嶽神(上) 白銀渡り (長谷川卓著 講談社文庫)
久しぶりに読んでいて時間を忘れるほど面白い、時代小説に出会いました。シリーズで10冊以上あるので、楽しみ半分、他にもやりたいことがあるので時間が惜しいような気も半分します。
『・・・この乱世を生き抜くには、知恵と金が要る。知恵と金があれば、戦えるからの。
・・・儂ら小国の者はな、あちこちに種を蒔いておかねばならぬのだ。あちらに芽が出たら、こちらの芽を抜き、こちらに芽が出たら、あちらの芽を抜くという具合にしながらの。抜くにも、芽が出てなければ抜けぬ。選ぶ道は、より多くあった方がよいのだ。
・・・一度見たこと聞いたことは、決して忘れるな。それが生き残る法だとも教えられた。
・・・山の者の中から、時としてとてつもなく知力と技に長けた者が出ることがあるそうだ。その心根はかくまでも清く、出会うた者は皆、その心に打たれるという。彼の者どもは《嶽神》と呼んでおった。
・・・歩く。歩く。歩く。そして、振り返る。歩いてきた道筋が見え、今いる高さを知ることができる。それが山を歩く醍醐味なのだ。振り返れ。己が歩みを確かめろ。それをさせてくれるのが山だ。
・・・狸には、肛門の近くに臭腺があり、誤って切ると肉ににおいがついてしまい、食べられなくなる。
・・・「生きるというのは」と言って、勝三が大真面目な顔をした。「大変なことなのだ」
・・・「切れ者と言われ、己もそう思うておる輩は危ないからの」「正に」「御屋形様はご幼少の頃から人質暮らしをなされ、長じても築山殿の一件などなど思うに任せぬことが多かった御方だ。相当ひねくれておられる。そのような御方の前では、表裏なく振舞うのだぞ。そなたは切れるゆえ、敢えて言うておくが」』
・・・この乱世を生き抜くには、知恵と金が要る。知恵と金があれば、戦えるからの。
・・・儂ら小国の者はな、あちこちに種を蒔いておかねばならぬのだ。あちらに芽が出たら、こちらの芽を抜き、こちらに芽が出たら、あちらの芽を抜くという具合にしながらの。抜くにも、芽が出てなければ抜けぬ。選ぶ道は、より多くあった方がよいのだ。
・・・一度見たこと聞いたことは、決して忘れるな。それが生き残る法だとも教えられた。
・・・山の者の中から、時としてとてつもなく知力と技に長けた者が出ることがあるそうだ。その心根はかくまでも清く、出会うた者は皆、その心に打たれるという。彼の者どもは《嶽神》と呼んでおった。
・・・歩く。歩く。歩く。そして、振り返る。歩いてきた道筋が見え、今いる高さを知ることができる。それが山を歩く醍醐味なのだ。振り返れ。己が歩みを確かめろ。それをさせてくれるのが山だ。
・・・狸には、肛門の近くに臭腺があり、誤って切ると肉ににおいがついてしまい、食べられなくなる。
・・・「生きるというのは」と言って、勝三が大真面目な顔をした。「大変なことなのだ」
・・・「切れ者と言われ、己もそう思うておる輩は危ないからの」「正に」「御屋形様はご幼少の頃から人質暮らしをなされ、長じても築山殿の一件などなど思うに任せぬことが多かった御方だ。相当ひねくれておられる。そのような御方の前では、表裏なく振舞うのだぞ。そなたは切れるゆえ、敢えて言うておくが」』
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