私本太平記04 帝獄帖 (吉川英治著 青空文庫)
『南河内には、古い習慣がある。--嫁に行く折、柿の苗をもってゆき、嫁いだ家に植えるのだった。--やがて子を産みつくし、働きつくし、かつての花嫁も婆となって死ぬと、共に老いたる柿の木も伐って、薪とする。そして、その薪で火葬に付されて終わるのが、女の一生と約されていた。
「--合戦の慣い(ならい)です。一旦の勝負に一喜一憂なされたはなりません。正成一人生きて在りと聞し召すあいだは、お心丈夫にいつかは聖運の開かれるものと思し召しあっておよろしいかと存じまする。」 たしかに、彼に勝算などはなかったろう。
一揆とは、一式の意味である。
「いくら北条氏の怨敵とはいえ、きのうまでは、万乗の天使と、幕府も立てていたお方を、この冬空に火桶一つ許さぬなどは、下種の復讐し(しかえし)にも似て、武家根性が卑しまれる。決して高時公のお為にもならぬ。」』
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