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2015年7月25日 (土)

君は、世界がうらやむ武器を持っている 海外に出ることだけがグローバル化じゃない (田村耕太郎著 大和書房)

元国会議員の著者が、日本の将来に向けての提言を述べています。非常に参考になり、前向きな気持ちを持てました。

『本当に大事なのは「グローバルな視点」を持ちながら、これからの日本社会をデザインしていくことだ。メディアの「日本悲観論」に惑わされがちだが、まだ日本には世界で戦える余地が残されており、豊かに生きていける可能性がある。

韓国やシンガポールの人々がグローバルに競争せざるを得ないのは、なにも彼らが生まれつき意識が高かったり、競争力があるからではない。簡単なことだ。彼らの国には内需がないだけなのだ。耕す畑や掘る鉱山が国内にはない。我が国は内需を舞台に勝負できる稀有な国なのだ。

外に出る日本人と国内を掘っていく日本人。このコンビが各々の持ち場で真剣に頑張れば、日本の総力は間違いなく向上する!

日本経済は、何よりバランスがいいのだ。新興国にありがちな「資源頼みのモノカルチャー」だったり、外資頼みだったりしない。日本には幅広い日本発の産業がある。

フローで500兆円ほどのGDPと、金融・不動産合わせて3000兆円を超える個人資産を持ち、国家として253兆100億円と年間GDPの半額規模の世界最大の莫大な対外純資産もある。

・・日本には莫大な内需とユニークな消費者が存在するからだ。ゆえに私は、日本人なら軸足を国内におきながら、グローバル化に対応することも可能だと考えている。これは内向きということになるだろうか。これも内向きというなら、それでいいではないか?内にチャンスがあり、それを生かすなら、それは内向きではなく、「戦略」なのだ。

なかでも高齢化対応という市場はこれから巨大化していき、多様なチャンスを生む。・・彼らは医療や健康というサービスを買いたい意欲は強く持っている。

国を挙げて英語教育やグローバル化に取り組むシンガポールや韓国と違い、皆が英語を勉強し世界を目指す必要はないのだ。

確かにこれからの日本の人口は減り、市場は縮小していく。しかし、日本の人口減少のペースは年率で1%未満というゆっくりしたものだ(総務省「平成25年人口推計」)。逆に医療技術の発達や食生活の変化でさらに寿命が延びていけば、人口減少率が下がる可能性はあるし、国の政策によって少子化の下げ止まりを実現したフランスのような例もある。これくらいのゆっくりしたスピードなら、対応することは可能だろう。

また、新興国の多くも日本に敬意を抱いている。そして、同盟国であるアメリカも、その新興国の台頭を抑える意味で日本に期待する。しかし、日本が経済力を徐々に失い、その反発力に期待できなくなる一方で、新興国が日本以上のグローバル化対応に成功し、急速に経済力や技術力を獲得した場合、相対的なパワーバランスが変化し、隣国の日本を見る目が変わる。

アメリカのいい高校は信じられないくらいの質と量の勉強をさせる。課外活動やスポーツからもリーダーシップを学べる。そこで、勉強でもスポーツでもアメリカの同世代と激しくやりあった経験がなければ、トップの組織でチームを作り、率いることはできない。

しかし、世界と戦うための選択肢は一つではない。「将来のために、日本で戦う準備をする」という選択はガラパゴスではない。長期的な視野に基づく、合理的な戦略だ。日本にはそれだけのポテンシャルがある。

当事者である日本人よりも、海外のほうが日本の良い点、悪い点を客観的に評価している。世界がチャンスを求めて日本に集結しつつあるのだ!

日本のような土地や人件費の高い場所なら、付加価値の高い食材を作るべきだろう。同じ面積でもコメを作るか、トマトを作るか、イチゴを作るか、肉牛を育てるか、土地あたりの付加価値は変わってくる。

「計画を立てた後、それを正確に実行させるのは日本人が世界一だ」と彼は言う。わたしもそう思う。つまり、「再現性」に関しては日本が世界一なのだ。・・「計画を立てることや、計画を機動的に変更していくことは、日本人は苦手だと思うか?」と私が問うと、「全部求めてはいけない。そんな何でもできる国は世界にはありはしない。自分の強みに立脚し、弱みは他者を利用することで補うのだ。それが戦略だ。何でも自分でやろうとすると失敗する」という。

・・日本人は自虐的だが、英語に関してもそれなりに通じる。シンガポールほどではないが、上海やソウルよりよほど通じる」という。

本当の安定を求めるなら、変化に対応する力を持つべきで、それはピンチをチャンスと変えることから始まる。なぜピンチはチャンスなのか?以下にその理由を列挙してみた。大変化がもたらすピンチのおかげで、・自分の能力が覚醒される ・自分の考えや行動を正してくれる ・自分の心を鍛えてくれる ・通常では来ない順番が回ってくる ・真の友人と新たな支援者を見つけさせてくれる

「日本はハイテクが強い」という論調もありますが、日本が本当に強いのは、「ややこしい設計」。だから「半導体で負けても、節水のための設計が複雑になる便器では勝てる」といってことがありうるわけです。そういったものを作る日本のチームワーク型のモノづくりの現場は、多くが健在です。

工場化された農業は容易にまねされますが、日本の農家一軒一軒が持つ強みと独自性、このバラエティこそ競争力だと思います。安易に大規模施設園芸に走って競争力をおとしてはならないと思っています。大切なのは品質、つまり味と安全性なのです。

東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子教授によると、日本では高齢者のうち、その70~80%が健常者だといわれ、70歳くらいまでは、問題解決能力や認知能力は向上するという。さらに日本の高齢者は90歳以上でも健康を維持した人が11%もいる。高齢者は有望な消費者としてだけでなく、かなり期待できる働き手だ。・・幸せな加齢のための条件が科学的に解明されるつつある。ジェロントロジー(老年学)が提唱するその条件は、1 栄養、2 運動、3 人との交流、4 新しい概念の受容性、5 前向きな思考 この五つの条件が満たされれば、健康で幸せに加齢することができるという。

「和食のおかけで日本人は長寿である」という誤解があるが、それは間違いだ。日本人の寿命を延ばしたのは栄養の改善と医療の発達である。

急速に人口増加を続けたインドやアフリカでも、人口増加は経済発展とともにやがて頭打ちになり、人口減少&高齢化が世界のトレンドになってくる。日本はその先頭に立ち、彼らが高齢化社会を想定し始める前に、高齢化社会の運営を行っている。世界は日本を後追いしてくる。もし世界に先駆けて、より安定して発展し、皆が希望を持てる高齢化社会モデルを日本が作り出せれば、日本は再び世界のモデルとして注目を集め、貢献できるのである。

投資家のマイケル・ミルケンは「医学と食事による人々の若返りは引き算ではなく掛け算である。われわれは過去の人たちの年齢の7掛けだ。80歳なら56歳、70歳なら49歳、60歳なら42歳」といっている。

・・高齢者世帯の年間所得(厚労省「平成22年国民生活基礎調査」)で見ると、その平均値は307.9万円である。全世帯の平均値が549.6万円なので、半額とは言わないが、平均の56%である。平均ではなく中央値で見ると254万円となる。100万円から300万円の範囲で最も人数が多く、このことから「高齢者間の格差」が問題になってくる。・・60歳以上の4分の1は金融資産ゼロだという。一方で、3000万円以上保有する高齢者が全体の16%もいて、彼らが平均を押し上げているのだ。この格差は今後の大きな課題である。

日本が高齢者対策先進国としてモデルにしてきたのが、スウェーデンだ。北欧をあたかも「理想郷」のようにいう識者の意見も多い。しかし、東京大学の秋山弘子教授によると、いまその北欧は日本をモデルにしているという。スウェーデンには高齢社会担当大臣がいるが、毎年のように30人くらいの議員団または政官民のグループで日本に視察に来ているという。

アメリカ暮らしが長い秋山教授も、「昔はアメリカのほうが、高齢者に対する配慮は進んでいると思っていた。でも今では日本のほうがずっと対応が早い。いま、世界一元気に活動しているのは東京の高齢者なのではないか」と語っている。

田村 出口社長が今、大学生だったらどのような準備をしますか? 出口 平凡ですが、「体を鍛える」「英語」「読書」の3つですね。

出口 ・・年功序列という価値観は、「高度成長」と「人口の増加」という2つの前提があってしか成立しない、ガラパゴス的な世界観だという認識を持つことですよね。第2次世界大戦以降の極めて例外的な世界観です。

現在の中国の大学生数は2000万人を超えるといわれている。ちなみに、日本は280万人(文科省「平成24年学校基本調査」)。・・しかし、中国大学入試においては、厳しい地方差別がある。中国は学生の出身地によって、大学に合格する点数が違うのだ。例えば、北京出身の高校生が北京大学に合格する点数と、他の地域出身の受験生が合格する点数が違う。もちろん、北京出身者は地方出身者よりも低い点数で合格できる。

・・死ぬまで自分の食い扶持を稼いでいかねばならない時代となるだろう。公的年金ができてからおよそ50年。日本の長い歴史の中では、死ぬまで自分で稼いでいく時代が当たり前だったわけだ。その時代に戻っていくだけだ。

”人生7掛け説”から考えると、60歳の7掛けは42歳。実年齢は還暦でも、精神的にはバリバリのアラフォーとなる。今後はこれくらいの感覚で人生をデザインしなおすことが必要となってくるだろう。今の若者なら3ケタ人生を想定し、逆算して若いころから自分で稼いでいく準備を行うべきだ。

・・東京大学の藤本隆宏教授やライフネット生命保険の出口社長とお会いした際、「若者と外国人と女性が日本を変える」と語っておられた。全くその通りだと思う。日本がよくなるとすれば、若者と外国人と女性を活用した時だし、日本のためにはそうすべきだ。それに加えて、「失敗した人間の再チャレンジを寛容に促進する社会」をつくっていくことが急務だ。

これからは、過去「何をしてきたか」だけでなく、「今、何ができますか?」がより問われる時代だ。そして前述のように多様なバックグラウンドの人とやっていく時代である。

「ファンのためにプロとして真剣勝負するが、私怨はなしだ」という意味だ。これからはこういう感覚が求められるだろう。こういった感覚を持てば、もし上司が息子くらいの年齢でも、女性でも、外国人でもクールに仕事に徹することができるだろう。

15~64歳までの”起業活動率”が最も高い国は以外にもナイジェリアだ。次いで中南米国家が続く。ナイジェリアでは15~64歳までの人口のうち、30%以上が起業家活動を行っている。中国もその数字は高くて24%。起業大国というイメージがあるアメリカは以外にも低くて12.3%。大企業がなくて、雇用の受け皿が不足しているからであろうが、新興国のほうが起業家精神が高い傾向にある。

20世紀を通じて、科学系のノーベル賞受賞者の年齢は平均でも6歳上昇している。また、40歳未満で受賞した人物は非常に少ない。ジョーンズ教授は、コンピューター技術の分野では若くしてすぐれた才能を見せる人物がいるが、医学、薬学、バイオ、ナノテク、クリーンエネルギーなどの分野では経験あるものが有利たと実証研究から述べている。

組織にも多様性があったほうがいい。私が思うに、日本企業がグローバルな舞台でなかなか結果を出せない理由の一つに、日本企業の経営幹部の会議が非常に同質性が高いことが挙げられるのではないか。

・年上、年下双方が、お互いをプロとしてリスペクトする ・仕事が人生のすべてではないと割り切る ・プロとしてお互いのスキルを合わせて成果を目指す この3点が、これからの時代、最も成果を上げる秘訣だろう。

日本人ほど格差もなく所得の高い人種はそうそういません。食事もおいしいし治安も良い最高の国です。

日本語は偉大です。スーパー言語だと思います。言葉一つだけでボディランゲージもいらずにその先まで連想できるほど素晴らしい言語です。その言語のおかげでモノづくりの匠が生まれたと思うほどです。

妙なぜいたくな長続きはしないことがわかったのだ。バブルは崩壊したが、バブルが残した優れたセンスやタッチは、建物から衣類、食事まで、ある種の”文化遺産”として社会に残った。若い世代は、成金として気恥ずかしくなるくらいのぜいたくをしてきた世代を「なんだかなあ」と横目に育ってきた。これらの世代は、バブルから成金根性を抜いた。当時生み出された文化のエッセンスのみを享受しているのだ。

江戸時代も絢爛豪華な文化が栄えた時代だが、誰もがその豊かな文化を謳歌できる社会ではなかった。これだけ平均的に豊かで、センスのいいものに囲まれている時代は今までなかったのではないか?そういう意味で日本史上最高にセンスのいい日本人が生まれているのだと思う。

物欲でなければ、今の若者の”頑張り”の源は何なのか?今の若者世代には、私の頃と比較して「社会にインパクトを与えたい」「好きなことをした」「世の中に貢献をしたい」という”志”をモチベーションにしている人が多いのではないか。

志はとても立派だ。しかし、彼らに足りないのは、自分の土台を作り、しっかりと力を蓄えないとそんなことはできないという自覚だ。自らを救えない人間に他人は救えないし、社会にインパクトをあたえるためにはそれなりの存在にならないといけない。

・・儲からないと続かないし、たくさんの人を救い、社会にインパクトを与えることはできない。稼げない人間に世の中は変えられない」

職種や規模やビジョンにもよるが、これからは「専門職」と「部門のマネージャー」と「社長」を比較した場合、「誰が一番偉い華わからない」といっあフラットな組織づくりが求められるだろう。

そもそも日本社会が歴史的に豊かで安定した背景にはこのような「他人をうらやましがらない気質」があるのではないか。

これからの時代に有利な日本人が持つ美徳は以下の通りだ。 ・規律ある行動がとれる ・相手の立場に立って考えられる ・感性が豊かでセンスがいい  これらに磨きをかけ、活かせば、国内で十分戦える。そして、やがては世界がほしがる人材になるだろう。

・・過剰に英語を気にしすぎる必要はない。優先順位でいえば、自分が生きていく専門分野の能力のほうが大事だ。プロとしてそれにしげんを投入すべし。

現実の人生に存在するのは”合わせ技”の勝負だ。日本人は他の人種より器用なので、”合わせ技”勝負が向いていると思う。短所は長所、長所は短所なのが人生だ。

国際舞台では日本の対応は「空気が読める行動」だとは評価されていない。自分の思惑とはまったく違うシナリオを作り出してしまい、結果的に日中の外交関係だけではなく、経済関係も損ない、日本経済に深刻なダメージを与えた。なぜこんなに日本人が空気が読めなくなったのかというと、それは自立し、自ら責任を取る形で国際社会に向き合ってこなかったからだ。アメリカに「おんぶにだっこ」のままで、自分の決断の結果責任が自分に降りかかってくるとの危機感を持って、外交戦略を決断する訓練をしてこなかったからだ。

私の議員時代、中国共産党の幹部が来日し、ある興味深い本音を吐露してくれた。「こんな言い方をしたら悪いが、20年間ゼロ成長でも、街頭で反政府デモ一つ起きない日本が羨ましい。「社会の安定」こそ、われわれが目指すものだ。そのためにはひたすら成長をしないといけないのだが、いつまでも成長し続けることはできないだろう」

最後に私のモットーを読者の皆さんに送りたい。「明日死ぬ覚悟で生き、永遠に生きるつもりで夢見て計画を立てよ」というものだ。これは私が敬愛するアメリカの80代半ばの現役投資家から頂いた言葉だ。・・「明日死ぬかもしれない」との覚悟で生きていると、誰かにあっても、この機会で吸収すべきことは、全て得ようと思える。そして、全力を尽くし、一秒単位で時間を有効活用しようという動機が強まる。

10年間あるテーマで研究すれば、博士号をとってコンサルタントもできると思うし、中国語やスペイン語に打ち込めば、仕事でつかえるレベルになるだろう。陶芸でも料理でも農業でも、10年間打ち込めばその道で稼げるくらいになる。大事なことは、たとえ長期計画でも、一瞬一瞬を最高に活用するために「明日はない」との覚悟で向かうことだ。

言語文化は英語ですらそう簡単に世界中に広がらない。だから、「日本で芸や専門性を極める」ことと「グローバル化」はまったく矛盾しないのです。

必要なのは「富士山」型人材でしょう。富士山の頂上を高めるように自分の専門分野を追求すると同時にすそ野も広げるような人材です。そのためには、自分の専門分野を追求したうえで、プロテクトしないでオープンマインドになることが重要です。

横山 江戸時代の日本人が、今の感覚で何時まで働いていたかというと、実は14時まで。後は将棋をやったり賭け事をしたり、趣味に熱中したり、それが江戸っ子の生活でした。・・ヨーロッパやアメリカと違って、貴族に対する憧れもない。かつての日本で尊敬されていたのは、僧侶や学者そして篤農家や「教養ある商人」です。

戦前の帝国主義を肯定するわけでは決してありませんが、帝国の時代において、否応なく他者と向き合うことで鍛えられた、「開かれた構想力」があったのは事実です。無論、それは「暴力」という形をとる「帝国」というシステムを、反省的に振り返ったうえでの話ですが。

「知識」もしくは「情報」はどんどん増やすこともできますが、しかしそれらを持っているだけでは性がありません。それらを「知恵」を媒介にして繋ぎ、意味のプロ説に組み込むことがより求められるのです。』

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