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2017年4月15日 (土)

米中戦争 そのとき日本は (渡部悦和著 講談社現代新書)

たいへん参考になるところの多い書でした。

『・・・「トゥキュディデスの罠」・・これは古代ギリシャの歴史家トゥキュディデスが唱えた、「新たな覇権国の台頭と、対する既存の覇権国の懸念や対抗心が戦争を不可避にする」という仮説である。

・・・「距離の過酷さ(The Tyranny of Distance)」とは、「作戦地域までの距離」が作戦にいかに大きな影響を与えるかを表現した言葉で、もともとは「オーストラリアの歴史や独自性は、欧州からの地理的遠さと密接な関係がある」という、ジェフリー・ブレイニーの著書”The Tyranny of Distance)で使われた言葉だ。
・・・多くの専門家は「脅威=能力×意思」という公式で表現する。この場合の意思とは「他国を侵略する意思」だ。だが、私はこの公式は不正確だと思う。より正確には、「脅威=能力×意思+距離」、つまり、対象国の間の距離を変数として挿入すべきだと考えるからだ。
・・・現在はエア・シー・バトルの名称がJAM-GC(国際公共財への接近及び機動のための統合構想)に変更され、引き続き統合参謀本部第7部で検討されている。
・・・アジア太平洋正面におけるミサイル分野では中国軍が優位にある。中国軍はミサイル及び航空機によるアウト・レンジ戦法(敵の射程外から火力を発揮しこれを撃破する戦法)を採用し、米軍ほかの兵器の射程外から火力を発揮しようとしているのだ。中国軍は現段階においては、戦力に勝る米軍と本格的な戦争をしようとは考えていない。しかし、中国は現時点において米国以外の国(日本など)に対する短期限定作戦を想定しているし、近い将来において米軍と戦力が拮抗すれば、米軍に対する短期限定作戦も想定する---これが私の見解である。
・・・軍隊の作戦領域(ドメイン)が拡大している。従来は陸、海、空の三つのドメインが基本であったが、技術の進歩によって「宇宙」「サイバー空間」という新しい二つのドメインが加わった。米軍は、これら5つのドメインンのうち、「複数にまたがる=クロス・ドメイン作戦」(CDO)の相乗効果を重視している。・・米軍は各ドメインの作戦を統合することでの相乗効果を強調している。陸上戦力は、もはや陸での作戦のみを考えていては失格で、海・空・宇宙・サイバー空間での作戦をいかに活用し、相乗効果を発揮するかを考えなければならない。海・空の戦力も同様である。・・クロス・ドメイン作戦に次いで重要な作戦が「ハイブリッド戦」である。・・本書では正規軍と非正規軍(民兵、反政府グループなど)の混用、物理的破壊手段(軍事力)と非物理的破壊手段(謀略、情報操作などを活用した情報戦)の混用など、ハイブリッドな手段を活用した作戦をハイブリッド戦と定義する。
・・・いまやウクライナは、ロシアにとって最先端の技術や新たな戦い方を試すための実験場と化している。そこではサイバー戦、電子戦、情報戦、正規戦や非正規戦がミックスされたハイブリッド戦が続けられている。
・・・「超限戦」は、中国人民解放軍の喬良・王湘穂という二人の大佐が1999年に発表した概念・・文字通り、「限界を超えた戦争」であり、あらゆる制約や境界(作戦空間、軍事と非軍事、正規と非正規、国際法、倫理など)を超越し、あらゆる手段を駆使する、まさに「制約のない戦争」である。・・倫理や法の支配さえも無視するきわめて厄介な戦争観である。
・・・キル・チェインとは、ほぼリアルタイムで目標を発見、捕捉、追跡、ターゲティング(目標指示)、交戦(射撃)、射撃の効果を判定する---という一連のプロセスを指す。
・・・中国軍は、改めて米軍との実力の差を認識し、その差を埋めるべく翌年から大幅な国防費の増大に乗り出したのである。そのため、1996年から2015年の間に、中国の国防費は620%の大幅な上昇を遂げた。軍事力の整備に際し重視したが、「情報化」と「非接触戦争」だ。
・・・中国の潜水艦は、米軍が保有する音響監視システム(SOSUS)などの、広域にわたる潜水艦探知網によってその位置を常に監視されているが、逆に中国海軍はSOSUSのような水中センサーをごく一部しか整備していない。
・・・米国防省の年次報告書は、「中国の『後発制人』は建前に過ぎず、中国は朝鮮戦争において先制攻撃を行ったし、インド・ソ連・ベトナムとの国境紛争においても先制攻撃を行ってきた」と指摘している。
・・・「中国の軍事戦略」は、重大な4つの領域として海、宇宙、サイバー空間、核戦力を列挙している。
・・・戦略サイバー戦は、政府及び非政府システムなど、軍事的なシステムではない戦略的なシステムを攻撃することで、敵政府の戦闘を継続する意思や能力に影響を与えようとするものである。・・有事においてサイバー戦と電子戦は密接不可分な関係にあり、戦時においてはサイバー・電子戦として一体的に実施される。中国軍の電子戦能力は米軍に比較して劣っているが、サイバー・電子戦の重要性を認識している。
・・・SC-19以外では、高高度の衛星、例えば米国の全地球測位システム(GPS)を破壊する能力をもつDN-2を保有し、米国のみならず我が国にとっても脅威となっている。
・・・高周波兵器を開発中であり、5~10年後には実戦配備が可能となると予測する。高周波兵器とは文字通り高周波によって人工衛星の電子部品をオーバーヒート、またはショートさせることで損壊・破壊する兵器である。
・・・WU-14は、弾道ミサイルの弾頭(通常弾頭のみならず核弾頭も搭載可能)として発射されたのち、準宇宙をマッハ10で滑空し、目標に近づくと相手のミサイル防衛手段が対処できない。特異な軌道をして目標に到達し、これを破壊する能力を持つ。・・WU-14が使える兵器として配備されれば、日本と米国が採用するSM-3ミサイルや、PAC2/3ミサイルを駆使したBMD(弾道ミサイル防衛)では対処できず、その能力をさらに向上させる必要がある。
・・・実際の前方展開戦略においては、米国は同盟国や友好国とのネットワークを築くことで戦力投射能力の不利を補っている。とくに同盟国である日本、オーストラリア、韓国、フィリピン、タイの存在は大きい。
・・・米国の重要な目標は、中国の迅速な勝利を拒否することである。
・・・その論文な中で彼は、第一列島線を構成する国々(日本、台湾、フィリピン、インドネシア)とベトナム、シンガポールなどの国々の自国防衛を連接することで成立する「列島防衛」を提言しており・・・
・・・トーマス氏によれば、日米は戦争勃発の前後、役割を分担することになる。日本が担うのはPOSOW(準軍事組織による、戦争には至らない作戦)や「忍び寄る侵略」なる、日本的に言えば「グレーゾーン事態」に対処しつつ、南西諸島における対中国A2/ADを実施することである。・・日米が共同で行わなければならないこともある。「基地など重要施設の強靭性強化」と「ネットワーク戦」の実施だ。
・・・中国軍に対する作戦目標をどこに設定するかは、何をもって戦争終結とするかを決めることにもつながるため、極めて重要となる。この点に関してトーマス氏は、「撃破すべき第一の目標は中国海軍(つまり中国海軍の主要艦艇)」で、「第二が空軍(の航空機)」と断言していた。中国の海軍力に打撃を与えれば、中国本土への打撃を行う必要性が低下し、戦争のエスカレーションの抑制につながるからだという。
・・・CSBAの予測では、高出力レーザー兵器は5年以内、高出力マイクロ波兵器は5~10年で実戦配備可能であるという。電磁レールガンも10年以内で実戦配備可能になると思われる。
・・・ASBの成功を、技術面・兵器面でサポートする戦略に「相殺戦略(Offset Strategy)がある。これは「自陣営が優位な技術分野をさらに質的に発展させることで、ライバル国(中国やロシアなど)の量的優位性を相殺(オフセット)しようとする戦略」であり、要は相手の量に対して質で勝負しようというものである。・・「国防イノベーション構想(DII)」と密接な関係がある。・・米国が長期にわたって維持すべき五つの技術的優越分野として、「無人機作戦」「長距離航空作戦」「ステルス航空作戦」「水中作戦」「複合システム・エンジニアリングと統合」が想定されている。
・・・レールガン全体の開発は、今後10年以内には完成し、実戦配備されたことになると予想されている。・・第一段階の目標である32メガ・ジュールの砲口エネルギーを達成したという。このエネルギーだと弾体の射程は160㎞となる。第2段階では、1分間に10発の発射速度を達成し、発射に伴い発生する熱を管理する技術の開発を目指すという。・・レールガンと、指向性エネルギー兵器である固体レーダー(SSL:Solid State Laser)兵器である旨、説明してくれた。実戦配備の時期はSSLとHPMが5年以内、レールガンが5年から10年とCSBAでは見積もっている。・・一発当たりのコストの比較では、レールガンが3万5000ドル(ミサイルのコストの20~60分の1)、化学レーザーが1000ドル、SSLとHPMにいたってはわずか10ドルである。
・・・中国の特殊作戦部隊が空(空挺作戦、ヘリボーン作戦)や海から侵入し、破壊活動や重要目標の奪取に従事しつつ、ミサイルや航空機の火力発揮を容易にするためのセンサーの役割を果たすことになろう。この人間センサーの活用は、米軍もイラク戦争などで多用した基本的戦術である。
・・・我が国における宇宙とサイバードメインでの作戦能力の向上が急務である。
・・・中国は常套作戦としてのPOSOWを遂行し、米国の決定的な介入を避けながら、目的を達成しようと考える。準軍事組織による作戦の特徴は、①軍事組織である中国軍の直接攻撃はないが、中国軍は準軍事組織の背後に存在し、いつでも加勢できる状態にある。②非軍事組織または準軍事組織が作戦を実行する。
・・・中国は、あらかじめ潜入させている工作員などを活用し、紛争開始前後に沖縄をはじめとして日本のいたるところで破壊活動を実施、日本は混とんとした状況にある。
・・・機雷は大量生鮮が比較的簡単で、高価な艦艇よりはるかに安価である。対潜戦と同じく、中国海軍は対機雷戦にも弱く、この弱点を衝くべきである。
・・・戦争を抑止するためには日本が強い存在であることが大前提となる。戦争の抑止は力の均衡が必須の条件である。
・・・習近平主席の軍改革の目的は「戦って勝つ」軍隊の創設だった。戦う相手は日本であり、勝つ相手も日本である。戦って勝つためには手段を選ばない超限戦を実行する。超限戦では国際法も民主主義国家も論理も無視する。こういう手ごわい相手が中国であることをまず認識すべきである。
・・・この専守防衛というキャッチフレーズのために、国際的なスタンダードの安全保障論議がいかに阻害されてたことか。集団的自衛権の議論、他国に脅威を与えない自衛力という議論、長距離攻撃能力(策源地攻撃能力)に関する議論、宇宙の軍事利用に関する議論など、枚挙にいとまがない。例えば、「他国に脅威を与えない自衛力」にこだわれば抑止戦略は成立しない。
・・・国防省の事業からスピンオフした技術が米国の強さを支えている。例えば、インターネット、航空宇宙技術、人工知能(AI)、自動運転車、無人機システムなど枚挙にいとまがない。国防産業が米国経済の主柱であり成長産業である。・・最近の技術は軍民共用のデュアル技術が多くなり、単純に軍事アレルギーを引きずっていては世界の技術の発展から取り残されてしまう。
・・・グローバルに展開する武器を連接し、リアルタイム情報に基づいて迅速かつ効率的に火力打撃を実施するためには、強靭なC4ISRが不可欠である。
・・・・「米中戦争は、両国の経済を傷つけるが、中国経済が被る損害は破滅的で長く続き、その損害は、1年間続く戦争の場合、GDPの25%から35%の減少になる。一方、米国のGDPは5%から10%の減少になる。長期かつ厳しい戦争は、中国経済を弱体化し、苦労して手にいれた経済発展を停止させ、広範囲な苦難と混乱を引き起こす」』

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