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2017年10月 1日 (日)

新聞記事から (【緯度経度】「朝鮮半島有事」への教訓 黒田勝弘、【日曜経済講座】衆院選・北朝鮮問題を考える 真の脅威は中国の膨張主義) 産経新聞朝刊 29.9.30、29.10.1)

2件とも、傾聴すべきものだと思います。

先ごろ日本で天皇、皇后両陛下が埼玉県日高市にある高麗神社を訪問されたというニュースを、韓国のマスコミは写真付きで大々的に伝えていた。この神社が古代・朝鮮半島の高句麗から渡ってきた渡来人を祭っているということで、両陛下が古代史における朝鮮半島の日本への影響に強い関心を持たれていることを歓迎し、大喜びしているのだ。

 このところ韓国人との会食でよくこの話が出る。陛下は日韓共催のワールドカップ・サッカーを前にした2001年の誕生日会見でも「(奈良時代の)桓武天皇の生母は百済王の子孫」という「続日本紀」の記述を紹介され「韓国とのゆかり」を語られている。したがって天皇陛下は韓国では“親韓派”と思われているのだ。

 韓国人は古代史というと朝鮮半島が一方的に日本に恩恵を与えたように思っていて、いわば“先輩気分”で意気揚々となる。今回もそうだ。そこで韓国人にいうのが7世紀、日本が百済復興の支援軍を派遣した「白村江の戦い」だ。

 百済・日本連合軍と唐(中国)の支援を受けた新羅・唐連合軍の戦いだったが、日本軍は大敗し水上で壊滅する。そのときの派遣兵力は「最低でも3万7千余」(中村修也著「天智朝と東アジア」NHKブックス刊)にもなる。あの時代にこの数はすごい。

 日本にはそれほど百済への“義理”があったということだが、この故事は韓国ではまったくといっていいほど教えられていない。最近、旧百済の遺跡を観光旅行してきた日本の友人は「どこにも何の記念物もなかった!」と怒っていた。

 日本には高麗神社のほか百済神社や新羅神社などが大昔からある。佐賀県の有田焼の里には「陶祖」として朝鮮陶工を祭った100年前に建てられた記念碑もある。韓国人は与えた恩恵や自らの被害はいいつのるが、支援されたことには全く知らん顔で伝えないというのは、古代史ばかりではないようだが…。

 朝鮮半島をめぐる戦争の歴史としては、「白村江の戦い」の後、13世紀の「元寇」はモンゴル族の元(中国)が高麗を手先に日本に侵攻してきた。16世紀の文禄・慶長の役(韓国でいう壬辰倭乱)は、最後は朝鮮半島侵攻の豊臣秀吉の日本軍と朝鮮支援の明(中国)との戦いになった。

 下って19~20世紀には日清、日露戦争など朝鮮半島を舞台に日本は清(中国)やロシアと戦っている。1950年代の朝鮮戦争では、北朝鮮・中国連合軍の侵略と戦う米(国連軍)韓連合軍を支援する後方基地となった。

 この後方支援があったから米韓軍は何とか北からの共産主義侵略軍を撃退し韓国は国を守れたのだが、韓国では「日本は戦争特需でもうけて経済復興した」という話ばかりで「日本の支援」の効果など全く無視されてきた。

 最近の北朝鮮の弾道ミサイルや核開発は日本への軍事的脅威でもありその備えは当然、必要だが、コトの本質は朝鮮半島の南北の内部対立であり「朝鮮半島有事」の問題である。その際、来るべき日本の関わり方は歴史的に見て、どのパターンになるのだろう。

 歴史的経験として「白村江の戦い」の直接派兵はもちろん、直近の後方支援でさえ感謝されていないのだから「朝鮮半島有事」の際の支援の在り方には慎重を要する。過去のように“深入り”して逆に後世に禍根を残してはまずい。(ソウル駐在客員論説委員)』

『朝鮮半島危機の中で衆院選を迎えるというのに、争点がぼやけている。北朝鮮問題とは何か、国連による対北制裁の効力はなぜ乏しいのか、そもそも何が日本の脅威なのか、を再確認しよう。

 1950年1月30日「われわれには鉛が大幅に不足している。もし指示した量の鉛を送ってくれるなら、多大な支援を行う用意がある」

 同3月9日「われわれが示した通りの量の鉛を送るとの連絡を受け取った。支援に感謝する。あなたの要請通り、武器、弾薬および技術設備を提供する」

 以上は、ソ連のスターリン共産党書記長から北朝鮮の金日成(キムイルソン)首相への極秘電報で、ワシントンのシンクタンク、W・ウィルソン・センター収蔵の「スターリン文書」から拾い出した。

 この年の6月25日、ソ連の軍事支援の確約を取り付けた北朝鮮軍は暗号命令「暴風」を受けて北緯38度線を越えて侵攻を開始した。悲惨を極めた朝鮮戦争(53年7月休戦)の始まりである。

 上記電文のキーワード「鉛」は核兵器の原料、ウランの隠語である。ソ連は49年8月に初の核実験に成功したが、当時ウラン資源は国内で見つかっていなかった。スターリンは東欧産に加えて北朝鮮からも確保し、核で米国に対抗できるようになった。

 金日成はウラン提供の見返りに、スターリンから核技術協力を得た。子の金正日(キムジョンイル)、孫の金正恩(キムジョンウン)が執念を燃やす核兵器開発は、金日成後継の正統性の誇示でもある。いくら国際社会から非難されようとも、後ろには引かない。

 今年9月3日、北は6回目の核実験を強行した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)などミサイル開発の進化に合わせている。

 国連安全保障理事会は11日、対北制裁強化を決議した。目玉は対北石油輸出の制限だが、輸出のほぼ全量は中国からである。米国は全面禁輸を提案したが中国とロシアの反対で譲歩し、原油は現状維持、ガソリン、重油など石油製品は年間200万バレル(1バレルは約0・135トン)という上限を設けた。メディアの多くはその「厳しさ」を伝えたが、とんでもない解釈だ。

 グラフは中国当局公表の北向け石油製品輸出実績である。昨年末までの年間の総量はこれまでの最高水準で、200万バレルどんぴしゃり。今年8月までの年間では147万バレルまで落ち込んだが、これからは国連の容認のもとに白昼堂々、輸出を増やせるではないか。

 もう一つ、目を引くのは中国からの対北輸出の急増だ。石炭など北からの輸入は減っているので、中国の輸出超過額がうなぎ上りだ。国内総生産(GDP)が日本の最貧県程度でしかない北朝鮮は外貨不足で、貿易赤字分を払えないはずだが、中国の銀行が信用供与すれば可能だ。

 トランプ政権はそのからくりを見破り、北と取引する企業・銀行を制裁すると言い出した。そのターゲットはもちろん中国だ。米国から名指しされた銀行は米銀からドル資金を調達できない。つまり、国際金融市場から締め出されることになり、信用パニックに見舞われかねない。

 今月18日からの共産党大会を控えた習近平政権はあわてて、中国人民銀行を通じて大手の国有商業銀行に対し、北朝鮮関係の口座封鎖を命じた。これなら北を経済的に封じ込められそうだが、実際はどうか。

 まず、石油。平壌ではガソリン価格が高騰しているという。米軍情報筋に聞くと、「強欲な中国の輸出業者のせいではないか。中国側はこれまでにも北向けの輸出価格を国際相場よりも2割程度高くしてきた」との答えだ。朝鮮戦争以来の「血の友誼(ゆうぎ)」など無関係だという。

 高く売りつけても、相手が代金を払えないなら、当然貿易取引は止まる。ところが、相手の弱みにつけ込むのが中国商法だ。米軍筋は「中国は債権の担保に北の鉱山利権を確保する」とみる。これまで中国資本は、かつてスターリンも瞠目(どうもく)した豊富な北の鉱物資源獲得を狙ってきたが、金正恩政権のナショナリズムに阻まれてきた。制裁によって困窮している今こそ好機だ。

 習氏が目指す現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の東の終点は朝鮮半島だ。特に半島北部には金や銀、戦略物資であるウランや希少金属が埋蔵されている。ロケットマンこと金正恩氏の命運を問わず、日本などにとって中国という脅威が増大することだけは間違いない。

 総選挙では、与野党を問わず候補者たちに冷徹な危機感を持ってほしいところだ。』

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