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2016年3月21日 (月)

中国崩壊後の世界 (三橋貴明著 小学館eBooks)

いろいろと示唆に富む内容でした。正しい情報をもとに、冷静に判断していくことが重要だと改めて思いました。

『 大気汚染を抑制(防止は不可能だろうが)するため、2014年以降、北京市は石炭火力発電に関する規制を次々に打ちだしていった。まずは、北京市内4か所の大規模石炭火力発電所が、2016年までに閉鎖されることが決まる。

2015年には、発電に使用するエネルギー源を天然ガスや非化石エネルギーに移行させ、2017年までに石炭火力の比率を65%以下に引き下げるという国家目標も掲げられた。
民間が資金を提供し、鬼城と化したオルドスのマンション群を建設した場合、GDPの「民間住宅」が増える。政府が公営住宅として建設した場合は、「公的固定資本形成」の増加となる。鬼城だろうが何だろうが、マンションを建設すれば、民間や政府の建設投資が積みあがり、GDPは「成長」するのである。・・ついでに書いておくと、環境を「人が住めない状態」にまで破壊したとしても、消費や投資が行われれば、経済は成長する。GDP統計の「欠陥」といっていいだろう。
GDPとは、「国内の付加価値の生産」の合計であり、「消費・投資という支出」の合計であり、同時に「分配された所得」の合計でもある。日本の内閣府は国民経済計算として「生産面のGDP」「支出面のGDP」「分配面のGDP」を発表しているが、3つのGDPの総額が必ず同一になる。これを「GDP三面等価の原則」という。
政府が公務員を雇用すると、「公務員を雇うことで、新たに行政等のサービスが支出されGDPが増える」・・
消費税には人頭税ほどではないが、国内の格差を拡大する効果がある。
驚かれるかもしれないが、実は中国の税制も間接税が多く、直接税は低い。表向きは「共産主義国」であるため、大企業や富裕層の税負担が重いと思うかもしれないが、実際にはそんなことはない。中国の消費税(あるいは付加価値税)に該当する「増値税」は、品目により13~17%だ。・・中国共産党は2008年1月1日に、基本法人税率を25%にした。日本よりも法人税が安いのだ。・・中国の税制は、日本以上に「経済拡大型」になっているのである。
結局、その地に住む人間の民度が、社会の安定を決定づけるという話である。中国の人民の「民度」は間違いなく日本国民よりも低い。ここでいう「民度」とは、社会の安定性を維持可能な人間の価値観、あるいは「意識」という定義になる。人民の民度は低い国では、規制というルールで縛ったところで意味がないわけだ。逆にいえば、中国人民は日本国民よりも「弱肉強食」な市場原理主義、新古典派経済学的な世界に馴染みやすいという話でもある。
国家によっては、「各国民の経済合理性追求の濃度」は異なる。そういう意味で、中国の人民は日本国民よりも間違いなく「経済合理性追求の濃度」が濃いのである。・・「移民」あるいは「捨国」の割合の多さである。現在中国からの移民の防止が先進国共通の課題になっている。
アメリカにとって刑務所の受刑者は「低賃金(超低賃金)労働者」の位置づけになっているのだ。
グローバリズムとは、「国境という政府の規制を緩和・撤廃し、モノ(サービス)、ヒト、カネという経営の三要素(経済の三要素ではない)が自由に移動することを善とする」という教義である。
結局のところ、ビジネスとは「独占的構造」を作り出し続けることがもっとも効率的なのだ。・・「権力により、ビジネスを独占的に手掛けることができる環境」こそが、国内の極端な所得格差、資産格差の元凶なのである。
この国は中国の「人民」のための国でも何でもない。さらに言えば、中国共産党のための国ですらない。中国はグローバリズムと同じ思想、すなわち「特定の誰か」が所得を独占する構造を維持するための、植民地国家なのだ。あるいは、中国共産党と結びついた「誰か」のための帝国主義的な国なのである。・・「帝国主義とは、相手国の「住民」から主権を奪い、あるいは主権を与えず、所得を継続的に吸収する仕組みを構築することを言いする。相手国の「住民」の主権を奪い取る手段は、何も軍事力の行使には限らない。」
人民に選挙権がない状況で、一部の中国共産党官僚と太子党、彼らと結びついた企業家たち、さらにはアメリカを中心とする「グローバル投資家」たちの連合が、所得を国内から吸い上げるシステムを購入した。これが中国の正体である。
中国人はナショナリズム(国民意識)を共有していない。そもそも、中国は多民族国家である。しかも、チベットや東トルキスタンなどを「侵略」し、相手国の住民を強引に「中国人」にしてしまった。チベット人やウルグイ人が、漢人とナショナリズムを共有するなどということは、ありえない。それ以前に中国では上海人と北京人ですら、同胞意識を持っていない。というよりも、上海人と北京人は、互いに憎悪しあっているというのが現実だ。
1958年に始まった中国の大躍進政策において、毛沢東に命じられたノルマを達成できなかった各地の中国共産党官僚たちは、揃って水増しした「数字」を中央に送った。嘘の数字を受け取った毛沢東は、気をよくしてさらに積み増ししたノルマを命じるという悪循環に陥った結果、推計5000万人が餓死し、大躍進政策は史上最大の愚行に終わったのである。中国のメンタリティーはあの時代と、基本的には何も変わっていない。
要するに、中国は2012年後半もしくは2013年から景気後退期(リセッション)に入っている可能性が濃厚なのだ。輸入や鉄道貨物輸送量のデータを見る限り、直近の中国の経済成長率(四半期ベース)は、冗談抜きでゼロ成長なのではないか。(現実は神様にもわからない気がするが)
中国経済の過剰な供給能力は、別に自動車に限った話ではない。「新華社」(2015年5月20日)によると、中国の鉄鋼の粗鋼生産量は、年間8億トンに達するが、生産能力は12億5000万トンも存在するという。中国の鉄鋼産業における設備稼働率は、わずか65.8%というわけだ。
もはや中国には、AIIBのような国際投資銀行を強引に設立し、世界中から資金を調達したうえで、アジア各地にインフラ投資を実施していく以外に、国内の鉄鋼等の供給過剰を消化する道がほとんど残されていないのだ。
民間企業設備、民間住宅、公的固定資本形成の三つを合わせ、総固定資本形成と呼ぶ。中国のGDPを百分比で見ると、・・中国の総固定資本形成がGDPに占める割合は、2013年の数値で、なんと46%にも達しているのだ。反対側で、2004年には4割を超えていた個人消費支出が、2013年には約36%にまで落ち込んでいた。ちなみに、日本の個人消費がGDPに占める割合は約6割で、アメリカは7割だ。中国が極端なまでの「投資依存経済」と化していることが理解できるわけだ。・・日本の高度成長期に投資がGDPに占める割合は、高くても35%だった。現在の中国は、明らかに投資依存が行き過ぎている。
中国の家計の貯蓄率は、異様に高い。家計調査をベースにした場合、2013年の中国都市部の貯蓄率は33.1%、農村部は25%に達する。中国の家計貯蓄率が高い理由は、社会保障制度が未完備であるためだ。・・各人は老後を乗り切るための資金の貯蓄にまい進するわけである。すると、中国の貯蓄率は下がらず、個人消費中心の経済への転換は遅々として進まない。
バブルとは、将来の所得を目的とした投資行為では起きない。バブルを引き起こすのは、将来の所得ではなく「短期の値上がり益」目的の投機行為だ。
とにかく、中国の金融市場は「不透明」である。最終的には、中国共産党の意向ですべてが決まってしまう。
日本国民は、認識を変える必要がある。現在の中国は、以前とは異なり「人民元安」の脅威にさらされているのだ。特に、8月11日からの中国人民銀行の為替レート引き下げ以降、市場が「さらなる元安」を予測し、資本の流出、すなわち「人民元から外貨への両替」に歯止めが利かなくなってしまった。
最終的には、中国は大々的に資本移動の制限をかけるか、もしくは変動相場制への意向を迫られることになるだろう。・・中国が人民元を変動相場制にすると、中国共産党の強力な「武器」を一つ失うことになる。さらに、中国人民までもが、人民元の先安観の強さから、一斉に資産を外国に移す(=外貨に両替する)可能性が高く、為替レートは不安定にならざるを得ないだろう。
外貨準備とは、「その国が外国に保有している資産の総額」を意味しているわけではない。その国の「政府」が外国に保有している資産総額こそが、外貨準備なのである。・・世界最大に膨れ上がった中国の外貨準備は、中国政府が、「人民元の価値が上昇し、中国の輸出競争力が低下する」ことを恐れ、人民元安を維持しようとしたからこそ積みあがったものだ。外貨準備の増大は、中国経済の強さというよりは、「輸出競争力の低さ」の表れでもある。・・その国が金持ちか否かは、外貨準備高はもちろん、対外資産額でも決まらない。金持ち度を決定するのは、対外純資産額なのである。・・ご存知の通り、世界最大の対外純資産国は、日本である。
IMFは上記報告において、中国は3年以内に変動相場制に移行する必要があるとの見方も示している。要するに、市場実勢を反映した為替レートに人民元を調整したうえで、変動相場制に移行するべき。そうすれば、SDRの通貨パケットいるを認めるという話なのだろう。現在の中国共産党にとって、人民元の変動相場制移行は巨大なリスクだ。元高に転んでも、元安に転んでも、国内経済を不安定にせざるを得ない。
中国の外貨準備の多くが、実はアフリカや中南米の「プロジェクト」に投資されている可能性があるのだ。国際だろうが、プロジェクトだろうが、お金を「投資する」という点では同じだ。とはいえ、リスクが全く違う。中国の外貨準備がアフリカや中南米のプロジェクトに投資されており、事実上、回収不能となっていたとしたら?中国の外貨準備高は、文字通り、「張り子のトラ」という話になってしまうのだ。
中国景気の動向と無関係に、中後っ共産党政府の「政策」により、中国人民の日本における爆買いは近々終了する可能性が高い。理由は、単に日本で爆買いされると、中国共産党が税金をとれないためだ。そもそも、中国共産党は、観光客に対し、5000元(約10万円を超える製品の持ち込みを認めていない。・・そんな決まりを守っている中国人民はいない。・・中国共産党が観光客の物品持ち込み規制をまじめに執行しようとしただけで、日本における爆買いは終わってしまう。
そもそも「国の借金」などというものはない。あくまで日本政府の負債であって、日本国の借金ではないのである。つまりは「国民一人当たり○○○万円の借金」というのもまやかしだ。日本国が海外に持つ「対外資産」から、借金である「対外債務」を引いた「対外純資産残高」は2014年末時点で366兆8560億円もあるのである。前年末と比べ12.6%増え、3年連続で過去最高を記録しているのだ。しかも、24年連続で世界一位となっている。つまり、「借金大国」どころか、「世界一のお金持ち」なのである。・・つまり政府の借金の9割以上を日本国民が貸しているため、支払いのほとんどは国内に住む我々、日本国民の元に戻ってくるのである。政府がどんなにお金を借りようとも、日本の国の中でお金が移動しているだけで、海外に流出するわけではないのだ。1000兆円の借金をしたら、手元からなくなってしまうと考えがちだが、政府が莫大な借金をしているからといって、日本からお金が出ていく心配などないのである。
投資をしない企業に未来はない。同様に、政府が緊縮財政路線を堅持し、公共投資を減らしていくのでは、世界に向かって「我が国が成長することはない」と、宣言したのも同然である。
建国後の中華人民共和国は、大躍進政策や文化大革命など、国民を殺す政治ゲームに明け暮れ、技術力を高める研究開発の蓄積を怠っていた。だからこそ、1989年の天安門事件以降の中国共産党は、外国企業、特に日本企業に秋波を送り、自分たちの弱点である技術力不足を補おうとしたのだ。
日本企業が中国から撤退する方法は、主に4つある。一つ目は、持ち分譲渡。二つ目は、会社を解散して清算する。三つめは、倒産。四つ目は、減資になる。もっとも、中国では日本企業の「倒産」はなかなか認可されない。日本企業が人民法院に倒産を申請しても、「現地企業は苦しいかもしれないが、日本の本社の企業にはお金があるだろう」と言われ、ほとんど認められないのだ。「減資」も同様である。結局、日本企業が中国から撤退する場合、「持ち分譲渡」と「清算」のふたつぃか方法がないのが実情だ。
日本企業が中国の生産拠点を閉鎖していっているのは、人件費高騰や政治的リスクの高まりで、中国生産が「割に合わない」状況になっているためだ。・・すでに、中国の人件費はインドネシアやフィリピンの2倍近くにまで上昇している。・・また、中国には「民事問題」を理由に、外国人の出国を差し止めることを可能とする「民事訴訟法231条」という恐るべき法律もある。中国撤退を考えている日本企業は、十分に注意してほしい。中国とは、日本人(そして世界の多くの人々)の常識が全く通じない「無法国家」なのだ。・・刑事問題はともかく、民事事件で外国人を「出国停止」にするのは、普通に「拉致」と呼ばれる類の暴挙である。明らかに国際法違反だ。
(ブラジルは)ところが、2000年代に入り、膨張する中国への鉄鉱石などの資源を輸出することで経済が再生。長く続いた累積債務問題を解消させ、2007年にはIMFへの債務を完済し、債務国から債権国へと変貌した。2012年委は、GDPが2兆2557億円と世界7位にまで上り詰めた。それが中国の経済失速により、状況は一変した。・・ブラジルの主力産業は資源と農産品である。逆に言えば、資源大国だからそこにあぐらをかいてきたという見方もできる。中国がかつてのようにブラジルから鉄鉱石を輸入することは、もうない。
・・現在は政界的な外需(輸出入)縮小期であり、為替レートの下落が輸出拡大に結び付かない。すでにWTOは2015年の世界貿易の伸び率予想を改定し、2015年9月30日、4月時点の3.3%から、2.8%へと下方修正した。
なんと、現在の韓国のインフレ率は、あのアジア通貨危機の時以上に低迷してしまっているのである。デフレに向けて真っ逆さまに転がり落ちている韓国だが、そこに「中国経済大失速」が追い打ちをかけたのである。
そもそも、韓国企業は中国企業の「ライバル」であり、補完関係にあるわけではない。中国企業からキャッチアップされる立場にありながら、中国市場への依存を深めてしまった。これこそが、韓国にとっては、もはや取り返しがつかない致命的な「構造問題」なのである。
現在、中国をはじめとする新興経済諸国の需要が急激に収縮し、いわゆる「スロートレード問題」が発生している。スロートレード問題とは、・・要は「実質GDPが成長しても、貿易量が増えにくくなってきた」という現象のことである。・・経済成長率に対し、貿易の成長率が低迷する。これがスロートレード問題である。世界銀行が貿易の伸び率を引き下げたことからも明らかなとおり、現在の世界経済は「外需」が総じて伸び悩んでいる状況にある。
日本の場合、外貨準備の9割が米国債である。それに対し、中国の外貨準備に米国債が占める割合はわずか3割に過ぎない。
中国はデフレ化が進む環境において、正しいデフレ対策に背を向け、構造改革路線を進もうとしているわけだ。まさしく、日本の後追いだ。当たり前だが、需要不足、供給能力の過剰(しかも極端な過剰)という問題をかかける中国が構造改革を推進すると、問題は悪化することはあっても、改善することはない。何しろ、構造改革とは規制緩和や外資への門戸を開くことで競争を激化させ、供給能力を引き上げる政策なのだ。
日本の対中輸出GDP比率は、2.5%に過ぎない。すなわち、中国への輸出が唐突に「ゼロ」になったとしても(現実にはあり得ないが)、我が国のGDPは2.5%マイナスになるに過ぎないという話だ。というよりも、長期のデフレに苦しむ我が国は、2.5%程度のマイナス成長など、何度も経験している。しかも中国からの輸入は「資本財」が中心だ。
日本が中国から輸入が不可能になり、問題になることなど全くない。なぜならば、日本は中国から輸入するすべてのものについて、すべて自国で生産できるか、もしくは他国から調達することが可能であるためだ。日本がその製品を中国から輸入しているとしたら、単に「中国から買うのが最も安いから」というだけの話に過ぎない。
今後、何らかの政治的な理由で、中国が対日輸出を禁止したら、どうなるだろか。日本にとっては全くこらまらないどころか、むしろ歓迎すべき事態になる。中国からの「安い」ものが入ってこなくなると、日本国内で生産せざるを得ない。そして、日本は農産物から工業製品まで、中国から輸入している製品をすべて国産で賄うだけの技術力、供給能力を持ち合わせている。』

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