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2014年1月28日 (火)

真田太平記 (十二) 雲の峰 (池波正太郎著 新潮社)

最後の3巻は、一気に読み上げてしまいました。壮大な物語でした。見事な生き方をした人々の物語でした。

『三九郎一積は、若いころから運命に逆らうことをせぬ人物であった。真田昌幸の血をわけた女を妻にしたときも、「水の流るままに・・・・・」したことだ。この「水の流るままに・・・・」というのが、三九郎の口ぐせだったという。

真田家の好意に対して、三九郎は受けるべきものは受け、辞退すべきものは辞退をし、おちつきはらっていた。ともかくも、何一つ欲がないのだし、立身出世を願うわけでもないのだから、どのような逆境に突き落とされても平気なのだ。

「おそれながら、御当家には、家中八百人余・・・・いや、士卒下人を含めて二千余人の家来どもと、その家族がおりますることを、お忘れくださいますな」 伊豆守信之は、しずかに、「心得てある」と、こたえた。登城した信之へ、将軍秀忠は、みずから、国替えを申しわたした。上田から信州・松代(長野市・松代町)へ、「移るように」と、命じたのである。真田信之は、落ち着きはらって、即座に、「ありがたき幸せに存じたてまつる」 平伏した。

大名の国替えは、たとえ有利な加増であっても迷惑この上ない。まったく違う風土と人心と習慣に当面して、新しい政治をおこなうむずかしさは筆舌につくせぬ。』

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