飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白 (杉坂圭介著 徳間書店)
飛田新地には行ったことはありませんが、何度か話に聞いたことはありました。未だに存在している理由の一端を知ることができました。
『なぜ私は、店を知人に譲ったのか。10年やってくたびれた、というのが一番の理由です。
・・・新地というのは、居住地や商業地として新しく拓かれた土地のことだけど、その地の繁栄策として遊郭などが多く建てられたので、遊郭や遊里の多い場所を指す言葉にもなっている・・
・・・飛田は合法なんですか?」「そうや。基本的には、”料亭”でお客と女の子がお茶とお菓子を飲食していたら、偶然にもたちまち”恋愛関係”に陥ってしまっただけなんやから」
・・・重要なのは、女の子の話をまず聞き、自分の話をさせ、自らこの世界に飛び込んでくるように仕向けること。
・・・何の前触れもなく店から姿を消すことを”飛ぶ”と言います・・
・・・お金を貯めた女の子は当然辞めていく。しかしお店としては極力女の子は確保しておきたい。そこで日銭を支払い、お金を使わせようとしているのです。
・・・飛田初経験の女の子の3分の1は、1か月はおろか、一日で辞めてしまいます。
・・・実際は8割から9割が自分の派手な生活が原因で自ら飛田に来ることを選んだ女の子たちです。むかしは地方の農家の娘が家の食い扶持を減らすために遊郭に売られるということがよくあったと聞きますが、いまではそうした家庭の事情で飛田にくる子はまれになっています。
・・・その子は高級ソープランドで働いていたのですが、1か月の稼ぎがソープ時代と飛田に来てからとで同じだっと言います。同じ稼ぎだったら時間が短くて多彩なサービスをしなくて済む飛田の方が楽なのだそうです。
・・・1回目を一見(いちげん)さん、2回目を裏壁(うらかべ)さんと言います。
・・・ごくまれにこうした不幸な訳ありの女の子がいますが、彼女たちをその不幸から救ってあげているのもまた飛田なのです。きれいごとかもしれませんが、早期に人生をやり直す手段にもなっています。一方どれだけ美人でも稼げない子は稼げません。稼げることの一番の違いは意識の低さです。
・・・飛田で働く子の4人に1人はホストクラブにはまっているといってもいいでしょう。・・なぜ女の子はホストにはまるのか。「お姫様扱いしてくれるから、はまるんやろう」そう思っている人お多いと思いますが、じつはそれは逆。「お前は、そんなんでいいのか」と女の子の生き方を正すようなことをホストは言うのです。言われた子は、怒っているのは私のことを心底心配してくれているから、と勝手に解釈してますますはまっていく。
・・・女の子というのは、自分が優位に立てることがあったら絶対に喋ります。とにかく差をつけたがる。それで自分が優位に立ったと思ったら、優位性を見せつけるために今度は誰彼構わず喧嘩を吹っ掛ける。
・・・飛田で客をとり続けた結果、心のバランスを崩し、精神科に通う女の子は少なくありません。』
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