まず白米をやめなさい (溝口徹著 あさ出版)
健康ものです。白米を食べすぎてはいけないということなどが分かりやすく書かれており、実践したいと思いました。
『糖質でおなかいっぱいにしているために、ほかの必要な栄養を補えたいないのです。そこで、糖質を控え、足りていない栄養素を補うように食べ方を指導したり、サプリメントを出したりすると、みなさん、みるみるよくなっていきます。
糖質は、とりすぎれば害になりますが、それ自体は敵視すべきものではありません。・・甘いものや主食を減らしながら、筋肉量を減らさないように動物性たんぱく質をしっかりとる。これらのことを、カロリーの知識も頭の隅に置きながら、行っていくといいでしょう。・・大切なポイントは糖質を控えると同時に、たんぱく質、脂質をしっかりとることなのです。
通常、血糖値は食事をすると上がり、しばらくすると下がるなど、一日の中で、上がったり下がったりする「日内変動」を繰り返していますが、本当は何を食べても、安定して保たれます。ところが、血糖値が急激に上がるような食事を続けていると、いま説明したような体の調整機能に支障が出始めます。
それが、玄米に替えたとたん、食べた後に全然、眠くも、だるくもならない。頭もぼーっとせず、すぐに仕事に取り掛かれる。これには本当に驚きました。
インスリンそのものは、もちろん、血糖値が上がった時に唯一、働いてくれる頼もしい存在です。しかし血糖値がいきなり上がると一気に分泌されるために、血糖値を適正に下げるどころか、象の強さ並みにドカンと下げすぎてしまう。こうして、体を一気にエネルギー不足状態に陥らせてしまうのです。
人類が古来食べてきた自然そのままの食べ物には、血糖値を急激に上げるものはほとんど存在しない・・
私たちは精製された食べ物をお腹いっぱい食べることで、臓器に想定外の働きをさせ、しかも酷使しているということなのです。
糖質は、エネルギーに変換せれるものではあるけれども、必ずしも取る必要はない、もっといえば「できるだけとらないほうがいい」ものです。その理由は、一つには、これまで述べてきたように、糖質の多い食事はすい臓や副腎を疲れさせるから。そして、これからお話しするように、体内で余った糖質は、体内で様々な悪さを働くからなのです。
体内で余った血糖は中性脂肪として蓄えられ、不足した時に利用されるといいましたが、蓄えられるのが皮下脂肪であれば、じつは大きな問題はありません。・・一方内臓脂肪はいけません。内臓脂肪は、一つの細胞を肥大化させる形で増えていきます。・・内臓脂肪は、肝臓にも悪影響を及ぼすことで、回り回って全身の支障を招く悪者といえるのです。
糖化の何がいけないかというと、体内で重要な働きを果たしている、たんぱく質にくっついて、そのたんぱく質の機能を鈍らせたり、失わせたりしてしまうからです。
糖化は加齢とともに加速します。骨粗鬆症をはじめ、肌や毛髪の劣化、加齢臭といった老化現象は、体内のたんぱく質が糖化していることが原因ともいえるでしょう。・・糖化のリスクは、血糖値が高い状態が多いほど、高くなります。・・一言でいえば「糖化は老化」であり、糖質過多の食生活ほど、早く老化を招くからなのです。
コレステロールはじつは、健康な体を維持するためにはなくてはならない物質です。
コレステロールが少なすぎると、細胞の形が維持できなくなってしまいます。
LDLコレステロールは低いほどいいどころか、体を維持するためには必要不可欠な物質なのです。ところが、LDLコレステロールが「悪玉化」してしまうと、一転、体の毒になってしまいます。LDLコレステロールを悪玉化させてしまう要因の一つは「酸化」、そして、もう一つが「糖化」です。・・つまり、LDLコレステロールを体に良いものとして保つためには、「酸化」と「糖化」を避けなければなりません。LDLコレステロールの酸化は、激しい運動やストレス、喫煙などの習慣があると起こりやすくなります。これらの習慣が、細胞を酸化させる活性酸素(フリーラジカル)という物質を生み、LDLコレステロールを錆びつかせて、本来の役割を果たせなくしてしまうのです。酸化を防ぐためには、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質をとることが有効です。
一般的な総コレステロールの基準値に照らし合わせると、「高め」と出る人のほうが、健康長寿であることもわかっているのです。
ダルビッシュ選手は、丈夫で大きな体を作るために、特に油脂とたんぱく質の大切さを痛感したといいます。そこで、体に良いとされるアマニ油をつねに持ち歩き、外食時のサラダには、レストランのドレシングはかけずにアマニ油をかけているそうです。
糖が変化したグルコース以外の体のエネルギー源となるのは、脂質から作られるケトン体という物質や脂肪酸、また、たんぱく質から作られるアミノ酸などです。・・これらのうち、グルコースだけがエネルギー源になっているのはただ一つ、赤血球のみです。そのため、赤血球には一日に15グラムほどの糖が必要です。一方ほかの組織は、グルコースもエネルギーではありますが、ケトン体や脂肪酸、アミノ酸など、多岐にわたる物質をエネルギー源としています。つまり、赤血球以外の組織は、グルコースがなければないで、別の物質をエネルギー源として、まったく問題なく機能できる、というわけです。
内臓脂肪は、食生活が悪いとすぐについてしまうのですが、食生活を正せば、簡単に落ちます。すなわち、糖質を減らし、たんぱく質をしっかりとって筋肉をつければ、あっという間に減っていくでしょう。
・・糖質をたくさんとると、たんぱく質や脂質の摂取量が減るということ。端的に言えば、ご飯が多いほどおかずが少なくなるという単純な話です。・・もうひとつは、糖質に偏るほど、重要な栄養素が無駄遣いされるということ。
ただ、総コレステロール値がどんどん上がって、下がる兆しの見えない場合は、卵や乳製品に、特に反応しやすい体質かもしれません。肉や魚の摂取量は気にしなくてもいいのですが、卵や乳製品を控え、様子を見ていく必要があります。
現に、諸外国のデータを見ても、摂取たんぱく質のうち、動物性たんぱく質が50%を超えるところは、平均寿命が長めであることが分かります。・・動物性たんぱく質をとれば、一緒に脂質もとることになります。そのため、細胞膜の材料になるコレステロールが増え、血管が丈夫になったと考えられます。そして、ちょうとこのころから、日本は平均寿命で世界トップに立ち始めたのです。
糖質は、血糖値を急上昇させてインスリンの大量分泌を招き、インスリンが血糖を脂肪に蓄積してしまう。一方、脂質やたんぱく質は、血糖値の上昇にはほとんど関係ない。つまり、血糖値を急激に上げるのは糖質だけであり、血糖値が上がるほどにインスリンが大量に分泌され、せっせと血糖を脂肪に換えてため込んでいく---こう考えてください。脂肪を減らすために一番気を付けなければならないのは、じつは脂質のカロリーより、糖質による血糖値の上昇だということが、お分かりいただけると思います。
ポイントは、糖質より先に脂質をとる、あるいは脂質と糖質を一緒にとることで、糖質が単独で体内に入ることをさける、というところです。
内臓脂肪がたまると腸の周りにある門脈を通じて、サイトカインが肝臓に流れ込み、脂肪肝を作り出します。脂肪がたまった肝臓は食材由来の糖を処理できず、血糖値が上がり、インスリンが過剰に分泌されることになります。
そのころの人々には、もちろん「糖質」も「ビタミン」もわかりません。でも当時の医師たちは、経験的に、脚気患者にはそばを食べるよう勧めていたそうです。そばの実を丸ごと使うそばは、白米と違って糖質の塊ではありません。つまり、当時の医師たちは、知らずと、糖質制限を勧めていたわけです。
いきなり運動をして乳酸を増やすのではなく、むしろ乳酸が増えないようにしなければなりません。ここで乳酸の材料がなにかというと、糖質なのです。
日本における糖尿病患者は、予備軍を含めて約1620万人、1955年の31.5倍にも増えています。日本人は、やはり、肥満ではないのに糖尿病になる人が多いのです。
医師の間では有名な「久山町研究」では、住民への継続的調査によって、糖尿病患者ほどアルツハイマー病の発症率が高いことが明らかにされています。・・あるアメリカの研究チームが、糖尿病ではないアルツハイマー病患者の脳を調べたところ、脳細胞への糖の取り込みが激減していました。・・アルツハイマー病患者は、脳細胞に糖を取り込めなくなっている。これが、アルツハイマー病が「第3の糖尿病」といわれるようになったゆえんです。・・糖質の取りすぎが認知症発症に影響していることは、間違いないといえるでしょう。日本人は、平均寿命だけ見れば世界トップクラスですが、認知症にかかる確率は、実は、他国より高めです。
・・ガン細胞のエネルギー源は糖だけです。したがって、ガン細胞のエネルギー源を減らすために、糖質は、やはりなるべく控えたほうがいいのです。
食材に含まれる脂質の大部分を占める長鎖脂肪酸は、リンパ管を通じて静脈に流れ込み、そこから全身に運ばれてエネルギー源として利用されます。一方、中鎖脂肪酸だけは、門脈により直接、肝臓に運ばれてケトン体に変換されるのです。通常の脂質は、静脈に運ばれると皮下脂肪や中性脂肪に変換されやすくなります。そのため、静脈を経ない中鎖脂肪酸は、3つの脂肪酸の中で唯一「肥満につながりにくい脂質」だといわれています。
絶対に避けていただきたいのは、空腹時にいきなり白いご飯や甘いものを食べることです。すでに説明したとおり、空腹時に糖質をとると、血糖値が急上昇します。
動物性たんぱく質が胃や小腸で処理されずに大腸にまで達すると、発酵して腸内環境を荒らしてしまいます。すると、必ずオナラが臭くなります。かといって、動物性たんぱく質を減らしたくはありません。こういうときは、消化酵素が豊富な生野菜をプラスするなど、消化を促す工夫をするといいでしょう。
なるべくいろいろな種類の動物性たんぱく質をとる、ということです。同じ種類のたんぱく質を取り続けていると、「遅延性アレルギー」という、アレルギーの一種にかかる恐れがあるからです。
牛乳に含まれるカイゼンというたんぱく質は、腸内環境を荒らします。ヨーグルトなど発酵職乳製品になると減るのですが、なくなりはしません。これも、乳製品はあまりとらないほうがいいといっている、理由の一つです。
いろいろな種類の肉や魚をたくさんとり、乳製品は取りすぎに気を付けて、卵はほごほごにという具合にバリエーションをつけ、効果的にたんぱく質を取ってください。
フルーツも、注意が必要です。果物に含まれるショ糖が、血糖値を上げてしまうのです。特に日本の果物は甘味が強いことで有名です。
人工甘味料は腸内環境のバランスを変え、いわゆる悪玉菌を増やして腸の炎症を招くと考えられます。腸と肝臓は門脈を通じてつながっており、腸の炎症はダイレクトに、肝臓に被害を及ぼします。
飽和脂肪酸である肉のラード、不飽和脂肪酸である魚のEPA(エイコサペタエン酸)やDHA(ドコサヘキサンエン酸)は、いずれも積極的に取りたい脂質です。・・絶対に避けたい油から挙げるとしたら、筆頭はトランス脂肪酸です。・・取りすぎの注意したいのは、オメガ6系の油。コーン油、ひまわり油、大豆油などのいわゆる「サラダ油」の原料になることも多い油です。オメガ6系(リノール酸)は、私たちの体に必要な「必須脂肪酸」の一つです。ただ、近年、取りすぎると生活習慣病やガン、アレルギーを促進すると指摘されています。
積極的に取りたい「いい油」とは何か、というと、まずオメガ3系の油、続いてオメガ9系の油です。・・オメガ3系は、イワシやサンマなどの青魚のほか、アマニ油や荏胡麻油に多く含まれています。ただ、熱で参加しやすいという難点があります。・・オメガ9系(オレイン酸)を多く含む、オリーブ油やキャノーラ油(従来の菜種の品種を、高オレイン酸になるように改良した品種からとった油)は、熱で酸化しにくいので、加熱調理に向いています。
・・サプリメントの摂取をおすすめしたいのは、鉄、亜鉛、ビタミンB群、ビタミンDです。今や、日本人全体が鉄不足に陥っているといっても過言ではありません。
たっぷりとったたんぱく質が勝手に筋肉になってくれるわけではありません。きちんと運動ををして初めて、たんぱく質が筋肉に変化するということは、いうまでもないでしょう。血糖値を安定させて、より健康になるには、適度な運動習慣が欠かせないのです。
・・昼食を食べて数時間後、「集中力が落ちてきたな」と思ったときは、ほんの数分少し息が上がるくらいに、腹筋やスクワット、スキップなどをしてみてください。・・それがしげきとなり血糖値を上げるホルモンが分泌され、ゆっくりと血糖値が上がります。したがって、インスリンの分泌を避けることができるというわけです。
カロリー制限として肉や卵をあまり食べない一方で、ジムで激しい運動をしていることも問題でした。カロリーが不足している中で激しい運動をすると、筋肉がカロリー減として利用されるため、運動をしているのに筋肉が減っていしまうのです。』
« 仏教の「無価値」論 (アルポムッレ・スマナサーラ著 日本レーラワーダ仏教協会編) | トップページ | 出家とその弟子 (倉田百三著 青空文庫) »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略 (廣瀬陽子著 講談社現代新書)(2022.07.09)
- 賢者の書 (喜多川泰著 ディスカバー・トゥエンティワン)(2022.05.30)
- ウクライナ人だから気づいた 日本の危機 ロシアと共産主義者が企む侵略のシナリオ (グレンコ・アンドリー著 育鵬社)(2022.05.29)
- 防衛事務次官 冷や汗日記 失敗だらけの役人人生 (黒江哲郎著 朝日新書)(2022.05.16)
- 古の武術から学ぶ 老境との向き合い方 (甲野善紀著 山と渓谷社)(2022.05.08)
この記事へのコメントは終了しました。
« 仏教の「無価値」論 (アルポムッレ・スマナサーラ著 日本レーラワーダ仏教協会編) | トップページ | 出家とその弟子 (倉田百三著 青空文庫) »
コメント