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2016年10月23日 (日)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (橘玲著 新潮新書)

知人から、「決して新聞広告されないが、とても面白い本がある」と紹介されて、読みました。事実から目をそらしてはならないという著者の考え方には大いに賛同します。

『・・世界は本来、残酷で理不尽なものだ。その理由を、今ではたった一行で説明できる。人は幸福になるために生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない。
・・・どれほど努力しても逆上がりのできない子供はいるし、訓練によって音痴が矯正できないこともある。それと同じように、どんなに頑張っても勉強できない子供もいる。だが現在の学校教育はそのような子供の存在を認めないから、不登校や学級崩壊などの現象が多発するのは当たり前なのだ。
・・・決断は、願望ではなく正しい知識に基づいてなされるべきだ。
・・・犯罪心理学でサイコパスに分類されるような子供の場合、その遺伝率は81%で、環境の影響は2割弱しかなかった。しかもその環境は、子育てではなく、友達関係のような「非共有環境」の影響とされた。この結果が正しいとすれば、子供の極端な異常行動に対して親ができることはほとんどない。
・・・言語性知能は、家庭環境の影響を強く受けるものの、それを除けば、一般知能の8割、論理的推論能力の7割が遺伝で説明できるなど、認知能力における遺伝の影響はきわめて大きいのだ。
・・・ジェンセンは知能を記憶力(レベル1)と概念理解(レベル2)に分け、レベル1の知能は全ての人種に共有されているが、レベル2の知能は白人とアジア系が、黒人やメキシコ系(ヒスパニック)に比べて統計的に優位に高いことを示した。
・・・(IQが同じであれば、黒人は白人の2倍以上、知的職業に従事できる)。また、1989年時点の平均的アメリカ人の年収は、白人の約2万7000ドルに対し、黒人が約2万ドルだが、(黒人の収入は白人の4分の3)、IQ100の白人と黒人を比べればともに約2万5000ドルで経済格差は消失する。・・同じIQで見れば、黒人は白人と平等か、むしろ優遇されている。黒人が差別されているように見えるのは、白人に比べて知能の低い層が大きいからだ。・・現在では、人種間で知能の差があることはさまざまな研究で疑いのない事実とされている。議論が分かれるのは、それが遺伝的なものかどうか、ということだ。
・・・スポーツや音楽を語るときに肌の色で「黒人」という人種にひとまとめにすることが問題とされることはない。それに対して知能の格差は差別に直結し、政治的な問題となって激しい論争を生む。なぜなら私たちが暮らす「知識社会」が、ヒトのさまざまな能力の中で知的能力(言語運用能力と論理数学的能力)に特殊な価値を与えているからだ。
・・・問うべきは、「アシュケナージ系ユダヤ人だけがなぜ高い知能を持つようになったのか」だとコクランとハーペンディングはいう。彼らのIQは平均して112~115くらいで、ヨーロッパの平均(100)より1標準偏差近く高いのだ。(平均的な偏差値を50とすると、アシュケナージ系は偏差値60に相当する。)
・・・イヌは哺乳類のなかでもっとも多様性に富むが、もともとはオオカミをヒトが飼いならし、18世紀以降の品種改良によってわずか数百年でセントバーナードからチワワまで様々な犬種が作りだされた。ある特殊な条件の下では、こうした極端な淘汰が起こりうる。
・・・DNA分析では、今日のアシュケナージ系ユダヤ人は祖先である中東人の遺伝子をいまだに50%ちかく保有している。これは過去2000年間における混血率が一世代あたり1%未満であったことを示しており、ここまで同族婚が極端だと有利な遺伝的変異は散逸することなく集団内に蓄積される。・・アシュケナージ系の高い知能は、ヨーロッパにおける厳しいユダヤ人差別から生まれたのだ。
・・・「幸福のホルモン」と呼ばれるセロトニンは、脳内の濃度が高いと楽天的になり、レベルが下がると神経質で不安を感じやすくなるとされる。このセロトニンを運搬するトランスポーター遺伝子には、伝達能力が高いL型と伝達能力が低いS型があり、その組み合わせで、LL型、SL型、SS型の3つが決まる。この分布は大きな地域差があり、日本人の場合、約7割がSS型で、LL型は2%と世界で最も少ない。これが日本人にうつ病や自殺が多い遺伝的な理由だとされている。
・・・「ベルカーブ」はベストセラーになったものの、マレーは「白人と黒人の知能の差を暴いた」と評価されることが不満だった。なぜなら彼らはそこで、アメリカ社会を分断するのは人種ではなく、もっと別のものだと述べていたのだから。
・・・マレーは、これが新上流階級がスーパーZIPに集住する理由だという。彼らの趣味嗜好は一般のアメリカ人とまったく異なっているので、一緒にいても話が合わない。「自分に似た人」と結婚したり、隣人になったほうがずっと楽しいのだ。・・新上流階級は、政治的信条の同じ労働者階級よりも、政治的信条の異なる新上流階級と隣同士になることを好む。政治を抜きにするならば、彼らの趣味やライフスタイルはほとんど同じなのだ。・・戦前はもちろん戦後も1960年代くらいまで、アメリカの大富豪は庶民とたいして変わらなかった。・・金持ちは(召使に囲まれて暮らすような)庶民と異なるスタイルを身につけただけで、異なる文化コンテンツを持っていたわけではなかった。しかし、1980年代以降、とりわけ21世紀になって、アメリカ社会に大きな変化が訪れた。それが富の二極化で、新上流階級はいまや庶民とはまったく異なる文化を生きている。2011年にウォール街を占拠した若者たちはこれを、「強欲な1%と貧しい99%」と表現した。・・庶民(労働者階級)の間で確かにコミュニティは崩壊したが、新上流階級のなかでは伝統的な価値観がまだ健在だというのだ。・・アメリカが分断された格差社会になったのは事実だが、美徳は”善良”な99%ではなく”強欲”な1%のなかにかろうじて残されているのだ。なぜなら彼らは、その極めて高い所得を使って、親たちが彼らに望んだ「古き良きアメリカの理想の家族」を忠実に演じることができるのだから。
・・・多くの最貧困女子を取材した鈴木は、そこには「3つの障害」があるという。それは精神障害、発達障害、知的障害だ。これは現代社会の最大のタブーのひとつで、それを真正面から指摘したことは高く評価されるべきだろう。・・現在、日本社会の最貧困層の生態系に大きな変化が起きている。少子高齢化と価値観の多様化(若い男性の草食化)によって、風俗の市場が大きく縮小してしまったのだ。同時に、女性の側に「身体を売る」ことへの抵抗がなくなって、風俗嬢希望者が激増した。需要が減って供給が増えたのだから、当然、価格は下落する。これが「セックスのデフレ化」・・
・・・現代の生物学や心理学が、身体的特徴だけでなく、こころや感情も進化の産物だとみなすようになった・・犯罪には、あらゆる時代、あらゆる社会で顕著に観察される遺伝的・生物学的基盤がある。それは性差で、女に比べて男の方がはるかに暴力的・攻撃的なのは明らかだ。
・・・一夫多妻の社会では、女性は地位の高い高齢の男に独占されている。それに挑戦し、戦いを挑む蛮勇を持った個体だけが、後世に遺伝子を伝えることができた。そう考えれば、若い男性の犯罪率や事故率がきわめて高く、歳をとるにつれて「まるくなっていく」のが進化の必然であることが分かる。
・・・アフリカや南米などの、文明社会と接触のなかった狩猟採集民族でも、赤ん坊殺しは広く行われているのだ。伝統的社会において赤ん坊が殺されるのは、以下の三つの状況の時だ。①赤ん坊が父親の本当の子供ではない場合。・・②赤ん坊の質に問題がある場合。・・③子育てに適した条件がない場合。・・子殺しはヒトだけでなく、チンパンジーなど霊長類でも行われている。
・・・女性がオルガスムを得るとオキシトシンと言う性ホルモンが分泌され、これによって子宮が収縮し、スポイトのようにより多くの精子を吸い上げる。レイプではこの効果がないため、妊娠しにくいのではないかという。レイプされた女性は、当然のことながら大きな精神的ショックを受けるが、これも進化論的な適応の可能性がある。
・・・攻撃的で支配的なウサギは、おとなしく従属的な個体に比べて安静時心拍数が低い。
・・・心拍数の低い子供は刺激を求めて反社会的な行動に走ることが多い。覚醒度の低さが生理的に不快で、覚せい剤のような麻薬に手を染めるのかもしれない。だがもしその子供が知能や才能に恵まれていれば、社会的・経済的にとてつもない成功を手にするかもしれない。
・・・ストレスに対する皮膚コンダクタンス反応では、「愚かなサイコパス」は理論が予想する通り、発汗のない低い値しか示さなかった(良心を学習する能力がなかった)。だが「賢いサイコパス」は正常対照群と同様に、ストレスによって発汗率が上昇した。すなわち彼らは、ふつうのひとと同じ自律神経系の素早い反応を持っていた。次にレインは、計画、注意、認知の柔軟性など「実行機能」を測定してみた。これは企業経営者として成功するために必須の能力で、「愚かなサイコパス」は正常対照群に比べてこの能力が著しく劣っていた。だが、「賢いサイコパス」は、「愚かなサイコパス」はもちろん、一般のひとを上回る高い実行能力を持っていたのだ。・・「賢いサイコパス」には養子に出されたり、孤児院などの施設で育てられたケースが多かったこと。実の両親との結びつきが弱かったために、親密な社会関係を形成する機会を逃したと考えられる。そしてもうひとつの明確な要因が、心拍数の低さだ。・・ここでのべたことは全て仮説の域を出ず、研究も緒に就いたばかりだ。
・・・犯罪と心拍数の関係で分かるように、脳は家庭や学校のような外的な環境よりもむしろ体内の生理的な刺激から強い影響を受ける。覚醒度の低いこどもは無意識のうちにより強い刺激を求め、それが犯罪を誘発するのだ。
・・・アメリカでは、環境中の鉛レベルは1950年代から70年代にかけて上昇し、70年代後半から80年代前半に規制強化によって大きく改善した。その鉛レベルの推移と、23年後の犯罪発生率との間にはきわめて強い相関関係がある。母親の胎内で鉛に暴露した胎児や、鉛で汚染された母乳で育てられた乳児は成人して犯罪者になる可能性が高いのだ。・・それよりも問題が大きいのは妊婦の喫煙と飲酒だ。
・・・無表情の写真からも内面をある程度知ることができることだ。被験者になにを手掛かりにしたのか訊くと、「健康的な外見」「こざっぱりした外見」とのこたえが返ってきた。髪形やファッションは性格を反映するのだ。自然体の写真では推測の制度が上がると同時に、無表情の写真で判別できなかった性格も見分けられた。「外向性」「親しみやすさ」「自尊心」などで手掛かりになったのは、圧倒的に笑顔だ。(それ以外ではリラックスした姿勢や活力など)。興味深いのは、写真からでは判別できないものもあったことだ。それは「誠実さ」「穏やかさ」「政治的見解」だ。
・・・知性は会話を聞かなくても、外見から推測できることがわかった。研究者は知性を表す手がかりとして、視線と美しい顔立ちを挙げている。話しているときに相手の目を見る人は、知的な印象を与えるばかりか、実際に知能が高い。「美しい顔立ち」というのはいわゆる美男美女のことではなく、”美しさのレベルが半分以下の顔”の場合とされているから、「端正な顔立ち」とか、「整った顔立ち」というほうが正確かも知れない。
・・・学生たちはプレゼンテーションの違いだけで、セシに対して「熱意と知識を有し、他者の見解に寛容で、親近感があり、より整然としている」という印象を抱いたのだ。この研究結果をみれば、教師はみなプレゼンテーション技術を学ぶべきだということになる。・・だがセシの実験は、プレゼンテーションが万能ではないことも示している。学期末のテストの成績を比較すると、秋学期と春学期で両者に差はなかった。”熱意あふれるセシ教授”に教えられた学生は満足したかもしれないが、それは「多くのことを学んだ」と感じただけだったのだ。
・・わたしたちは、面長の顔と幅の広い顔を見せられた時、後者を攻撃的と判断する。そしてこの直感は、男性に関してはかなり正確だとわかっている。(女性については、面長と幅広で攻撃性に差はない)。なぜこのようなことが起こるのだろうか。研究者は、男性の顔の幅はテストステロンの濃度に関係しているのではないかと考えている。テストステロンは代表的な男性ホルモンで、この数値が高いほど競争を好み、野心的・冒険的で、攻撃的な正確なる(当然、性欲にも強く関係している)。・・広く知られているのは、人差し指と薬指の比率で、女性はその長さがほぼ同じだが、男性では薬指が長いことが多い。人差し指と薬指の長さのちがいは、テストステロン値が高いほど大きくなる。・・テストステロンの濃度が高い男性ほど顔の幅が広くなり、攻撃的な性格が強くなるのだ。---誤解のないように言っておくとこれはあくまで「平均的な男性」のことで、幅広な顔の男性がすべて暴力的だというわけではない。
・・・童顔の人は男でも女でも、純真で、素直で、か弱く、温かく、正直な印象を与える。だが、童顔だからといって生きていくのに有利だとは限らない。
・・・ハマーメッシュは、美しさの基準は時代や文化によって異なるものの、そこにはある種の普遍性があるという。あらゆる社会に共通する美の基準は顔の対称性と肌の滑らかさで、女性の体型で重要なのはウエストのくびれだ。これを進化論的に説明すると、顔の対称性が崩れていたり、肌に湿疹や炎症ができているのは感染症の兆候で、ウエストのふくらんだ女性は人sンの可能性がある。いずれも子孫を残すのに障害となるから、進化の過程の中で健康な異性や妊娠していない女性を選好するプログラムが脳に組み込まれたのだ。
・・・雇用主は男性と女性の求職者の外見を同じ基準で判断するわけではない。・・男性の外見のどこを気にするのだろうか。それは美醜ではなく暴力性だろう。・・人相の悪い若者がすべて犯罪者だということではない。そればかりか、若者が法を犯すかどうかは容姿とほとんど関係しないというデータもある。だがこれには例外があって、「きわめて醜い」とされた一部の若者は、強盗や窃盗、暴行に手を染める可能性がとても高いのだ。
・・・低収益の会社のCEOを見た時よりも、高収益の会社のCEOの顔を見た時の方が、被験者の脳の左側にある偏桃体の動きが著しく活発になることが分かった。偏桃体は感情(喜怒哀楽などの情動)に関係している。高収益の会社のCEOの顔には、ひとの感情を揺り動かすものがあるのだ。・・顔の長さに対して幅の広いCEOのほうが会社の収益が高いことが分かった。
・・・私たちは、容姿で給与や昇進を決めるのは企業や経営者による差別だと考える。これは間違いではないが、企業がこうした差別をする理由は、営業職や接客業において、美形の従業員のほうが明らかに収益性が高いからだ。市場原理によって彼らは正当な報酬を得ているだけなのだ。なぜこのようなことが起きるかと言うと、それはもちろん消費者が美形の相手から商品を買ったり、サービスを受けることを好むからだ。私たちは「美貌格差」を批判するが、その差別を生み出しているのも私たちなのだ。
・・・女の赤ちゃんは女性の顔を見ようとする。女の子は生まれつき人間の顔に興味を持ち、男の子は生得的に動くものに興味を持つのだ。・・網膜と視神経の構造的な違いによって、色の使い方や描き方、描く対象の好みが分かれる・・男性の脳は機能が細分化されていて、言語を使う際に右能をほとんど利用しないが、女性の脳では機能が広範囲に分布しており、言語のために脳の両方の半球を使っているのだ。こうした脳の機能的な違いは、興味や関心、知能や感情などさまざまな面に影響を及ぼす。
・・・「男はモノを相手にした仕事を、女はひととかかわる仕事を好む」というキブツの大規模な社会実験の結果は、男女の志向のちがいが、(男性中心主義的な)環境ではなく、脳の遺伝的・生理的な差から生じることを示している。男らしさや女らしさは進化が生み出した脳のプログラムなのだ。
・・・イギリスの2万5000人の女性公務員を対象にした調査によれば、90年代前半以降、女性の仕事に対する満足度が下がっているが、男性の満足度はほぼ変わっていない。女性が男性と異なる職業選択をしていた時には、女性は男性より幸福度が高かった。だが男女同権で女性の社会進出が進んだことによって、人生の満足度も同じレベルまで下がってしまったのだ。・・最新の遺伝学や脳科学の知見は、男と女では生まれつき「幸福の優先順位」が異なることを示唆している。男性は競争に勝つことに満足を感じるが、女性の場合、家庭と切り離されると人生の満足度が大きく下がってしまうのだ。
・・・人間には、「幼年時代を共有した異性には性的関心を抱かない」という本性が埋め込まれているのだ。
・・・低学歴の女性は人種にかかわらずきわめて不利な状況に置かれている。その結果、母子家庭が増えたり、独身で低所得のまま老年を迎える女性が増えると経済格差はますます広がり、社会は不安定化するだろう。これはとても難しい問題だが、経済学的には、こうした状況を大きく改善する方法が一つだけあるとアドシェイドはいう。それは一夫多妻制の導入だ。・・一夫多妻は女性の人権を蹂躙する前近代的な許しがたい制度だとされているが、「勝ち組」の男性が多くの女性を獲得することで損をするのは、「負け組」の男性で、女性の厚生は全体として向上するはずなのだ。もっともこの「改革案」が実現する可能性はほとんどないだろうが。
・・・一般には、自分と異なるタイプの遺伝子のほうが感染症などに強い子供が生まれるから、メスは集団内のオスよりも「よそもの」に強く惹かれるようになる。
・・・わたしはどのように「わたし」になるのか。---これは深遠な問いだが、原理的には、その答えは一行で書ける。わたしは、遺伝と環境によって「わたし」になった。
・・・論理的推論能力や一般知能(IQ)において共有環境の寄与度はゼロだ。音楽、芸術、数学、スポーツ、知識などの才能でも、やはり共有環境の寄与度はゼロ。家庭環境が子供の認知能力に影響を与えるのは、子供が親の言葉を真似る言語性知能だけだ。こうした結果は学習だけでなく、性格でも同じだ。パーソナリティ(人格)を新奇性追求、損害回避、報酬依存、固執、自己志向、協調、自己超越に分類して遺伝と環境の影響を調べると遺伝率は35~50%で、残りはすべて非共有環境で説明できる。すなわち共有環境の寄与度はやはりゼロだ。
・・・私たちの社会がどうしても認めることのできない、「残酷すぎる事実」が隠されている。それは、子供の人格や能力・才能の形成に子育てはほとんど関係ない、ということだ---だからこそ、別々に育っても一卵性双生児は瓜二つなのだし、双生児研究において共有環境の寄与度がほとんど見いだせないのだ。
・・・子供の個性や能力は、子育て(家庭環境)ではなく、子供の遺伝子と非共有環境の相互作用によってつくられていく。そしてこの過程に、親はほとんだお影響を与えることができない。
・・・子供集団のルールが家庭でのしつけと衝突した場合、子供が親の言うことをきくことはぜったいにない。どんな親もこのことは苦い経験として知っているだろうが、ハリスによってはじめてその理由が明らかになった。子供が親に反抗するのは、そうしなければ、仲間外れにされ、「死んで」しまうからなのだ。・・ハリスは、「親が影響力を行使できる分野は友達関係のなかで、興味の対象外になっているものだけだ」と考えた。
・・・最初はわずかな遺伝的適性の差しかないとしても、友達関係の中でそのちがいが増幅され、ちょっとした偶然で子どもの人生の経路は大きく分かれていくのだ。・・ハリスによれば、子供は自分のキャラ(役割)を子供集団の中で選択する。
・・・ヒトのオスが遠い祖先から受け継いだ遺伝的プログラムは、世界を内(俺たち)と外(やつら)に分け、仲間同士の結束を高め、奴らを殺して縄張りを奪うことなのだ。
・・・ハリスの集団社会化論によれば、家庭環境よりも子供の人生に大きな影響を与えるのは学校だ。・・仲間が不在のまま育ったサルは、明らかに異常行動が目立った。同様に英才教育を受けた神童も、幼少期に友達関係から切り離されたことで自己をうまく形成することができず、大人になると社会に適応できなくなり、せっかくの高い知能を活かすことなく凡庸な人生を終えてしまうのだ。・・「親が無力だ」というのは間違いだ。なぜなら、親が与える環境(友達関係)が子供の人生に決定的な影響を及ぼすのだから。・・親の一番の役割は、子供の持っている才能の芽を摘まないような環境を与えることだとハリスは言う。
・・・「常識」とは逆に、近年の若者の犯罪の減少が顕著で、世代別でもっとも犯罪者が増えているのは高齢者だ。じつはこれは世界的な傾向で、・・
・・・私は、不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから。』

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