・・この二度にわたる蒙古襲来は、日本に集団戦法という新しい戦い方を広めるもととなったわけであるが、鎌倉幕府崩壊を早めることにもなった。それは、それまでの戦いでは、戦いに参加することで恩賞をもらうことができたのに対し、このときは、敵を撃退しただけで、幕府としても、戦いに加わった御家人たちに恩賞を与えることができず、御家人の窮乏が進んだからであった。
・・・応仁年間よりも文明年間の方が長く、そのため、従来の応仁の乱といういい方に代わり、応仁・文明の乱と言われるようになったのである。・・東軍細川勝元に属すか、西軍山名宗全に属すかの二者択一を迫られ、結局、東軍16万人、西軍11万人、合わせて27万人もの大群が京都に上っている。この軍勢の数は、「天下分け目」といわれた関ヶ原の戦いよりも多いのである。・・敵の陣地である大名の屋敷や寺に放火する放火合戦の様相を呈していたからであった。そのため、京都は焼け野原と化してしまったのである。
・・・意外なことに、応仁・文明の乱が終わっておよそ10年ほどは、地方でもこれといった大きな戦いはなく、文明18年(1486)の出雲守護代尼子経久による下克上が特筆される動きである。
・・・守護代・国人クラスの武将たちが歴史の表舞台に登場し、文字通り、戦国乱世に突入したことがはっきりわかる時期である。
・・・儒教的武士道徳がまだ一般化されていない戦国時代は、むしろ、自分の能力に応じた待遇を与えられるのを当然としていたので、働きに応じた待遇をしてくれていないと思えば、使えていた家を飛び出し、他家に仕えるのが当たり前であった。そのため、主君は、家臣たちをつなぎ留めておくため、常に恩賞を与え続けなければならなかったのである。このことが、戦国時代、合戦が続くことになた最大の要因であった。
・・・私が一番注目しているのは、「武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝事(かつこと)が本にて候事」という部分である。「武士は、相手から犬といわれようと、畜生といわれようと、とにかく勝つことが大事である」といった意味で、勝つための工夫が必要だし、勝つためにはどのような手段を使ってもよいという意味にもなる。・・合戦である以上、負けてしまったのでは元も子もないわけで、相手から卑怯者呼ばわりされてでも勝たなければならないというのが、そのころの武将の共通した認識だったものと思われる。
・・・死を恐れるということは、戦国武将も現代のわれわれも同じであろうが、死に対する考え方は現代人と決定的に違っていた。それは、一言で言えば、「死んで名を残す」という考え方である。「名をあげる」「名を惜しむ」という言い方も同じである。
・・・当時の武将たちにしてみれば、まさに「名を残す」行為だったわけで、事実、ここで死んでいった12人の「城将」の子孫は、上杉家において重用されているのである。見事な死に方が子供たちへの遺産となっていたことがわかる。
・・・戦国時代とはいっても、ある場所に限定すれば、毎日毎日戦いが続いていたわけではなく、戦いのない日もあった。つまり、戦いのときは武士として出ていくが、戦いのない時は農民として農作業に従事していたのである。・・大道寺友山の「落穂集」が参考になるのではないかと思われる。そこには戦場において死者が1000人あった場合、侍はそのうちの100人か150人で、あとは農民や下人だったと見える。
・・・兵農未分離の段階における戦国大名家臣団の主力は地侍、すなわち半農半士の土豪だった・・侍のもとに多数の農民が組織され、戦場に出ていった
・・・戦国時代のある段階まで、合戦の主力はこのような一領具足に代表される半農半士の地侍、すなわち土豪たちによって構成されていた。彼ら地侍を寄子とし、専業武士である上層家臣を寄親とする寄親寄子制が軍団編成の基本であった。その仕組みを大きく変えたのが織田信長である。もっとも信長も、ある時を境に、兵農未分離の家臣団を急に兵農分離に変えていったわけではない。少しずつ変えてゆき、いつの間にか兵農分離になっていたという状況だった。信長が兵農分離の踏み出す一つのきっかけは、親衛隊の組織化である。・・親衛隊の中には兵農未分離の家臣が含まれていたかもしれないが、注目されるのは、信長が、地侍クラスの二・三男以下の者を親衛隊としていた点である。これは兵農分離の第一段階に位置づけられるもので、”兄弟の分離的対応”とよんでいる。
・・・兵農分離をすませた常備軍だと、その心配はない。いつでも戦いに出られるし、しかも長期滞陣が可能になった。・・まだ兵農分離が進んでいないときには、籠城しても勝つことができたのである。・・織田信長の後半、さらには豊臣秀吉の時代には、兵農分離で、将兵は何年でも城を囲むことができたため、籠城イコール敗北という認識が出来上がってしまったわけである。・・兵農分離後の常備軍団は決定的にちがう。鑓なら鑓、弓なら弓、鉄砲なら鉄砲というように、それぞれの持ち道具によって隊を編成し、鑓隊、鉄砲隊ごとに集団訓練ができ、その訓練を実際の戦いの場で生かしているのである。・・足軽は、応仁・文明の乱のころ登場してきたといわれるが、合戦の主力として重視されるようになるのは戦国時代に入ってからである。
・・・従来型の武田軍による小集団と、兵農分離後の織田軍による足軽戦法の戦いということになり、その意味で、長篠・設楽原の戦いは、足軽戦法が個人戦法を破った記念碑的な戦いと言ってもよいように思われる。
・・・信玄の「信玄棒道」は戦いのために軍用道路として作られたものであるが、信長の場合は単に軍用道路としてでなく、商品流通経済も視野に入れた富国強兵のための道路政策だったところに違いがある。
・・・信玄の関所撤廃の理由は、荘園領主・在地領主の収入源を絶つとともに、商人たちの自由な往来を保証したことにあった。
・・・出陣の日から3日分は、それぞれの兵の責任で兵糧持参が義務付けられていた様子がわかる。・・「三日分の腰兵糧」がなくなった4日目ごろから現地での兵糧の支給が始まるのである。・・小荷駄隊に動員されたのが農民だったことについてはすでに述べたとおりである。そして、兵糧の準備から、輸送の実務まですべてを差配したのが兵站奉行であった。
・・・兵器は、一部の名刀と言われる太刀や刀は別として、たいていは消耗品である。実際の戦いで使用した後使えなくなるものもあり、常に補給が必要だった。・・鑓は鎗、槍など字はいろいろに書かれるが、・・武器としての登場は元弘・建武の騒乱のころで、室町時代に入って急速に普及し始め、それまで、長柄といえば薙刀(長刀)をさしていたのが、鑓に代わっているのである。戦国時代はもっぱら鑓で、薙刀は女性の持ち道具となっている。・・名だたる名将のことを形容する言葉として「弓取り」がある。・・この言葉は、弓矢を使った戦いが一般的だった時代の名残であった。次第に鑓が主力の戦いになってくると「一番鑓の功名」とか「鑓働き」といった言い方が増えてくる。さて、その鑓であるが、はじめは柄の部分もそんなに長いものではなかった。二間(約3.6メートル)もあれば長い方だった。・・ついには「三間間中」つまり三間半(約6.3メートル)にまでなった。おそらく持ち手の腕力からしてこの三間半が限界だったのであろう。それ以上長い柄の鑓は出現していない。長鑓が使われることになった背景に前述した足軽戦法があった。・・長さをそろえた長鑓をもって最前列にならび、いわゆる「鑓衾」を作る。敵の騎馬武者がそこに来た場合、長鑓で突かれ「鑓衾」を突破することができず、逆に鑓隊に押し込まれる形となる。・・合戦場面で、圧倒的に多いのは、鑓と鑓の戦いである。
・・・おそらく、このころになると、刀は戦闘での武器というよりは、相手の首を取るときの道具として使われていたものであろう。
・・・具足は何らかの形でほぼ全員が身につけるとしても、冑、すなわち兜はそうはいかない。兜は「兜首」といういい方があることからも明らかなように、あるランク以上の者でなければかぶれなかった。・・直江兼続の「愛」の一字がある。これを愛情、人間愛の「愛」と思っているいる人が多いようであるが、愛染明王の「愛」であろう。・・武将たちがこうした変わり兜を用いたのは、目立ちたかったからである。戦場で目覚ましい働きをすれば、「あれは誰だ」ということになり、変わった兜をかぶっていればいっぺんに名前を覚えられる。
・・・「乱取り」といっても、戦いがはじまる前から「乱取りは自由である」といった許可がおりていたわけではなく、当然のことながら、勝ち戦になった場合の恩典ということになる。ある程度、勝利が確定したところで、「乱取り自由」の指示が出されたものと思われる。城攻めの場合には、全員討ち死にということもあるが、多くの場合は城兵の命は助けられることになる。しかし、待っていたものは悲惨な現実であった。男も女も、子供まで生け捕りにされ、売られてしまうのである。
・・・こうした勝鬨は凱旋のときの一種の儀式となっていて、それをリードしたのが軍配者、すなわち軍師だったのである。
・・・負けた場合の首の取り扱われ方であるが、全員が磔になったり晒し首にされるのはどちらかといえば例外的で、みせしめにされた場合に限られるようである。多くは、林薨とか水薨という形で死体処理がなされることになる。林薨は、そのまま野山に打ち捨てられるもので、土とか木の葉がかぶせられればいい方で、水薨は、川に流されたり、池にそのまま沈められるものである。
・・・「八陣」とは、魚鱗、鶴翼、雁行、長蛇、偃月、鋒矢、衡軛、方円の八つの陣形をいう。』

2017年7月23日 (日)

ルポ 絶望の韓国 (牧野愛博著 文春新書)

朝日新聞ソウル支局長の著作で、私に言わせれば韓国人に甘めの記述だと思いましたが、それなりに参考になりました。

『・・・元議員の知人は語る。「韓国は圧縮成長した。欧州が百年、日本が五十年かけて築いた繁栄を我々は三十年で達成したと息巻いているが、その代わりに社会的な葛藤がたくさん生まれた。地縁や学閥があちこちある。だから、賄賂やコネ、圧力を使った社会不正がまかり通るのだよ」
・・・「韓国では両班文化がまだ息づいているのだよ」 韓国の人々の権力に対する執着を韓国の閣僚経験者の尋ねると、こんな答えが返ってきた。韓国の人々は食事をするときに、お茶碗を手に取らない。お茶碗を置いたまま、箸やスプーンを使って食べる。これも袖の長い韓服を着用した両班(朝鮮時代などでの支配階級)が、袖が汚れない食べ方をしていたことをまねたとされる。元閣僚は語る。「誰でも両班にあこがれる。人生に一度でいいから、両班になってみたいと思う。社会がまだ成熟していないから、発想が単純なのだよ。」
・・・韓国の大統領府や外交部で記者会見に臨むと気づくことがある。かんっくの記者団の質問に共通した特徴がある。質問が長いのだ。彼らは自分の主張をまず延々と語る。そして、最後に、「それであなたはどう考えるか」と聞く。だから記者会見の記録を見ると、圧倒的に質問の方が長かったりもする。
・・・議員になりたい人は後を絶たない。「人生の最後の花道、一度は自分もとあこがれる仕事が国会議員なのだよ」と、韓国政府の知人は語る。議員として活躍する人も多いが、権力のおぼれ、勘違いする連中も数多くいる。
・・・朴槿恵は、もともと歴史認識問題や慰安婦問題に強い関心があったわけではない。彼女にとっての最大の関心事項は、自身の政治権力をあまねく周囲に認めさせることにあった。
・・・慰安婦問題に限らず、日韓歴史認識問題では、韓国の保守勢力は常に進歩・革新勢力から政治攻撃されてきた。過去、歴史認識を巡って数ある日韓合意がなされてきたが、韓国内で唯一、依然批判されていない合意がある。1998年10月、小渕恵三首相と金大中大統領によって発表された共同宣言だ。
・・・「韓国人は、大統領を旧朝鮮王朝の王のような存在と考えている」(韓国政府元高官)という。元高官はその理由について「韓国は朝鮮王朝の後で日本統治を受け、さらに米国主導で大統領制を導入した歴史的な背景がある」と語る。韓国大統領府(青瓦台)の構造は、米国のホワイトハウスとずいぶん違う。ホワイトハウスは大統領の執務室と同じ建物の中に、大統領補佐官らの執務室があり、何かあればすぐに集合できるが、青瓦台の場合は秘書官たちの建物は別棟になっている。大統領府の勤務経験者の一人は「大統領に会いに行くためには、車に乗らないといけない。検問もあるから数分かかる」と語った。
・・・深刻に感じられるのは、韓国の外交官たちが異口同音に語る「国際社会における日本の地位が落ちている」という現状認識だ。口には出さないが、「日本は財政難や政局の混乱に加え、大震災まで起きて元気がない。本当に気の毒だ」という視線を日本に投げかけている。韓国「ジャパンスクールの落日」は、日韓の政治パイプに加えて、官界・外交パイプの先細りという現象を生み出している。
・・・「五年(大統領の任期)ごとに、政策が総入れ替えになる」という韓国政治の宿痾が、せっかくの数少ない朴槿恵政権の成果も押しつぶそうとしている。
・・・韓国の大企業は数の上では1%に満たないが、売り上げは6割以上を占めるとされる。就職難に直面する若者層がこうした社会構造に不満を貯める中で、オーナー一族による非常識な事件も後を絶たない。
・・・韓国では「同じ大学」「同じ学部」の先輩後輩の結びつきは、日本と比べものにならないほど強い。
・・・韓国には最も結束力の強いことで有名な三つの団体がある。「湖南(韓国南西部の全羅道地域を表す言葉)郷友会」「高大(高麗大)校友会」「海兵戦友会」だ。・・海兵隊OBには代々、「街中で後輩の隊員を見つけたら、必ず小遣いをやって元気づける」という不文律があるのだという。
・・・大統領との特殊な「人脈」があるというだけで、何の見識もない一般人が巨大な権力を振り回せたことが、韓国の人々の大きな怒りを買ったのだ。チェのような「コネ」を使うことは、韓国の人々にとっての「あこがれ」でもあるが、その貧弱な経歴と手に入れた権力大きさのあまりのギャップに、韓国の人々は嫉妬に似たような強い嫌悪感を抱いたのだ。
・・・精鋭部隊は、北朝鮮のなけなしの食料や装備を優先的に与えられるうえ、政治学習を徹底的に行うために忠誠心や士気も高い。兵役も10年と長い。韓国軍にも特殊部隊があるし、もちろん能力も優れているが、大半はわずか3年足らずで兵役を終える若い軍人だ。
・・・「核の共同管理」とは、米国が北大西洋条約機構(NATO)加盟国と行っているシステムだ。米はドイツ、イタリヤ、ベルギー、オランダの4か国に航空機搭載型の核爆弾を配備。4か国は警備などに協力しているとされ、核兵器使用について意見を言えるが、最終決定権は米国にある。
・・・韓国にとっての最大の外交課題は北朝鮮だ。韓国外交部を見ても、北朝鮮問題を扱う朝鮮半島平和交渉本部には同部のエリートと呼ばれる人材が集中して集められている。
・・・韓国は1965年の日韓国交正常化に伴い、日本から巨額の支援金を得た。北朝鮮との体制競争に勝たせるため、米国は韓国の安全保障の相当部分を負担するとともに、朴正熙政権の開発独裁路線を認めた。韓国人自身の努力が加わり、「漢江の奇跡」と呼ばれる急速な経済成長を達成した。ソウルを訪れる日本人の多くが、「ちょうど少し前の東京を見ているようだ」と語るように、経済や社会生活分野で、韓国はずっと日本の背中を追いかけてきたともいえる。
・・・韓国では近年、農村部が抱える「嫁不足」の問題から国際結婚が急増。2003年に約4万4千人だった外国人配偶者は、10年5月時点で約13万6千人に急増、このうち外国人妻は約12万人を占めていた。経済的な事情からベトナム出身者が多く、韓国人と結婚したベトナム人女性は当時、約3万2千人と全体の約四分の一を占めていた。
・・・韓国政府によれば、韓国の2013年の武器輸出額は約34億ドル(約4180億円)。10年前の12.8倍に達した。輸出先は米国や中東、東南アジアなど約80か国に上る。
・・・知る人ぞ知る話だが、豪州の仮想敵国はインドネシアだ。
・・・世界は今、米国でも欧州でも日本でも格差社会が広がりつつある。人々には不満やいら立ちが募っている。それをぶつける相手を探すとき、自分たちと関係のない集団がいればとても便利だ。周囲の共感が得られやすいからだ。それが、米国で黒人排斥運動に、欧州で移民排斥運動に、日本では嫌韓運動につながったと、私は思っている。・・今、韓国では日本の「失われた20年」よりも更に深刻な不況が迫りつつある。本書で書いたように、韓国の人々にも不満が溜まっている。・・釜山の少女像を取材したときに見たのは、「怒りのはけ口」を求めている人々の姿だった。

2017年7月22日 (土)

戦争にチャンスを与えよ (エドワード・ルトワック著 奥山真司訳 文春新書)

一見過激なタイトルですが、読んでみると納得させられる内容でした。

『日本は、世界の中でも独特な場所に位置している。世界の二つの大国と、奇妙な朝鮮半島の隣にあるからだ。・・日本にとってはほぼ利益のない朝鮮半島において、北朝鮮が、暴力的な独裁制でありながら、使用可能な核兵力まで獲得しつつある一方で、韓国は約5000万の人口規模で世界第11位の経済規模を誇りながら、小国としての務めさえ果たしていない。・・ベトナムは、日米にとって非公式だが強力な同盟国となりうるし、フィリピン、インドネシア、マレーシア連邦なども、潜在的な同盟国である。
・・・「戦争の目的は平和をもたらすことにある」ということだ。戦争は、人々にその過程で疲弊をもたらすために行われるのである。・・戦争が終わるのは、そのような資源や資産がつき、人材が枯渇し、国庫が空になった時なのだ。そこで初めて平和が訪れると、人々は、家や工場を立て直し、仕事を再開し、再び畑を耕す。
・・・なんと今日に至るまで、ボスニア・ヘルツェゴビナでは、いかなる「戦後復興」も行われていないのである。・・なぜか。「戦争が終わっていない」からだ。まだ「平和」ではなく、「戦争が凍結された状態」なのだ。「凍結されている」ということは、「まだ終わっていない」ということなのである。「邪悪な介入」のもう一つの形態は、難民支援だ。
・・・私は論文「戦争にチャンスを与えよ」を書いたのである。そこで主張したのは、「戦争には目的がある。その目的は平和をもたらすことだ。人間は人間であるがゆえに、平和をもたらすには、戦争による喪失や疲弊が必要になる」ということだ。外部の介入によってこの自然なプロセスを途中で止めてしまえば、平和は決して訪れなくなってしまうのである。・・外部の介入によって戦争を凍結すれば、かえって戦争が長引いてしまう。これが私の論文の主張であり、これは難民問題でも同様だ。・・介入してもよいのは、和平合意と難民移住などに関する責任をすべて引き受ける覚悟がある場合だけである。みずからの外交力によって和平合意を実現できないようなら、紛争に介入してはならない。
・・・もちろん、カダフィは、素晴らしいリーダーではなかった。それでも、無政府状態よりははるかにましだ。「介入のために戦争を開始すること」と「戦争を止めるために介入すること」は、同じ程度に避けるべきことなのである。
・・・戦略とは「生物」である。戦略は存在するものであり、それは戦争の結果を決定するものであるが、その働きは、普遍的で、どの時代のどの地域のどの文化にもあてはある。・・そして戦争には、紛争を何らかの形で終わらせることによって、平和をもたらす、という目的がある。
・・・国際的な軍事指揮では、参加国部隊の行動の質を維持するのが特に難しい(最低限のレベルのパフォーマンスにまで落ちる可能性がある)
・・・NGO活動の多くは、結果的に活動的な戦闘員を供給しているのである。・・NGOが彼らの支援のために介入することによって、敵側がけってき的な勝利を収めて戦争を終わらせる、というプロセスを構造的に妨害してしまうのである。・・このようなNGOは、「戦いの緩和」という彼らの表向きの目標などは実現できず、かえって戦争を長期化させてしまっているだけだ。・・今日では、あまりに多くの戦争が「終わることのない紛争」となってしまった。その理由は、外部からの介入によって、「決定的な勝利」と「戦争による疲弊」という二つの終戦要因が阻止されるからだ。
・・・ただ、これだけは答える。私が見たところ、安倍総理はまれに見る戦略家だ。
・・・「日本が尖閣についてどう考えているか」は、中国には全く関係がない・・問題になるのは、ただ「中国が尖閣をどう見ているのか」であり、「中国が尖閣で何をやってくるのか」だけである。・・中国の外交部(外務省に相当)は、私が知るほかのどの国の外務省とも異なる性質を持っている。外交部が集めた情報は、けっして 「中央」には到達しない。各国で集められた情報は、北京の外交部には届くが、そのボスである習近平には届いていないのだ。
・・・私は、戦略的な方向性として、日本の自衛隊を「自衛隊」のままにしておくべきだと考える。つまり、専守防衛の方向性で、このまま将来も進んでいくのが、基本的には最も正しいと思っている。ただし一つ問題がある。中国だ。・・今後、日本の自衛隊は、より迅速に作戦行動を行えるように体制を整えることが重要になってくる。そのために日本の自衛隊に必要なのは、「訓練」ではなくて「演習」なのである。・・「演習」で学ばなければならないのは、失敗した状態、つまり物質や人員が足りない状態の中でも任務を実行するメンタリティ(精神性)だ。・・残念ながら自衛隊の規模は、日本のような大きな島国を守るには小さすぎる。それらを解決するためには「改革」が必要である。
・・・「中国封じ込め同盟」への貢献という意味で、アメリカの日本への期待は高まるはずだ。
・・・北方領同に関していえば、私は決して楽観的ではない。プーチン氏は、「ロシア帝国」を修復するまでは領土拡大を続ける、と考えている・・それはもちろん、どれだけ経済制裁を科されても、クリミア半島を維持し続ける、ということも含んでいる。・・プーチン氏が自国民に発しているメッセージは、以下のようなものだ。「・・あなたがたは、世界最大の領土を持つ帝国の人間であり、これは誰に与えられたものではなく、戦争に勝つことによってロシア人自身が獲得したのである。前任者はロシアの帝国の多くを失ったが、私(プーチン)は絶対に領土を失うことはない。むしろ取り返すつもりである。だからその代わりにロシア人は耐えなければならない。帝国の人間として耐え忍んでほしい」
・・・世界一の人口を抱え、世界第二位のGDPを持つにもかかわらず、アフリカの小さいな独裁国家のように不安定なのが、中国の本質だ。彼らは、2000年代の16年間に、「平和的台頭」という協調路線から、「対外強硬路線」、「選択的攻撃」と、三度も対外政策を大きく変えている。・・こうした「不安定」な国を隣に抱えているのは、非常に骨の折れることだ。
・・・中国の第二の特徴は、社会は急速に変化しているのに対して、独裁制はそれほど変わっていない、という点にある。・・現在、北京政府は、イデオロギーの継続的な減退とともに、経済の急成長や国民の収入の上昇を望めない事態に直面している。これは習近平の仕事が日ごとに難しくなってきていることを意味している。・・ここに第三の問題が加わる。権力を最大限集中化させるために、習近平が胡錦涛の信奉者の粛清を決心したことだ。
・・・「核心的リーダー」とは、「決してリタイアしない人物」のことだ。・・毛沢東や鄧小平のような存在だ。政治的任務を終えた後でも、「引退」はせず、終身的リーダーとして生きる、ということである。
・・・さらに厄介な問題がある。中国は、隣国を完全に見誤る伝統を持っている点だ。2014年に起きたベトナム沖の海底油田をめぐる事件が、その典型である。・・中国外交には、組織的欠陥がある。・・政策を実質的に決定する部門が、国外の理解や自国が置かれている情勢についての認識を欠いてしまうのである。そのために、対外政策において、不安定さと無能さを露呈してしまうのだ。
日本がEEZ内での中国漁船の操業を許している、という状態自体が、中国に「あいまいさ」を伝えているからである。こうした「あいまいさ」こそ、日本側は避けるべきなのだ。・・「あいまいな態度の日本」と「隣国すら誤解する中国」というのは、最悪の組み合わせと言える。というのも、日本の「あいまいさ」が、中国の「誤解」の余地をさらに大きくしてしまうからだ。これこそが、現在の日中間に存在する決定的な問題なのである。・・日本は、武装した人員を常駐させるべきである。名目は、「環境保護」など何でも構わない。「海底保護調査団」でも、「サンゴ礁・漁業保護調査団」でもよい。しかし、必ず武装させておくことが重要である。こうして日本は、「あいまいさ」を排除できるからだ。
・・・クレムリン周辺の人々は「ノヴォロシア」という概念を今日に復活させようとしている、ということだった。・・ウクライナの一部を切り取って、「ノヴォロシア」という共和国として独立させ、ロシア連邦に組み込む、という考えだ。
・・・CIAは、アメリカの政府機関の中で最も仕事のできない機関だ。CIAの人員は、言語や文化を学ぶのに忙しく、インテリジェンスの肝心なところで失敗を繰り返してきた。米国民全員が知っていることだが、アメリカは、外交や軍事と比べて、インテリジェンスがはるかに不得意なのである。
・・・国際問題に関するロシアの対処法は、古典的なやり方にのっとっている。大国は、いきなり部隊を動かしたりはしない。まずその発する言葉に大きな意味を持たせるものである。この点、中国は異なる。・・中国のように、「尖閣だ、尖閣だ」と叫んでおきながら何もしないようなことは、ロシアは決してしない。ロシア人は、言葉に重みのないリーダーを軽蔑するからだ。
・・・フィリピン国内には、二つの要因がうごめいている。第一は、フィリピンがアメリカの植民地であったという歴史に起因する・・第二は、フィリピンの支配層やエリート層の多くが、人種的には中華系で、裕福である上に、中国とも深い関係を持っており、フィリピンという国にそれほど忠誠を誓っているわけではない、という点だ。・・要するに、フィリピンには、「政治的なまとまり」というものがない。そのため、ベトナムのようには行動できないのだ。
・・・フィリピンは、「反中同盟」からすでに脱落した、ということである。しかし、フィリピンの脱落は、「反中同盟」にとって必ずしもネガティブなことを意味しない。というのも、日本、インド、ベトナム、それにインドネシアやマレーシアの部分的な参加による「反中同盟」は、フィリピンを含めた「反中同盟」よりも、はるかに強力だからだ。
・・・人々は、平時には、脅威を深刻なものとして考えられないものだ。平時に平和に暮らしていれば、誰かの脅威に晒されていても、空は青いし、何かが起こっているようには思えない。・・平時には、誰も備えを必要と感じない。むしろ戦争に備えること自体が問題になる。・・そこから戦争がはじまるのだ。
・・・北朝鮮の軍事関連の技術者を侮ってはならない。彼らは、他国の技術の5倍以上の生産性を有している、と答えるからだ。たとえば、イランは、核開発に北朝鮮の5倍もの時間をかけながら、一発の核兵器に必要な核物質さえ作り出せていない。人工衛星の技術もない。要するに、北朝鮮の軍事開発力は、きわめて危険な域に達しており、真剣に対処する必要があるのだ。
・・・北朝鮮のミサイルは、侵入の警告があれば即座に発射されるシステム(LOW)になっているかもしれない、という点だ。このシステムでは、アメリカの航空機やミサイルが侵入してくれば、北朝鮮側の兵士が自動的に発射ボタンを押すことになる。LOWとは、レーダーからの警告に即座に反応することを意味する。
・・・人間というのは、平時にあると、その状態がいつまでも続くと勘違いをする。これは無理もないことだが、だからこそ、戦争が発生する。
・・・戦略の規律が教えるのは、「『まあ大丈夫だろう』という選択肢には頼るな」ということだ。なぜなら、それに頼ってしまうことで、平和が戦争を生み出してしまうからである。
・・・日本には「降伏」、「先制攻撃」、「抑止」、「防衛」という四つの選択肢がある。ところが、現実には、そのどれも選択していないのである。
・・・すべての軍事行動には、そこを超えると失敗する「限界点」がある。いかなる勝利も、過剰拡大によって敗北につながるのだ・・大国は、中規模国は、打倒できるが、小国は打倒できない。小国は、常に同盟国を持っているからだ。小国は、規模が小さいゆえに脅威を与えない。だからこそ、別の大国が手を差し伸べるのである。・・戦略のパラドキシカル・ロジックは、紛争が発生するところで、必ず発動する。そして優れた戦略家なら、そのパラドキシカル・ロジックを正面切って克服できるのだ。
例えば、あなたが100ドルの収入のうち5ドルを貯めて、それを投資に回す、というのは、「一般常識の世界」ではよくあることあ。これはこれで、極めて正しい選択となる。ところが、「戦略の世界」、要するに大規模戦争のような「戦略の世界」ではいくら「戦術レベル」で大成功を収めたり、戦闘で目覚ましい勝利を収めたり、作戦に成功して「戦域レベル」で相手国領土を占領できたとしても、「大戦略」のレベルですべてが覆ることがあるのだ。最終的な結果は、最上位の「大戦略」のレベルで決まるからである。・・「戦略の世界では「成果を積み重ねることができない」。これが、戦略の第一のポイントだ。戦争に直面して戦略を考えるときに、最初にやるべきは、「常識を窓から投げ捨てる」ことなのである。・・「戦略の世界では矛盾や逆説だけが効果を発揮する」ということである。理解が容易な「線的なロジック」は、常に失敗するからだ。・・「戦略の世界」では、敵が存在する。この敵が、あなたを待ち換えているのだ。すると、「直線で最短距離を行く」のは、最悪の選択となる。う回路だったり、曲がりくねって運の方が良いのだ。・・「戦略の世界」では、・・常に奇襲が狙われるのだ。奇襲を受けた側は、まったく準備ができていない状態で寝首をかかれることになる。
・・・「戦略の世界」では、勝利が敗北につながるように、敗北も勝利につながる。・・「戦略の世界」では、すべてが常に移り変わるのである。
・・・「戦略」において、「常識」は敵であり、「通常の人間的な感覚」は敵であり、唯一の味方は「紛争の冷徹なロジック」なのである。そして、「紛争の冷徹なロジック」が最も重要になってくるのは、主に外交のレベルにおいてだ。
・・・実際にイギリス人は、アメリカ人のひどい仕打ちを繰り返し受けた。しかしイギリスは、それに黙って耐えたのである。これが「忍耐力」だ。・・フランスは、100年以上争った相手だ。そして当時も、アフリカ、インドシナ半島、マダガスカルなど、およそ17件の植民地・領土係争案件を抱えていた。ところが、イギリスrは、交渉ですべてを素早く解決したのである。しかもイギリスは、すべての案件で譲歩した。フランスの完全勝利だ。これによって初めて、大英帝国とフランス帝国の協力関係が構築されたのである。
・・・なぜイギリスは、最終的に勝利できたのだろうか。それは、彼らが「戦略」を冷酷な視点でとらえることができたからである。要するに同盟関係は、自国の軍事力より重要なのだ。
・・・しかし、「戦略」の観点で言えば、外務省が権力を保持していることは、極めて重要あ。そうでないと、「戦略」のレベルで、すべてが覆ってしまうからである。
・・・「戦略の世界」では、「規律」が物を言う。ここで言う「規律」とは、「戦略のロジックを出し抜くことはできない」という認識能力のことだ。・・イギリスは、強力な「規律」を持ち、「戦略」にそれが不可欠であることを知っていた。「大戦略」のためには、特に極めて不快なことも受け容れる必要があることを知っていたのである。
・・・なぜイギリスのエリートたちは、こうした政策をとりえたのだろうか。それは、英国の貴族の土地の管理を通して、金と権力をよく理解していたからだ。・・ラグビーやウォールゲームといったスポーツを通じて、貴族は暴力というものを学ぶ。
・・・「ルトワックさん、お宅の息子さんは、まだ英語がうまくしゃべれないようですし、どこまで授業についてこれるかわかりませんが、それでも彼は大丈夫です。彼は自分の世話を自分でできるからです」・・ミラノの学校では退学処分になり、イギリスの寄宿学校ではむしろ評価されたことだ。告げ口をせず、独力で問題を解決しようとしたからだ。この文化がイギリスをイギリスたらしめている。彼らは、「暴力」「戦争」「平和」、そして「同盟」が何たるかを理解しているのだ。・・暴力のポジティブな側面を理解し、暴力の存在から目を背けない。これが、イギリスの強みなのだ。
・・・「戦略のパラドックス」だ。なぜこうなるかと言えば、戦略においては、常に「他者」が存在するからだ。・・奇襲の目的は、一時的に敵の反応を奪うことにある。・・それが有効なのは、敵の反応を奪うことで、「パラドキシカル・ロジック」の発動を抑えられるからだ。
・・・いかに戦術的勝利を重ねようとも、その勝利を完全に相殺してしまう、より高次の戦略が存在する。それが「同盟」だ。私の見るところ、戦国日本で、このことを最も理解していたのは徳川家康だった。そもそも、国の運命を左右するような大戦略レベルにおいて重要なのは、まず人口と経済力、そして国民の団結力である。・・適切な同盟相手を選び、戦術レベルでの敗北に耐え続ければ、100回戦闘に敗れても、戦争に勝つことができる。
・・・信長の真の卓越性は、このハイレベルの「規律」を必要とする作戦を計画し、実行したことなのだ。
・・・「作戦」よりも「同盟」の方が、戦略としては上位に位置する。ここでも参考となるのは、徳川家康のケースだ。彼のような人物でさえ、城を明け渡したり、戦闘で負けたり、裏切り者がでたり、と非英雄的なことをも耐え忍ぶ必要があった。ところが、その「規律」こそ、戦略に必要なのだ。
・・・現状以上のアメリカを望めないなら、現実のアメリカと付き合うしかない、ということだ。この「規律」こそ、大戦略で必要となるのである。・・もう一つ忘れてならないのは、「同盟」という戦略は、しばしば不快で苦難を伴うものでもある、ということだ。
・・・当時のヨーロッパの人々の思想にとって、根本的な位置を占めていた書物がある。「オヂュッセイア」と「イーリアス」の二冊だ。・・今日のひょーろっぱでは、クレフェルトのいう「生命の法則」が拒否されている。「生命の法則」とは、端的にいえば「男は戦いを好み、女は戦士を好む」というものだ。もちろん、この法則をあざ笑う人もいるだろう。ところが、この法則が拒否されている国で、少子化が起きているのだ。戦いを嫌う国では、子供があまり生まれていないのである。
・・・イスラム教を「アクシデント的に生まれた宗教」と尚氏のには理由がある。・・要するに、その当時には強力な敵となる帝国が周囲にいなかたために、イスラム教は急速に広まったのである。
・・・ヨーロッパが成功していたのは、ヨーロッパが戦場であった時代だ。「戦争のないヨーロッパ」は、「ガソリンの入っていない車」のようなものなのかもしれない。いずれにせよ、ヨーロッパのダイナミズムが戦争によってもたらされてきたことは明白だ。・・ヨーロッパ人は、「イーリアス」をもはや読んでいない。ところが、アメリカ人はまだ読んでいる。そして中国人たちも読み始めた。ここ五年間で、五つの版が出版されているほどだ。
・・・ロシアもヨーロッパの国の一つであるが、ここで、この国の三つの特徴を指摘しておきたい。第一は、「戦略は上手だが、それ以外はすべて下手だ」という点だ。・・ところが、彼らは、経済がまるで分っていない。これが第二の特徴だ。・・「大きな規模(スケール」で考えることができる」ということが、ロシアの第三の特徴だ。・・空間だけではなく時間的にも大きなスケールで考えることができる。空間的にも、時間的にも大きな視野を持っているのだ。西ヨーロッパの人々には残念ながら、そのような能力は備わっていない。
・・・ヨーロッパの活力は、常にその多元性から生じていた。フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガルといった、それぞれ独自な国家同士が鎬を削っていたからこそ、ヨーロッパは活力に溢れていたのである。
・・・結論を射よう。ヨーロッパの将来は、財政要因や経済要因で決定されるものではない。それを決定するのは文化だ。ところが、ヨーロッパの人々は、もはや「イーリアス」を読んでいないのである。
・・・政治の混乱状態が続くと、たとえば、元大阪市長の橋下徹やドナルド・トランプのような現象が起こってくる。このような人物が登場してくる背景として、行政府と議会が相いれない状態にある、ということが言える。そして、国内政治の混乱故にこそ、アメリカの対外政策もマヒするのである。
・・・家康は、「戦略」にとって重要なことをすべて体現していた。それは、武田信玄の「風林火山」という言葉で示されるものとは、すべて正反対のものである。たとえば、林のように静かに動かしてはならない。外交によって「同盟」を築くためには、すべての人々と話をする必要があるからだ。「同盟」を形成するには常に語る必要があるし、時間がかかるのである。
・・・戦争は可能な限り避けよ。ただし、いかなる時にも戦争が始められるように行動せよ。・・戦争準備の最大の目的は、戦争開始を余儀なくされる確率を減らすことにある。・・敵の情報を心理面も含めて収集せよ。また、敵の行動を継続的に監視せよ。・・攻撃・防御両面で軍事活動を活発に行え。ただし戦闘、特に大規模な戦闘は、よほど有利な状況でない限り避けよ。・・武力行使を最小限に留めることは、説得に応じる可能性のある者を説得する助けになり、説得に応じない者を弱体化させる助けになる。・・消耗戦や他国の占領ではなく、機動(詭動)戦を実施せよ。電撃戦や奇襲で敵をかき乱し、素早く撤退せよ。目的は、敵を壊滅させることではない、なぜなら、彼らは、のちに我々の味方になるかもしれないからだ。・・同盟国を得て、勢力バランスをシフトさせ、戦争を成功裏に集結させられるように努めよ。・・もっとも有用な同盟国は、敵に最も近い国である。彼らは、その敵との戦い方を最も熟知しているからだ。・・政権転覆は、勝利への最も安上がりな方法だ。・・戦争が不可避となった場合には、敵の弱点を衝く手法と戦術を適用せよ。
・・・相手のメンタリティを理解できて初めてその行動が予測できる・・すべての敵は、潜在的な友である。現在の友も、潜在的な敵なのだ。・・正面からぶつかり合うような戦いは避けるべきなのである。なるべく詭動を使うべきであり、迅速な攻撃と撤退を繰り返すのだ。ここでの目的は、「敵の封じ込め」であり、「敵の破壊」ではない。
・・・戦争の目的の一つは、戦争が終わった時点で自らの立場を優位に置くことにある。だからこそ、外交が重要となるのであり、これは戦時のおいても変わらない。・・「常に狙うべきは『調略』である」ということだ。
・・・相手の弱みに徹底的につけこみ、敵が弱体化するまで忍耐強く待つべきである。
・・・「勝利に真に必要なのは、戦争での勝利ではなく、外交と調略である」という戦略的教訓
・・・「構内の政治体制が整うまで大統領の権限は大きく制限される」
・・・もし私が大統領顧問だったら、彼に何を提言するだろうか。その一つは、「プーチンを侮辱するのを止めて交渉する」ということだ。・・そのためには、まずNATOを「統一した勢力」として扱うのを止める必要がある。NATO加盟国の足並みをそろえて統一政策を実施するのは、無理があるからだ。
・・・「ウクライナの国土統一」は「アメリカの国益」ではない。ところが、「アメリカに協力的なプーチン」は、「アメリカの国益」である。私だったら、まずプーチンと交渉する。そして中国問題に集中するようにプーチンに持ち掛けるのだ。
・・・日本の立場は極めて特殊である。・・世界には200近くの国が存在するが、そのなかで、日本は大国以外でトップの位置を占めている。それゆえ、日本は、他の大国同士のバランスを常に気にせざるを得ない立場に置かれている。
・・・中国という国は、大国であるにもかかわらず、恒常化した不確実性のなかで運営されている。国内体制が、政治的、経済的に極めて不安定なのである。
・・・県局がホワイトハウスから連邦議会に移る、ということであり、行政の力が弱体化する、ということだ。習近平はいつでも失脚する可能性があり、アメリカ大統領の権力も弱まる。この二つの要因から、日本は、極めて奇妙な状況に置かれることになる。唯一安定した大国がロシアとなるからだ。
・・・個人的な見解だが、日本は、長年にわたって誤った国連対策を取り続けている。・・日本は、常任理事国入りの戦略として、「誰もよくしないプラン」を追求してきたのである。・・「6席もいりません。ブラジルやドイツはかんけいありません。われわれが欲しているのはたった1席です。これをインドと共同で得ることです。2,3年ごとに交代で日本とインドで席を分け合うのです。』こうなれば、インドはロシアから強い支持を得るだろう。日本もアメリカから強い支持を受けるはずだ。』

2017年6月 6日 (火)

取調室の韓国人-女 司法通訳の現場 (中山あきら著 Amazon)

韓国人の特性、不法滞在者などの事情などについて知ることができました。

『・・・韓国社会では、仲間や同僚をかばう為の偽証は、罪ではないという感覚がある。だから韓国では偽証罪が非常に多い。
・・・韓国社会は金と権力のある者が、持たざる者を見下し、まるで昔の貴族のように幅を利かせて生きているところなのである。
・・・彼女たちが日本に来るのは、一言で言えば、金のためである。その方法としては、水商売が最も効率的な手段と考えられている。・・そういう水商売なら韓国でも当然存在する。しかし、韓国では、ホステスなどの水商売はかなり大変な仕事のようである。酔客からは飲酒や身体接触を強要されたり、店からは売上げやノルマをうるさく言われる。社会的な地位も最低で、他人にホステスをやっていることがわかれば、後ろ指を指されることになる。
・・・多くの韓国人にとって漢字は、いまだに英単語以上に難解なものという認識があるように見える。
・・・金と力のある者が、持たざる者(不法滞在のホステスたち)の上にのさばるのは、日本の中の韓国人社会においても本国(韓国)と同様である。
・・・韓国の男性は整髪料を使わないので、髪がまっすぐ垂れた状態で、小学生のような髪型だった。また、えらが張って四角い顔立ちが多く、目も7~8割が一重瞼である。女性もやはり一重瞼が多く、化粧もほとんどしないか、派手目にするかのどちらかだった。特に印象に残っているのは、化粧した女性の真っ赤な口紅である。・・女性の場合、しゃがみ込むときに日本人なら内股になるが、韓国人は外股になることが多い。韓国の女性は、床に座るときにあぐらをかいて座ることが多いためだろうか。
・・・日本人配偶者、通称日配(ニッパイ)と呼ばれているこの滞在資格は、先にも書いたとおり、性風俗の仕事をしてもかまわないのだ。・・韓国クラブのガサ入れの時は、お客は何のおとがめもなく、そうそうに解放され、おまけに飲み代もタダになるという特典⁉もついていた。ところが、性風俗店のお客の場合、マッサージ嬢からどのようなサービスを受けたかを克明に証明してもらわないといけない為、簡単に解放されないどころか、鑑識からは裸の写真を撮られ、名前や住所も記録される。
・・・社会が何か一つの方向に動き始めると、口をはさんだり、自分の考えを言えなくなるのは韓国社会の大きな特徴だ。
・・・韓国デリヘルでは、未婚の若い女性を確保することは事実上困難といってよい。前述のように、風俗営業に従事できる資格というと、日本人の配偶者、永住者など、婚姻によって生じる資格など、どちらかといえば資格を得るまでに長時間かかる場合がほとんどである。合法的に営業しようとすれば、どうしても熟女と言われる既婚女性たち(30代~40代)が占める割合が高くならざるを得ない。・・逆に言えば、若い未婚の韓国人女性(在日を除く)が働いている店は、不法就労をさせている可能性が高いと考えられる。
・・・被疑者である彼女ら(彼ら)の特徴しては、罪の意識が薄いということ、日本で働くことを望んでいるという点がほぼ共通している。また、日本に住み続けることも強く願っているところがある。祖国で様々な偏見や差別に耐えながら暮らしていくことの窮屈さを思えば、多少の苦労や気遣いがあったとしても、日本にいる方がはるかにましなのだろうか。・・韓国人は非常に見栄っ張りで体面を気にする民族である。つまり、日本人が考えている以上にプライドが高いのである。・・韓国社会での経済的な格差や、今も残る前近代的な差別意識や偏見がなくならない限り、日本への不法な出稼ぎや残留行為はなくならないであろう。』

2017年6月 4日 (日)

肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい (西山耕一郎著 飛鳥新社)

健康について考えるうえで、これまで気づかなった視点からの指摘が多く書かれており、ぜひ実践していきたいと思いました。

『・・・じつは、筋肉よりも血管よりも、「決して衰えさせてしまってはいけない機能」があるのです。それは、食べ物を飲み込む力、すなわち嚥下機能です。
・・・寿命が短かった昔の人は、たいてい飲み込み力が低下する前に死んでしまっていたのです。だから昔は「嚥下機能維持の大切さ」なんて、ほとんど問題になることはなかった。ところが、近年、80代、90代まで生きる人が多くなって、飲み込み力を低下させる人が増え、誤嚥にによって誤嚥性肺炎を起こす人が増えてきたのです。
・・・のどの機能を低下させないためには、「のど仏を上下させる筋肉」を衰えさせないことがカギ、すなわち、のどの筋力をキープして「のど仏をスムーズに上下させる機能」「”フタ”の開け閉めをスムーズに行う機能」をいかにキープしていくかが、私たちの嚥下機能を守る重要なカギとなるわけです。
・・・食べ物や飲み物を嚥下する際は、普段からなるべく「意識をするクセ」をつける方が良いでしょう。つまり、ごっくんと飲み込む前に、「さあ、飲み込もう」「ごっくんするぞ」といったことを頭に思い浮かべるようにする。
・・・飲み込んだ後は、息を吐きだす方がいいのです。嚥下直後に息を吸ってしまうと、その拍子に食べ物や飲み物を肺に吸い込んでしまいやすいのですが、息を吐いていればそうした心配はありません。
・・・「普段からしっかり声を出す習慣」をつけるために、とくに私がお勧めしているのが、「カラオケ」「おしゃべる」「笑い」の三つです。
・・・食事中の会話は、なるべく「食べるときは食べることに集中」「話すときは話すことに集中」して、誤嚥をしないように注意しましょう。
・・・飲み込み力は、全身の体力と相関しています。すなわち、体力が落ちてくると、飲み込み力もてきめんに落ちてしまう
・・・そもそもトレーニングというものは、ハードルが低めのメニューを長く続けていくのが、もっともいい結果につながりやすいのです。
・・・首周りの筋肉が固まっていると、のど仏をもち上げる筋肉も動きが悪くなります。ですから、のど仏の動きをよくするためにも、首周りの筋肉もしっかりほぐしましょう。
・・・カラオケの「飲み込み力トレーニング効果」を十二分に引き出していくには、歌い方や選挙区にちょっとしたコツがあるのです。そのコツとは「高い声を出してうたうこと」。・・のど仏は高い声を出すと上がって、低い声を出すと下がります。のど仏の筋肉、咽頭挙上筋群を鍛えるには、この上下運動をしっかり行っていくことがポイント。ですから、カラオケの際、できるだけ高い声で歌ったり、キーの高い曲を選曲したりして、のど仏をしっかり挙げ、盛んに上下させるようにしていくといいわけです。
・・・「高い声」と「低い声」を交互に繰り返しだし続けていれば、のど仏はそのたびごとに上がったり、下がったりを繰り返し、それによってのどの筋肉(咽頭挙上筋群)が鍛えられることになります。
・・・一口一口を楽しむようなつもりで口に運ぶ食べ物をよく噛み、じっくりと味わって食べるようにするといいでしょう。
・・・誤嚥やムセを防ぐという観点で言うと、最初に液体のメニューを口にするのはよくありません。・・液体はのどを通過する速度が速いため、間違った入り口に入ってしまいやすいんですね。意外かもしれませんが、液体は最も誤嚥しやすい食形態なのです。・・①柔らかい(硬度)、②まとまりやすい(凝集性)、③べたべたしない(付着性)この条件にピッタリなのが「中華料理」です。
・・・のどの奥にある声帯の直径は、成人でおよそ2センチで、だいたい親指の太さくらいです。
・・・肺炎をさけたければ、なるべくカレースプーン1杯よりも少ない「一口量」で食事をするように心がけるといいでしょう。
・・・「飲み込みやすい姿勢」の基本は、「軽くお辞儀をする」ような姿勢です。・・誤飲を防ぐ有名な方法には「うなづき嚥下」と呼ばれる飲み込み方もあります。やり方は簡単で、飲み込む瞬間だけ、下を向いてごっくんするのです。・・椅子に座って食べる場合は、背もたれのある椅子に深く腰掛け、背中を伸ばし、頭をやや前に倒して食べるのが理想です。
・・・もし誰かがムセたときは、まずは上半身を前方へ水平に倒すこと。そして、気管を水平にして吐き出しやすい状態で咳をさせるのが正解です。
・・・痰は、呼吸器にとって有害な物質を体外に排出する役割を果たしています。・・痰は身体の調子が悪い時だけに出るのではなく、調子のいい時も出ているし、健康な人にも出ています。成人の正常量は一日に100ml程度。もっともこれくらいの量であれば、ほとんどは無意識のうちに飲み下してしまいます。・・痰が多い状態は、気管や肺が弱っているというシグナルのようなものなのです。
・・・逆流性食道炎による誤嚥は、夜、寝ているときに起きるケースが少なくありません。普通に仰向けに寝ているうちに、酸っぱいものが込み上げてきて、その内容物が気管へ入ってしまうのです。・・逆流性食道炎を起こす原因には、「肉などの脂肪分の多い食事」「暴飲暴食」「不規則な生活」「精神的ストレス」などが挙げられています。
・・・男性の方が女性よりも下がり具合が大きいのです。・・「のどの機能は男性のほうが衰えやすい」「女性は比較的衰えにくい」と言ってしまって差し支えないでしょう。
・・・「マスクをして眠る」という行為は、のどの健康を守るうえで、たいへん理にかなっていることになります。
・・・少なくとも医療関係者には、のどが痛くなった時にのど飴を舐める人はほとんどいません。
・・・うがいには、口やのどの乾燥を防いだり、のどに付いた細菌やウィルスを洗い流したりする働きがあります。ただし、うがい薬は必要なし。なぜなら、うがい薬は、のどの粘膜にとっては少々刺激が強すぎるのです。
・・・(「のどの狭さ」に起因するいびきは、)原因としては、肥満でのどの脂肪が多い、加齢でのどの筋肉が落ちる、などが挙げられます。
・・・2011年度、誤嚥による窒息事故の死亡者数(4816人)は、交通事故による死者数(4611人)より多くなってしまいました。
手術後の患者さんはどうしても体力や免疫力が落ちています。このため、自分の唾液を誤嚥し、そこから肺炎を起こしてなくなる方がおられたのです。』

2017年5月 5日 (金)

勝ちきる頭脳 (井山裕太著 幻冬舎)

私も下手ですが囲碁を趣味にしています。七冠保有の井山棋士の本著は、囲碁に限らず間違いなく人生に通ずるものを伝えてくれる内容でした。その考え方は、仏教と共通のものを含んでいると思います。弱冠20代でこの境地に達しているとは、本当に脱帽です。

『・・・「打ちたい手を打つ」という行為は、僕が自分に課している信念で、これを棋士人生の中でつらぬいてきたからこそ、今の僕があるのです。もし無難な手を優先したり、リスクを恐れて回避してばかりいたら、七冠はおろか、一つのタイトルも取れていなかったに違いありません。
・・・囲碁というゲームは、二〇〇手を超えて終盤を迎えた場面でも、たった一手のミスで優勢をフイにしてしまうことがあります。・・百問百答を繰り返した結果、「あとで後悔するような手だけは打たない。常に自分が納得できる手だけを打つ」という、自分に対する決め事のを作ったのでした。・・一手一手、目の前にある局面で最善を尽くすということです。・・着手をする際、「この後どんなことになっても、それを受け入れる」という覚悟を持つようにしました。これが「納得した手を打つ」ということ
・・・トップを争っている人たちは例外なく、そうした「形勢が悪い時の踏み込み」が抜群に鋭いわけです
・・・自分の打ちたい手、最善と思う手を選択することを貫いているうちに、見えてきたものがありました。それは「リスクがあっても、最善と思う手を選択している方が、勝ち切れることが多い、という事実です。
・・・やるのは本人ですが、その本人をやる気にさせたり、子供の特性に合わせて気持ち良く行動できる環境を用意することが、周囲の大人にとっては何より大事なことなのだと思います。
・・・囲碁の目的は「最終的に勝つこと」なので、自分が余裕をもって優勢な場合「正解」は複数あるということです。・・最も大きな差で勝てる手段のことを言い、勝利という最終結果は同じであっても、僅差で勝つよりは大差で勝つ方が「最善」というわけです。「正解」は複数存在しますが、「最善」は一つしかありません。
・・・そこでものを言うのが、譲歩であれ決行であれ、自分の選択しようとしている道が「本当に正しいのかどうか」の裏付けをとるための「読み」です。読みを入れてみて間違いないとなったら、それを実行する---囲碁というのは結局、この繰り返しをしていくよりほかないのではないでしょうか。
・・・大きな勝負であればあるほど、どうしても「安全な手を選びたい」という気持ちがわきがちなのですが、じつは勝負においてこの心理こそが最も危険である---このことを僕は過去の敗戦で学んできました。いつも平常心を保ち、自然体で碁盤に臨んでいれば、そこの勝負の大小という要素が入ってくる余地はありません。
・・・勝負の先行きに関しては楽観的に見て、現局面は悲観的に捉えるといったところでしょうか。
・・・「ヤマ勘」が明らかな当てずっぽうで根拠がない選択であるのに対し、「直観」には確実に根拠がある・・その根拠とは何か?人によって微妙に回答が変わるかもしれませんが、僕は「経験と流れ」だと答えます。
・・・日々の勉強で棋譜ならべがありますが、僕はこの時、ただ漠然と手順を追って並べるのではなく、割と意識的に「普通では気が付かないような別の選択肢はないか?」と探すことにしています。この訓練が、人が廃案とするような手を「直感」の班内に残しているのではないでしょうか。・・「直観」だけでは不利な形成を打開できないので、もうひと絞りして「ひらめき」にたどり着く---こうした思考順序だと思います。
・・・「読み」とは「先を見通す力」なのですが、この能力には当然ながら差があります。・・中国や韓国では、強い棋士を養成するために若いうちから、というより若い時だからこそ、読みの力を徹底的に鍛え上げます。読める局面、つまり正解が存在する局面で正解を出せることこそが、勝てる棋士を養成するにあたっての最重要課題だとみているからです。・・囲碁では「直観」が占める部分も大きいのですが、この分野はなかなか伸ばすことが困難でもあります。対して「読み」は鍛えれば鍛えるほど伸びる傾向が強いので、中国や韓国は、そうした鍛えられる部分を徹底した伸ばしていこうという方針なのです。・・「読み」に限って言えば、プロならそれほど大差はありません。皆、ある程度のところまでは等しく読むことができるのです。ただしそれには「時間がたっぷりあれば」という条件が付きます。・・囲碁において最も重要なのは、その「読み」によって導き出した無数の出来上がり図を、どう判断するかなのです。プロの間でも差が出るののは、この「判断」の部分であると言っていいでしょう。
・・・「序盤における直観は好みである」とも言えます。それに対し、石が混みあってくる中盤以降では、石の生死や地の計算といった要素が入ってくるので、はっきりとした正解手が存在する局面が増えてきます。
・・・でも人間ですから、ミスをするのは仕方がありません。ミスは出るものだとして構えておく必要があり、そのうえでどう対処するかが、勝負において非常に重要なテーマになってくるのです。・・目の前の局面を「どういう状況であっても、なるべく同じ心理状態で見る」ことが大切でしょう。ミスをした、しないは関係なく、今この局面での最善手は何かということだけに意識を向けるのです。・・ミスをしたことは分かっていても、何とかその手に意味を持たせたい、完全に見捨てたくはないという心理で「顔を立てたい」と思ってしまうのです。しかしこれは、傷口をさらに広げる結果となる可能性が大と言わざるを得ません。ミスと言っても大した損ではなかったのに、そのわずかな損を惜しんだあまり、一局の碁を失ってしまった---これはともよくあるケース
・・・棋士背後を勝負事としてだけではなく、作品として捉えている部分があります。人に見られて恥ずかしくない棋譜を残したいということです。
・・・棋譜はやっぱり、人を映す芸術作品なのです。自分らしい手や自分にしか打てない手を打つことが、今の僕の大きなモチベーションになっています。
・・・心技体とよく言いますが、まさにこれは三位一体---どんなに高い技術を身につけて心境が澄んでいようとも、身体が弱っていてはすべてが台無しになってしまうのです。
・・・棋士ならば誰もが、自分の打った碁を並べ直し、反省を行っているはずです。この復習なくして、成長はありません。・・中国や韓国の棋士が共同研究で生まれた結論を多用し、10代から早々に活躍する反面、30歳を超えると皆揃って衰退していくのは、この「情報に頼りきり」という一面があるからではないでしょうか。
・・・自分の対局手順を覚えていないということは「着手に必然性がなく、軽い気持ちで打っていた」ことになる
・・・囲碁で必要なのは、学業的な能力ではないのです。求められているのは、ある局面を見て「あ、以前に似た局面があったな」とか「こういう形の時は、ここが急所であることが多い」などと察知する能力---応用力とか適応力であり、刺激的な表現をすれば「嗅覚」と言ってもいいかもしれません。
・・・定石とはあくまでもマニュアルであり、それ以上でも以下でもありません。使い方次第で、薬にも毒にもなってしまうからです。・・「部分的な打ち方のマニュアル」に過ぎないのです。・・「定石通りの手を打つ」ことよりも「その定石が全局にマッチしているかどうか」という判断のほうが重要となってくるのです。・・簡単な定石でいいので、その一手ごとの意味を考えるようにしてみてください。
・・・負けた事実はもう消すことができないので、同じ失敗をしないよう、自分がさらに成長するしかありません。今より少しでも上に行きたい---この探求心があれば、いつまでも挫折しているわけにはいかないのです。
・・・今の中国・韓国の若い棋士の実戦量たるや、それは凄まじいものです。尋常ではない実戦の数をこなし、そのなかから自分で何かを得たり覚えたりして、強くなっていくスタイルなのです。
・・・90年代前半までは「日本のナンバーワン=世界のナンバーワン」で間違いありませんでした。しかし90年代後半にその座がやや怪しくなってきて、2000年代になるとついに韓国がナンバーワンに。そして10年代になる頃から中国も肉薄してきて、現在は「中国と韓国の2強」という情勢です。日本は残念ながら3番手と言わざるを得ません。・・日本には聖徳太子の時代に、仏教とともに伝来したことは確かなようです。その日本の囲碁が飛躍的な進歩を遂げたのが江戸時代でした。徳川幕府が囲碁(と将棋)を保護し、家元を作ったことで、技術的な研究が大いに進んだのです。・・日本碁界全体が油断したという一面はあるのでしょう。しかし、それ以上に「駐豪と韓国が国を挙げて強い棋士を育成し、日本に追いつき追い越した」と見るべきでしょう。・・僕が対戦していて特に感じるのは、読みであったり計算であったりと言った「答えの出る分野」での正確さが際立っているという点です。
・・・江戸時代に家元が作られてからたゆまぬ精進を続けてきた日本の囲碁は、そんなにヤワなものではないという思いもあります。日本の囲碁には独自の良さがあり、それを前面に押し出し精進していけば、再び中韓を抜き返すことも不可能ではないと考えているのです。では、その「日本の囲碁の良さ」とは何か?それはやっぱり「碁は自分一人の力で精進していくもの」という日本の伝統的な考え方ではないでしょうか。・・中国・韓国棋士の最大の強みは、安定した中盤から終盤の力です。この力は卓越した読みと計算の納涼によって支えられており、脳が素早く働く若さが原動力です。瞬発力と言ってもいいでしょう。だからこそスポーツ選手と同様、瞬発力に陰りが見え始めてくる30台になると、衰えてきてしまうのです。・・日本の棋士はこのように活躍の期間が長いのかと言えば、これは若いころに「自分で自分の碁を創り上げてきた」からでしょう。
・・・朴さんに限らず世界の超一流は、相手がひとたび守りに入ったら、徹底してそこに付け込んできて、最後には逆転を果たしてしまいます。
・・・僕が、若手のどこを見ているのかというと、公式戦でも練習碁でも、実際に対局していて「大事なところに石が来るかどうか」です。僕が「ここに打たれたら嫌だな」と思っていた所に打ってくるかどうかということですが、今は粗削りで結果が伴っていなくても「急所、急所!」に石がくる子は、やがて必ず頭角を現してきます。
・・・最後には結局「自分は囲碁というゲームを通して、井山雄太という人間を表現しているのだ」という考えに行き着くのです。・・羽生さんの真の偉大さは、七冠達成自体にあるのではなく、その後二〇年以上にわたって、今なおトップの座にあり続けているという事実にあると思っています。』

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