人間と遺伝子の本当の話 ウソばっかり! (竹内久美子著 ワニブックス)
雑学的な内容かもしれませんが、かなり楽しみながら読めました。
『・・・自分と血縁が適度に近く、適度に遠い。どうもこれが一番良い結果を残す道のようです。・・一番よく実がなったのは、花から1~10m離れているところの花粉でした。近親交配による弊害があるため、近すぎるのがいけないのはもちろんですが、遠すぎるのもよい結果に結びつかないのです。ほどほどに近いことが重要。
・・・自分の顔の要素が22%入った顔が最も魅力的だという評価でした。やはりほどほどに自分に似ている顔をよいと思うのです。そしてこの場合、11%と33%自分の要素が入った顔というのは、むしろ嫌われる傾向がありました。
・・・体が全体的にシンメトリーであればあるほど、声も魅力的であるという傾向が現れました。
・・・夜や暗い場所で、人は心の垣根が取り払われやすいのです。・・夜はまた、瞳孔が開きます。そのため目が美しく見えるのですが、瞳孔の広がりは相手に対し強い関心があることも意味し、これまた相手を勘違いさせる効果を持っています。
・・・人間でも相手選びの主導権を握っているのは女(メス)の方だということ。・・ほとんどの女が元カレをきれいさっぱりと忘れられるという現象があるのは、自分の方から降ったからこそであり、相手への愛想はつきており、未練どころか、思い出すのも嫌だからなのです。
・・・サイコパスと聞くと、連続殺人犯のような人々を想像しがちですが、とにかく良心による歯止めが効きにくく、反社会的な行動を平然と行ってしまうという人物にも当てはまるのです。
・・・睾丸の大きさと行動の怪しさとの間に相関がありました。もちろん睾丸が大きい男は、行動が怪しい傾向がある。・・イクメンは睾丸が小さい傾向にある----。・・睾丸の大きい男はといえば、我が子の世話にはあまり熱心でない傾向にありました。
・・・人間も動物の一種です。実は動物としては、どの子も平等に愛するとか、世話をするという行為は極めて危険で、最悪の場合には子どもたちが全滅という事態に至るのです。・・今でも原始的な生活を送る、南米などの先住民たちの社会を調べたところ、双子は十分なサポートがなければ両方とも育て上げるのがむずかしいので、どちらかを殺してもいい。上の子とあまり間があくことなく生まれた子は殺してもいい。養育してくれる男がいないまま生まれた子や子に障害がある場合などにも殺してよい、などという掟があり、殺してもとがめられない仕組みになっています。それらの殺しは、それだけをみるとマイナスですが、全体的にみるならば、この全滅を防ぎ、多くの子を生き残らせるための戦略です。
・・対戦相手との実力の差が大きい場合には関係がないのですが、相手との実力が伯仲しているときには、赤か青かによって試合結果に多大な影響が現れました。4種を平均すると、赤の勝率が62%であるのに対し、青は38%、赤は青をはるかに凌ぐ勝率なのです。・・考えられるのは、赤のユニフォームや防具を見た方、つまり青はビビる。そして赤を身に着けた方は、自分が強くなった気分になり、自信たっぷりに戦うのではないかということです。実は、動物界には繁殖の時期にオスの体が赤くなり、赤ければ赤いほどオスとして優位に立つし、メスにモテるという例があります。・・これは男性ホルモンのテストステロンの作用によるものです。
・・・人は黒いユニフォームを着るとより攻撃的になるだけでなく、実際の攻撃性以上のインパクトを他者に与えるようです。
・・・自分が甘いお菓子を注文し、食べる。あるいは相手が温かい飲み物を注文して、カップを持ち、飲む。すると相手が自分を「温かい人、親切な人だ」というよい印象を持ってくれるのです。
・・・苦い味を味わうと、同じ場面の描写であっても、モラルジャッジメントは厳しくなるのです。・・苦いものだけでなく、オーガニック食品もモラルジャッジメントを厳しく性質があるのでご用心を。
・・・結局、平和とは順位があるときに訪れ、順位がなく、平等である時には争いが勃発する。これが動物たちの行動から導かれる、皮肉な結論となります。
・・・悲しいとき、嬉しいとき、悔しいとき、怒ったよきのように、感情のうねりとともにあふれてくる涙は、これら普通の涙とは成分も分泌される仕組みも違います。・・実は感情のうねりによる涙でも、悔しいとき、怒ったときと、悲しいとき、嬉しいときとでは成分が違います。・・悔しいとき、怒ったときは交感神経が興奮、悲しいとき、嬉しいときは副交感神経が興奮します。・・交感神経が興奮していると血管が収縮するので、ナトリウムの多い、しょっぱい涙となり、粘り気もある。副交感神経が興奮していると血管は収縮しないので、ナトリウムの少ない、甘めの、しかもサラサラとした涙が出てきます。そして重要なのは、どんな感情のときにも、ストレスの原因となるプロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コルチゾールなどとともに、痛みを和らげるエンドルフィンなどが涙に含まれ、体外に放出されるということ。つまり、泣くことでストレスの元が放出されるし、痛みも和らげられるわけなのです。
・・・やはり顔がいいと、寿命が長い傾向がありました。しかも男の方で、よりその傾向が強く現れました。
・・・隠れた交尾は霊長類として珍しく、チンパンジーもゴリラも、そしてニホンザルも昼間、隠れず、皆の見ているときに行われるのです。
・・・体脂肪率が18%を下回ると、半分以上の女性に排卵が起きなくなります(排卵がなくても月経があることもあります)。そして排卵があり、妊娠したとしても低体重の子が生まれる可能性が高い。・・要するに、女性は社会でばりばり働きたいわけなので、妊娠はなるべく先送りにしたい。そのために痩せて体脂肪を減らし、妊娠しにくい体形を願うようになった。その象徴がツィギーであり
・・・実は、お乳の出と関係があったのは、お尻と太ももの大きさでした。お乳はお尻と太ももの脂肪を原料としてつくられているのです。おっぱいは関係しないという次第。
・・・縄文人はALDH2については突然変異の起きていない、N型しか持っておらず、訥弁変異が起きたD型をもたらしたのは渡来人と考えられていて、それは原田氏が行った調査からも裏付けられます。
・・・ダンス、それも皆がシンクロした動きをするということには、大変重要な進化論的意味があるのです。そもそも動きや信号をシンクロさせることには、同じ種であることの確認と、相手からの求愛を受け入れるという意味があります。・・シンクロしたダンスを経験すると、他のメンバーとの距離が近く感じられ、より団結し、連帯感が生まれる。
・・・社会的に孤立している人は、虚血性心疾患や脳卒中のリスクが高まると言われています。
・・・少々学歴が低くても、少々経済的に恵まれていなくても、自分を気にかけてくれる友人、家族に恵まれているということの方が、少なくとも虚血性心疾患や脳卒中を起こしにくい、という作用をもたらすのです。
・・・女は独り暮らしをしていることと糖尿病についての状態に相関は現れませんでした。しかし男では重大な相関が現れ、独り暮らしをしている男では、既に糖尿病を発症している確率が正常である場合の2倍近くあるのです。
・・・実は血液型の本質とは、免疫の型なのです。・・A型、B型、O型、AB型とは、赤血球のひょめんにある糖鎖の種類の問題であり、病原体などの侵入者といかに戦うかという戦術の違いでもあるのです。・・A型は、恐ろしいことにガン全般に弱いことが分かっています。
・・・梅毒はアメリカ大陸に特有の病気であったのですが、コロンブスの一行が”土産”としてヨーロッパへ持ち帰り、その後はアジアへと広まりました。そのアメリカ先住民の血液型なのですが、ほとんどがO型なのです。』
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