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2013年7月 7日 (日)

なぜ「これ」は健康にいのか (小林弘幸著 サンマーク出版)

久々に健康ものです。

「体が最も良い状態で機能するのは、実は、交感神経も副交感神経も両方高いレベルで活動している状態の時だったのです。

では、どういうときに人は病気になりやすいのでしょうか。結論をいうと、交感神経活動レベルが以上に高く、副交感神経活動レベルが極めて低いときです。この状態が持続すると、体のかちこちに不調が現れ、病気になってしまうのです。逆の場合、つまり、副交感神経活動レベルが強くて、交感神経活動レベルが低すぎる場合は、うつ病の傾向にあると言えます。

・・男性は三十歳を過ぎた頃に、女性はそれよりも十歳遅い四十歳を過ぎた頃に、それぞれ「体力の急激な衰え」を感じるということです。

副交感神経のレベルは、予想通り加齢とともに緩やかに下降していたのですが、男女ともに、ガクッと急降下する時期があったのです。そして、その年代こそが、男性は三十歳をすぎたあたり、女性は四十歳を過ぎたあたりだったのです。これは、先ほどの男女それぞれの体力低下がみられる時期と一致します。

筋肉の力を結果に結びつけるためには、筋肉を動かす神経や筋肉に栄養を供給している血管などを適切な状態にコントロールすることが必要です。そして、そうしたコントロールを可能にするのが、実は自律神経の力なのです。

・・筋肉の力を一〇〇%引き出すためには、自律神経のコントロールが不可欠なのです。

・・ウォーキングのほうがジョギングよりはるかに健康効果は高いのです。ジョギングは運動量が大きいため、どうしても呼吸が速く、浅くなり、副交感神経のレベルを下げてしまいます。とくに中高年は、そもそも副交感神経のレベルが低下しているので、それをさらに下げるような運動は、健康維持効果があるどころか、かえって体を老化へと追いやる可能性があるのです。

「背筋を伸ばす」といいのは、「気道」が開くからです。気道が開くと呼吸をしたときに肺に入ってくる酸素の量が増えます。

体を大切にするというのは、体を休めるということではありません。体が本来持っている機能を充分に働かせることができる状態に整えるということです。休むことは、そのための方法の一つでしかありません。

交感神経と副交感神経のバランスには日内変動があり、朝から日中にかけては交感神経が優位に働き、夕方から夜にかけては副交感神経が優位に働くというリズムがあります。

交感神経が働くと、体は活動的になるのですが、一か所だけ逆に活動が沈静化する場所があります。そらは「胃腸」、つまり消化器官の動きだけは低下するのです。胃腸の働きが活発になるのは、交感神経とはまったく逆の働きをもった副交感神経が働いているときです。

・・実は健康な人でも毎日何千個ものがん細胞が生まれているのです。がん細胞が毎日できているのに私たちががんにならずにすんでいるのは、免疫システムがそれらを排除してくれているからです。

血栓ができる原因は幾つからありますが、その最大の理由は、実は「血流」が悪くなることなのです。・・血流の動きをコントロールしているのは自律神経です。

・・血流が悪くなると、細胞の機能が低下するうえ、免疫力も低下してしまうのです。さらに血管がもろくなり血栓ができやすくなるのですから、血流が悪いというのは、一般の方々が考えている以上に体に悪い事なのです。

筋肉が硬くなった時、私たちはその「凝り」をとるために、揉んだり、マッサージしたりしますが、実はあれは筋肉がほぐれるからこりが解消するのではないのです。筋肉を揉むことでそこに走っている毛細血管の血流が促され、その結果として凝りが解消されるのです。

・・成人の血管をすべてつなぐと、その長さはなんと約十万キロメートルにも及ぶといわれています。・・これは地球の赤道を二周半もできる長さです。そして、自律神経は、その膨大な長さの血管すべてに沿って走っているのです。

・・糖尿病治療では食事のコントロールは必要不可欠です。ところが、食事を改善しても、交感神経が過剰に優位な人は、治療があまりうまくいきません。なぜなら、血流が悪いと、膵臓や腎臓など糖尿病と深くかかわっている諸臓器の機能が改善しないからです。・・・糖分は血管の内皮を傷つけるのです。

高齢者には体温が低くなる傾向が見られますが、これもたんに筋肉の量が減るからではありません。加齢とともに副交感神経が低下してしまうことが最大の要因です。

「余裕」を持った行動をしているかどうかが、実は自律神経のバランスに大きな影響を及ぼすからです。・・自律神経のバランスを精神状態で表すと、交感神経は「緊張・興奮」、副交感神経は「余裕・安心」ということができます。

・・いつも時間に追われているような行動をしていると、交感神経が上がった状態のまま、副交感神経が下がりっぱなしとなり、それが精神的健康のみならず、身体的健康さえも害していくのですから、けっしてあなどってはいけません。逆に云うと、このように、ふだんのちょっとした生活習慣を変えるだけで、下がりがちに副交感神経を上げることが出来ます。

なぜ朝は能力が高いのか、その理由を一言でいうと、自律神経のバランスがいいからです。・・早起きを活かせない場合、二つの要因が考えられます。一つは早起きをするために睡眠時間を削った場合です。・・もう一つ考えられるのは、朝すべきことをあらかじめ決めていない場合です。・・一つは、良質の睡眠を充分にとること。もう一つは前日のうちに、翌朝須恵器ことを決めておくこと。この二つができれば、「早起きは三文の徳」どころか、その日一日の生産性を上げ、されにはそうした日々を積み重ねることで、あなたの人生そのものを左右するほどのものにもなりえるのです。

睡眠不足は副交感神経のレベルを低下させ、自律神経のバランスを悪くさせます。自律神経のバランスが崩れると、血流が悪くなるので身体機能が低下します。

・・自律神経のバランスという点からみると、お酒の飲みすぎは最悪の生活習慣の一つです。なぜなら、深酒は睡眠不足と同じくらい自律神経のバランスを崩すからです。・・アルコールは体にとっては一種の興奮剤なので、交感神経を刺激し、副交感神経を低下させます。

一日三食しっかり食べてしまうと食べ過ぎになるというものの、やはり水分しかとらないよりしっかり食べたほうがいいといえます。なぜなら、食事をすると体温が上がりますし、かむことで、脳が刺激されるからです。また、ものを食べると心が落ち着くという効果もあります。ですから、食べ過ぎにさえならなければ、やはり「三食」食べたほうが体にいいといえます。

朝食の目的は大きく三つあります。まず一つは、副交感神経を上げること。二つ目は、血流が上がることです。私たちはものを食べると、吸収の過程で肝臓が働くので、肝臓に多くの血液が流れます。そしてその血液が全身にめぐることで全身の血流がよくなります。そして三つ目は、慌ただしい朝に「余裕」を生み出すということです。

食後に眠くならない食べ方のポイントは二つ。一つは「食前に三〇〇から五〇〇・程度の水を飲む」こと。もう一つは「腹八分の量を、できるだけゆっくり時間をかけてとる」ことです。・・食事をすることで交感神経が一気に高まりますが、食後、消化器官が動き出すことで一気に副交感神経優位に「急転換」します。実は食後の眠気はこの急転換が原因なのです。

・・もっとも驚いたのは呼吸を止めた瞬間に末梢血管に血液が流れにくくなることがわかったことでした。このことがなぜ大きな驚きなのかというと、呼吸には瞬間的に体の状態を変える力があることが分かったからです。

緊張したとき、深呼吸をすると心が落ち着くのは、末梢の血流量が増加するからです。心に余裕があったり、安心したりしているとき、人の呼吸はゆっくり深くなりますが、緊張すると無意識のうちに速く浅い呼吸に変わります。

現段階で自律神経を確実にコントロールできるのは何かというと「呼吸」なのです。呼吸が体に及ぼす影響はとても大きく、本当に一瞬にして体の状態を変えてしまいます。

もてる力を全て出し切りたいなら息を止めては絶対にいけません。息を止めたらその瞬間に末梢の血流が引いてしまうからです。一流の外科医は決して呼吸を止めません。彼らは呼吸を止めるのではなく、呼吸のリズムに合わせて指先を動かします。

緊張したときや焦ったとき、パニックを起こしそうなときは「ゆっくり息を吐く呼吸」をし、やる気が出ないときは「速く短く息を吐く呼吸」をすることで、自律神経のバランスを整えることが出来る、ということです。

こうした時間帯(朝)にもっとも適しているのは、物事を深く考えたり、発想力を必要とする仕事をすることです。この貴重な時間を、脳をほとんど使わないメールチェックに使ってしまうのは、あまりにももったいないことです。・・夕方三時以降は、・・こうした時間に適しているのは、あまり頭を使わなくてもできる機械的な作業です。

自律神経の状態から言って、朝におすすめなのは、なんといっても頭を使うことです。・・インプット作業より、より頭を使うこと、たとえば英語の勉強をしたり、企画を通すための作戦を考えたり、できるだけ頭を使うことを集中して行ったほうがいいのです。特に語学の勉強には朝はとても適しています。

緊張したとき、よく「肩の力を抜いて」といいますが、実は肩の力を抜くより効果的なことがあります。それは「手を開くこと」です。

・・手が右利きの人は左足が軸足で、左利きの人は身が足が軸足なのです。・・軸足の親指を封じれば相手の力をそぐことが出来る・・

笑うと副交感神経が上がる、ということは、副交感神経が上がれあリンパ球の活性が上がり、免疫力が高まることが分かっているわけですから、笑えば、たたおえそれがつくり笑いだったとしても免疫力が上がる、ということになります。

交感神経を過剰に高め、自律神経のバランスを崩してしまう最悪の習慣は「怒り」です。・・交感神経が過剰に緊張し、血管が収縮してしまうからです。・・血管が収縮すると血球破壊が生じるので血液はドロドロになっていきます。つまり、怒れば怒るほど体内では血液がドロドロに汚れていくのです。

スポーツでは一瞬の油断が大きなけがを招くとよく言いますが、まさにその通りです。なぜなら、油断は自律神経の乱れを招き、自律神経のバランスが崩れるとちょっとした反応にも体が対応できなくなってしまうからです。

イラついているなと感じた時や、あせっているときほど「ゆっくり」運転することを心がけるようになっていったのです。・・実際、あせったときほど、ゆっくり運転すると、結果的に早く目的地に着くことができるのです。

自律神経のバランスはとても不思議な力を持っています。バランスがいい人は、その人本人のとっていいだけでなく、実は周囲にいる人たちにもいい影響を与えます。そして逆に、自律神経のバランスの悪い人は、その人にとって悪いだけでなく、周囲の人たちにも悪影響を及ぼしてしまいます。

私たちはいい音楽や美しい風景に接すると心が穏やかになります。これは、副交感神経が上がり、自律神経のバランスが整うからです。

一流の外科医は、ひとつの手術の前に行う準備が普通のドクターとは格段に違います。わかりやすい例を挙げれば、ごく普通の外科医が教科書を一冊読んでから手術に入るとしたら、一流の外科医は十冊の本を読んでから手術に臨んでいます。・・勉強量の差が手術の時に「余裕」の差となって現れたのです。

私の心に引っ掛かるある言葉がありました。その名医といわれていた恩師の外科医がよく使っていた「ゆっくり、早く」という言葉でした。

・・人が失敗を犯しやすい条件として「自信がないとき」「予期せぬことがおこったとき」「環境が悪いとき」「体調が悪いとき」という四つの状況をあげます。そして、これらの根本に共通してあるのが、「不安」の感情です。・・不安とは、交感神経だけが高ぶって副交感神経が一切働いていないという、自律神経のバランスが極めて乱れた状態です。』

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