まだ大病にまで至っていない人には、大きな教訓を与え、また勇気を与えてくれる書だと思います。
私自身は、幸いまだ病気の症状はありませんので、この書に記されていることを参考にしていきたいと思います。
『・・・がんは体力の闘いでもあります。ステージⅡやステージⅢの患者には、まだ体力があります。体力があるうちに、体に害を及ぼす毒素や異物を含んだ汚血(瘀血)を取り除くことで、がんを克服できます。
・・・病は急に起きるのではなく、実は徐々にできていきます。その途中の段階で体の不調に気づけば、病気を未然に防ぐことができます。そのために大切なのは、自分の体の声を聞くこと、そして自然治癒力を高め、体をいい状態に戻すことです。では、どうして人は病気にかかるのでしょう。病気を起こす要因を整理すると、次の7つの要因が考えられます。①腐敗したタンパク質、以上タンパク質 ②腐敗した脂肪 ③細菌 ④ウィルス ⑤化学薬品 ⑥疲労 ⑦ストレス
・・・60歳を過ぎると細胞の老化が始まるため、排出機能が衰えてきますから、排出機能が衰えない生活習慣を身につけるとともに、溜まってしまった老廃物は取り除くことが大事です。
・・・病気が発生する根本的な原因はバクテリアや病原菌ではなく、体内から排出できない毒素の累積、蓄積によるものです。バクテリアや病原菌は、病気を引き起こすトリガーつまり、きっかけにすぎません。
・・・汚血は、ゼリーやレバーのような塊です。汚血が体内にたまると、血流を阻み細胞への栄養や酸素の供給、逆に細胞からの不要なものの排出を妨げます。いわば、体の中で渋滞を起こしている状態です。その結果、細胞が正常に機能しにくくなり、あちこちで故障が発生するわけです。
・・・汚血がもっとも溜まりやすいのが背中です。そのほか、両脇下、頸椎、肩甲骨の周辺、肩甲骨と胸椎の間、腰椎と両脇と骨盤の上部など数多くあります。
・・・肝臓は、自然に由来する食べ物や飲み物を分解する能力には優れています。ところが人口的に作られた化学薬品などの処理は苦手です。そのため処理しきれなくなり、肝臓組織がダメージを受けます。
・・・短期的なストレスなら、体の反応によって、このようにストレスに対応できます。しかし精神的なストレスなど、長期にわたる場合はそうはいきません。・・慢性的に交感神経が働くため常に緊張状態が続き、免疫機能が疲労してしまいます。
・・・不要なタンパク質と脂肪は、まず腰、坐骨、骨盤など大きな関節の隙間にたまり、次に両肩甲骨のまわりなど中関節の隙間に、その次に脊髄、骨の隙間、最後に手足など小関節の隙間の順でたまります。その結果、痛みが随時出てきます。・・本来排出すべき毒素がうまく排出できなくなると、血液によって全身をめぐり、その人の持って生まれた体質や病気の因子などに応じてあちこちにたまり、悪さをします。
・・・脳梗塞を防ぐには、老廃物を取り除くとともに、脂肪分の多い食事を控え、野菜を中心とした食事に変え、軽い運動を習慣にする。それだけでもかなり予防効果があります。
・・・現代西洋医学は、けっして万能ではありません。急性の病気や事故など救急医療が必要なケースや、手術が最適な治療法である病気などでは、西洋医学は効果的であり、その治療を受けることは大きな意味があります。しかし慢性疾患に関しては、西洋医学は延々と対症療法である薬物療法を続ける以外、打つ手はないと言っていいでしょう。
・・・自然界にないものは、自ら体外に排出するのが容易ではありません。そのため肝臓で処理しきれず、毒素になって体内に蓄積してしまいます。・・薬を飲んだ後に、湿疹が生じることがあり、「薬疹」と呼ばれます。排出されずに体表近くの毛細血管に集まった化学薬品に対し、体内の免疫機能が排除しようとして、炎症が起きるのです。・・そういう異物は体内に入れないように心掛ける必要があります。
・・・風邪をひいた時の熱や鼻水、咳は、自分自身の体が持っている自然治癒力が風邪のウィルスと闘い、自力で「排出」している証拠と言えます。風邪薬はウィルスを殺すのではなく、炎症を抑え、鼻水や咳を止めるだけです。つまり本来人間が持っている免疫反応に、相反する働きをしてしまうのです。
・・・人間の自然のメカニズムでは、尿で体内の余分な水分と毒素を出します。腸内のカスと毒素は便として排出します。
・・・これらの薬は、皮膚病を完治させるものではありません。毒素が体のなかで暴れるのを抑え、皮膚病の症状であるかゆみや発疹、浮腫などを一時的に抑えるだけです。
・・・私たちの体は、約60兆個の細胞からできています。そのうち約1パーセントが毎日死んでいくので、その分は細胞分裂によって補っていかなくてはいけません。・・コピーミスが生まれてしまい、突然変異を起こす細胞が出てきます。それが、がん細胞です。がん細胞そのものは、健康な人の体内でも一日に5000個くらいは作られているといわれています。・・健康な人であれば異常を起こした細胞は、アポトーシスによって取り除かれます。これがうまく機能すれば、がん細胞は増殖できず消滅していくので、生命を脅かさないと考えられています。しかし老化などが原因で、通常アポトーシスで自然に消滅していくはずのがん細胞が消滅せず、増殖して巨大化していくのが「がん」です。人間が生きている中で、一番エネルギーがあり、五臓六腑が元気で若いのは、20歳から45歳までです。
・・・体力とがんが五分五分のステージⅢのときに、体力を増強することが大事です。言い換えれば、ステージⅢまでのがんなら十分に回復の見込みがあるのです。
・・・がんはがん細胞が暴走して分裂が止まらなくなる病気です。・・しかし抗がん剤は、がん細胞と正常細胞を区別できません。そのため実際にはがん細胞だけではなく、体内のすべての細胞の分裂も阻害してしまいます。ですから、体に大きなダメージを与えます。・・必要であれば手術を受けたうえで静かに静養し、副作用のない治療をするのがいいと私は確信しています。とにかく自らの免疫力を高めて、副作用や害のない治療を選ぶことが大事です。
・・・できることなら、次のようなライフスタイルを目指してもらいたいと思います。 ①仕事を軽くし、充分な休養をとる。・・②一日に8時間以上睡眠をとり、熟睡出来るように工夫する・・③マッサージ、鍼灸療法などで、体の毒素を散らす。④源泉温泉に入り、体を芯から温める。⑤がんを転移させないために、がん因子を取り除く。・・⑥栄養バランスの良い食事を心掛ける。食べ過ぎは禁物。⑦汚血(がん因子、炎症因子、累積した化学薬品などの異物)を排出する。⑧体に合った漢方薬を服用する。⑨化学薬品や健康食品を常用しない。⑩外科手術はなるべく受けない。⑪瞑想などを生活に取り入れ、心を安定させるよう修養を積む。
・・・突然変異を引き起こして細胞をモンスター化させてしまう因子は、さまざまな種類があり、体のあちこちに存在しています。がん因子とは、分かりやすく言うと、細胞を突然変異させてしまう毒素です。なかでも最大のがん因子が、がん細胞が出す分泌物です。
がんが見つかると、あたかも「人生の終わり」と思ってしまう人が少なくありません。しかし、実は終わりではなく、「療養生活の始まり」です。・・がんは老化と生活習慣によって生じる病気とも言えます。食事、仕事の仕方など長きにわたって続けた週刊で、病気が作られるのです。
・・・中国に「病は口から入り、禍は口より出ず」ということわざがありますが、そのくらい食べ物は重要です。・・私たちは、毎日の生活で、気付かないうちに体に毒をどんどんため込んでいます。その毒はいつしか体のなかで限界量を超えてさまざまな病気の原因となります。
・・・摂取と排泄のバランスがとれているのが、体にとっては最も無理のない状態です。・・なかでも気を付けたいのがタンパク質や脂肪の摂り過ぎです。タンパク質を過剰摂取すると、消化・吸収されなったタンパク質が腸内の悪玉金のエサになり、悪玉菌を増殖させ、腸内環境が悪化します。悪玉菌が増殖すれば、腸内では腐敗が進み、便通も悪くなり、悪玉菌が排出する毒素が腸から吸収され、大腸がんや腎臓障害、皮膚病などの原因になりかねません。・・脂肪分の過剰摂取も、肥満を招くだけではなく、アレルギー体質や多くの病気の原因になります。・・汚血をためないためには、理想を言えば、野菜や豆類、雑穀などを食生活の中心にし、タンパク質は旬の魚をお勧めします。できればシンプルな調理法で、素材に手を加え過ぎない方がいいでしょう。
・・・健康を保つには、食生活の見直しが必要です。その基本となる次の3点に留意してください。①食生活の質を見直し、なるべく「独」となるものを食べない。②食べ過ぎに注意し、タンパク質過多、脂肪過多にならないよう気をつける。③排泄する量を多くするため、水分を充分にとって尿の量を増やし、食物繊維を意識してとって便通をよくする。
・・・病を治すのは自然治癒力です。人は生まれながら持っている生命力と、自然治癒力という原動力のお陰で、生き続け、病を乗り越えることができるのです。・・体の違和感や痛み、かゆみは、「このままにしておくと健康を害しますよ」という体の声です。・・どのくらい自然治癒力があるのか、ひとつの目安が、「快眠」「快食」「快便」です。
・・・自然治癒力を養うためにはどうしたらいいのでしょうか。まず、一番必要なのは「休養」です。・・なにより家でゆったりと過ごす時間を持ち、充分に睡眠をとって心身を癒すことが自然治癒力を養う第一歩です。・・健康を維持するためには、なにごとにおいても、「過ぎる」を避けるべきです。・・「過ぎる」と体力を消耗させ、抵抗力や自然治癒力が落ちてしまうからです。
・・・本来、70歳を過ぎたら、夜は8時から9時の間に眠り始めて、朝6時に起きるサイクルができあがるのが、健康的である証拠とも言えます。・・できれば毎日8時間以上、質のいい睡眠をとりたいものです。・・そのために必要なのは、静かに心を落ち着かせ、肉体を弛緩させること。
・・・細胞が老化しているかどうか、その目安となるのが爪の状態です。爪が軟弱になって割れやすくなってくると、老化の始まりです。
・・・血の巡りがよくなれば、気の流れ、水の流れもよくなります。・・運動をして血流がよくなると、栄養素や酸素が体の隅々にまで行き渡り、エネルギーが活発になります。代謝物も血液によって運ばれ、排出するので、体内に溜まりにくくなります。・・運動によって汗をかいていることが重要なのです。日常的に汗をかくと、汗とともに毒が排出され、毒が溜まりにくい体になるのです。・・筋肉が減ると代謝力が低下し、血流も悪くなります。すると、汚血の渋滞が起きやすくなるのです。
・・・五臓とは肝、心、脾、肺、腎の五つ、六腑とは大腸、小腸、胆、胃、三焦、膀胱の六つです。・・三焦とは、横隔膜より上部の「上焦」、横隔膜からへそまでの「中焦」、へそから下の「下焦」の総称です。
・・・気や血、水の通りが滞ると、さまざまな病が生まれます。その通り道の滞りを改善してくれるのが、鍼による治療です。
・・・365種の生薬を「上品(じょうほん)」「中品(ちゅうほん)」「下品(げほん)」に三つに分類している・・「上品」は生命を養い無毒で、長期間服用してもかまわないもの。・・「中品」は体力を養い、使い方次第で有毒にも無毒にもなるもの。・・「下品」はいわばくらいの低い「召使」に相当するランクの薬で、有毒なので長期間服用してはならず、病気になった時に使うものです。
・・・西洋医学の化学薬品は、対象となる症状や体の部位にピンポイントで効き目を発揮するように作られています。一方、漢方薬は体全体に作用し、結果として症状を緩和し、病気を治す働きがあります。そのため漢方薬と化学薬品では同じ効果を持つ薬でも、体への作用の仕方が違います。
・・・中国医学には「三通」という概念があります。身体を循環する「気」「血」「水」の三つの流れがスムーズであれば、健康は維持できるという考え方です。「気」とはわかりやすく言えば、エネルギーや生命力そのものと言ってもいいでしょう。・・「血」は血液循環に加え、血液の状態や造血機能の状態などをさします。・・「ドロドロ血液」より、さらに悪い状態が「汚血」です。ドロドロで流れにくいばかりでなく、不純物、老廃物を含んでいます。・・「水」とは体液のことです。体液には、リンパ液、細胞外液などがあり、体内を循環して関節の動きや体温調節も助けます。・・「気」「血」「水」の三通は、単独で成り立つものではなく、お互いに密接な関係を保っています。・・この三通のバランスは、ちょっとしたことで崩れます。ストレスや疲労で免疫力が低下すれば、「水」の流れが悪くなり、「血」の巡りも滞り、「血色が悪い」状態になるのです。・・「気」「血」「水」のバランスがとれ、すべて滞らずスムーズに流れているのが「健康」な状態です。
・・・汚血が溜まりやすい場所は、・・後頭部と頸椎の間、耳と目と咽頭の三角地帯、頭蓋骨の空洞、背中、両脇下、肩甲骨の周辺、肩甲骨と胸椎の間、腰椎の両脇、骨盤の上部、大小関節の隙間などです。なかでも背中は、汚血のタンクとでもいうべき場所。
・・・鍼灸の原理は、体内にたまっている毒素の塊を散らしてやっつけます。・・体内毒素は、生活していると知らず知らずのうちに硬くなり潜んでいます。それをまず散らす必要があります。そのために役立つのが運動をする、マッサージをする、鍼灸をする、という方法です。
・・・すべての基本となるのが肝臓です。肝臓を助ける生薬として、一番効果があるのが、熊胆と牛黄です。』