嶽神伝 無坂(下) (長谷川卓著 講談社文庫)
前作にくらべると、地味な感じがしましたが、読みだすと止まらないところは変わらず、またはっと思わせる個所もいくつかありました。さらに、まだ完結ではなく、この後の作品に続いているようです。
『・・・「鋭い奴よの。しかし、それでよいのだ。生き延びる最良の方法は、逃げることだからな。」「逃げ道のない時は?」「ある。探せば、必ずある。見つけられぬのは、見栄と、驕りのせいだ。そのようなものは捨てればよいのだ」
・・・覚えておけよ。人を殺そうと思うたら、人を雇わずに、どんなに危なくとも己でやることだ。己を死地に追い込まねば、人は殺せぬぞ」
・・・線香は乾燥させた杉の葉を粉に碾いたものを松脂などで固め、線状にしたもの
・・・「腹が減るとつまらぬことで不安になる。特に夜とか、雨だとな。火を熾さずに食べられる物を、必ず籠に入れておくことだ」
・・・「人と違い、獣は己の死期を悟ると聞いたことがある。もしそうなら、見送ってやるのが、俺たちの務めだ。」「寂しい。皆があしの側からいなくなってしまう・・・・・」「お前には玄三がいる。年を取るとは、そういうことだ。親とか兄弟とか、与えられた者がいなくなり、自ら得たものが残る。そうやって、また生きていくんだ」』
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