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2021年8月

2021年8月13日 (金)

The Intelligence Trap なぜ、賢い人ほど愚かな決断を下すのか(デビッド・ロブソン著 土方奈美訳 日本経済新聞出版)

進められて読んでみました。

どのような人間でも、得意分野と不得意分野はあり、それは頭がよくても同じです。

また、感情はIQとは無関係。感情的になれば、判断を誤りやすくなる。このようなことは、私にとっては機知のことで、あまり読む価値がないかと思っていましたが、読み進めるうちに、新たな発見もありましたので、それを書き留めておきます。

『・・・ファインマンは・・ファンへの返信にこう書いている。「人生の本当の喜びとは、あらゆる可能性をどこまで広げていけるのか、挑戦し続けることになる」

・・・心理学者の間では一般的知識、好奇心、誠実さを学業的成功の「三本柱」と見なす動きが出てきた。三つのうちいずれが欠けても、うまくいかない。

・・・もともと知能が高い人は、幼いころはダーウィンやファインマンよりも複雑な情報を容易に処理できたかもしれない。しかしあふれ出る好奇心がなければ、その優位性を維持することはできない。

・・・ドゥエックは語る。「安全策に逃げるという経験を重ねていくと、いつまで経っても自分の可能性をまったく広げることはできない」

・・・分散効果・・の真の原因はもっと直感に反するものだ。・・学習を小さな塊に分割することで、学んだことを忘れてしまう時間ができる。つまり次に学習を開始したとき、何をすべきか頑張って思い出さなければならなくなる。この一度忘れ、再び覚え直すというプロセスが記憶痕跡を強め、長期的により多くを覚えていられるようになる。1回あたりの学習量を長くすると、このいったん忘れて学習し直すという、重要なステップがなくなってしまう。このプロセスはつらいからこそ、長期記憶が促されるのだ。

・・・集団に優秀だが傲慢なメンバーがいると、集団的知能と、繊細なメンバーの個人的知能の両方が悪影響を受ける・・チームに何人かスター選手がいるとプラスだが、その割合が60%前後に達するとバランスが崩れ、それ以上になるとチームは苦戦していた。

・・・どんな組織にも、外部環境をコントロールすることはできない。常に何らかの脅威はある。しかし組織は、脅威に対する従業員の受け止め方を変えることはできる。別の視点を示唆したり、反証を探したりするのだ。

・・・リチャード・ファインマンはこう指摘している。「ロシアンルーレットをするとき、一発目を無事に切り抜けたからといって、次も安全だとはおもわないだろう」しかしNASAはこうした教訓から学ばなかったようだ。』

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