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2012年11月24日 (土)

2014年、中国は崩壊する (宇田川敬介著 扶桑社)

少し以前に読了しましたが、記録したい事項が多く、掲示が遅れました。非常に刺激的な内容です。

『世界の歴史を見てみると、長期ヴィジョンを見失った国は弱くなる。日清、日露戦争でいえば、清王朝とロシア帝国の劣化は抗いようもなく、ともに若き日本に敗れている。かくのごとく長期ヴィジョンは重要なものだが、現在の日本にそれがあるのか、と問われるといささか心もとないのも事実である。

・・中国の長期ヴィジョンは、「マルクス・レーニン主義的、そして毛沢東の理念に従った社会主義革命を行い、世界を社会主義に変えていくこと」だとわかる。その手順としては市場経済を導入し、「豊かになれる人から豊かになり、豊かになったら貧しい人を助ける」というのが方法論だ。・・とはいえ、国家は長期ヴィジョンのみで動いているわけではない。・・当然、中国は短期的なヴィジョンをこなしながら、長期ヴィジョンを実現しようとしている。短期的なヴィジョンでは、「鄧小平理論」が最も大きく作用している。13億もの中国人民を生活させるには、支配を拡大し経済の安定を図らなければならないからだ。

このまま短期ヴィジョンである経済発展路線を突き進む場合は、共産党政権が市場経済をコントロールし、計画経済の予測の範囲で経済成長が続くことを示さなければならない。・・そのために人民の政府である中国国務院はかなり無理をしている。その最たるものが、紙幣を大量に刷っていることだ。・・「8%成長」と決めれば、現在の資本に8%の成長分を上乗せし、そのうえ、海外流出分をさらに上乗せしなければ、「8%成長」は成し遂げられない。そして、その不足分を補うためには紙幣を刷るしかない。

中国は日本だけでなく他の国々や地域に対しても、まず不法侵入し、相手の反応を見ながら徐々に武力を行使し、そして最終的には自国の領土とする手段を使う。その手段において、中国共産党は「人」を使う。個人の人権よりも社会主義の維持や全体主義が重視される中国にとって、人を盾にも武器にも使うことは容易なことだ。

中国では代表者による独裁政治が行われているイメージもあるが、外交面での対応を見ているとそうでないことがわかる。共産党という集団によって独裁が行われているものの、その中にはさまざなま派閥があり、常に一つではないのだ。

・・中国共産党は「間違わない」ということが、求心力の一つとなっている。そのために、尖閣問題でも引くことはない。過去を否定するときは、その発言を行った人々の粛清を伴うからだ。つまり、中国は一度「尖閣諸島は中国の領有である」と主張した以上、それを否定し取り下げることはないのだ。これこそがメンツ社会中国であり、同時に共産党の求心力なのだ。

日本人を相手に仕かける場合は、まずは相手の身辺調査が行われる。調査を行う一方で、表からは普通に接触する。特に日本人の場合は、外観が同じものを信用しやすく、「まさか自分は騙されない」と考えているため、たとえば、中国人クラブで言い寄ってきた女性に気軽の情報を漏らすことがよくある。・・そして、用済みになれば躊躇なく捨てる。人が「余っている」中国において、人を重要視するという習慣はない。その点においては、日本人の美学とは正反対と言えよう。

中国は大国であるがゆえに慎重な部分があり、データのない相手に対しては、特に慎重に事を運ぶ。

中国は社会主義国家であり資本主義経済を選択していない。貨幣経済ではあるが、それはあくまでも「社会主義的市場経済」でしかない。・・中国共産党は共産党の保有している資産分を、国内で通貨として流通させている。つまり、共産党の保有する資産が多くなれば、その限度まで通貨を発行できる。逆に言えば、通貨発行が限度に達すると、どこかの資産を奪い取らねば通貨を発行できないのだ。

そもそも「中国人」という定義が難しい。中国で「中国人」という場合、チベットや新疆ウイグル自治区も含まれ、台湾も入る。「一つの中国」という概念を掲げている以上は、「中国とされる地域にいるすべての人」が「中国人」である。しかし、現実にはチベットや新疆鵜意義る自治区、台湾の人びとは自分を中国人だとは思わない。まず、彼らは「中国人」といいながら、満州族(女真族)やウイグル族(維吾爾族)など55民族を少数民族と呼び、彼らを人口の94%にあたる漢族が支配している。・・少数民族の文字や文化は中等教育までで、高等教育や大学教育では北京語以外の教育を認めていない。また、漢族を大量に少数民族居住地に入植させ、混血によって漢族化する「民族浄化作戦」が行われている。

大連市の小学校では「中国の文化や秩序を失えば妖怪になる。だから、しっかりといい人間になってください」と教える。しかも、「中国の外にいる人々は、中国を食べにくる妖怪かもしれません。十分に注意し、そして中国が強くなって、三蔵法師のように異国を安全に通れるように、中国を広げなければなりません。孫悟空のように力強く国を護らなければ、中国はいつしか妖怪の国になります。皆さんの時代にそうならないように、しっかりと勉強してください」と教育するのだ。

チベットや新疆ウイグルなどの自治区以外の少数民族があまり大きな声をあげないのは、中国共産党の力による支配に加え、政策や計画経済がその宣言通りに、貧富の差はあるものの何とか食べて行けるくらいに生活が維持できているという点にある。

大まかな法律は定められているものの、その法律を執行する明確な基準がなく、執行する人の「裁量権」が広すぎるために、日本人からすると「人治国家」に映るのだ。・・』中国人は自分にすべての裁量権があると信じて疑わない。権限があれあ、その裁量権を最大限に使うのが中国人の習性なのだ。

ダメもとですぐにわかる嘘をつくので「中国人はうそつき」というイメージが出来上がる。しかも、なかには諦めてしまう日本人がいるので、彼等にも嘘をついた方が得だという計算が働くのだ。そういった場合に嘘を封じる方法がある。それは、契約相手よりも上位の人間を立会人にすることだ。彼らは階級社会に生きていいるので、上位の立会人のメンツを潰すことはできない。・・逆に、階級構造の外にいる外国人には何をしても構わないというのが流儀である。

日本人は「メンツ」といえば、「面目」や「体裁」といった概念をイメージするだろう。しかし、中国ではそれが社会的な地位に直結し、権利と結びついて収入を左右する。

中国人が集まると、個人はその集団の相互監視にさらされる。集団内でのメンツを重視するあまり、急進的で過激な行動をとる人が出てくるのだ。

中国における下層民衆の形成は歴史が古い。中国を初めて統一した秦の始皇帝が王朝を開いたときから、王朝が替わるたびに上層部は入れ替わるものの、農民を中心とした下層民衆はそのまま綿々と現在まで下層民衆としての暮らしを営んできた。しかし、下層民衆は一方的に虐げられるだけの存在ではない。中国の歴史を繙くと、下層民衆が常に歴史を担い、節目節目に登場する。・・とはいえ、下層民衆は、「下層階級」として一体化しているわけではない。組織ごと、地理的な郷里ごと、商売別、または、前科者やアウトローなどの前歴ごとにさまざまなコミュニティを形成している。・・もちろん、彼等には「一般の中国人」との格差に不満がたまっている。しかしその不満という力は常に爆発するのではなく、何かきっかけがあったときに大爆発を起こす。

「・・人口は13億人、実際はそれ以上いると思うが、それだけの人びとを貧富の差はあっても最低限食べさせていく、生活させていくということはとても大変である。・・共産党独裁でなくてもいいが、それで生活が困窮するならば困る」というのだ。・・ほとんどの中国人がこう答えるのだ。共産党員がこう発言するのは誰でも想像できるだろう。しかし、共産党の幹部のみならず、貧富の差、身分の差、地域の差、生活水準の差に関係なく、ほとんどの中国人がこう答えるのだ。

一つ言えることは、文化大革命のように、他国との交流がなかった時代とは違い、中国マネーが世界各国を席巻し、また各国の企業が中国に投資している現在、バブルが崩壊すれば、その影響はリーマンショックを凌駕するものになるということだろう。

何よりも、中国人民は「生活に困窮しない」からこそ、共産党の一党独裁体制を消極的ながらも認めてきた。しかしバブル崩壊によって景気が大幅に後退し、生活が困窮する事態になれば、一党独裁体制を認めなくなる可能性がある。中国の崩壊はこの一点にかかっていると言えよう。

中国の経済は、「社会主義という一党独裁の政治体制という名の『コマ』が勢いよく回っていて、その上に『資本主義・自由競争経済』という不安定な高層ビルが立っている」図をイメージするといいだろう。しかし、そのコマである共産党一党独裁は、実際には文化大革命によって大きなダメージを受けている。・・文化大革命の直後は、日本が残した数々の工場施設や資源などで「夢の国」と言われていた朝鮮からも支援を受けていたほどである。今の中国の発展からは考えられない状態がそこにはあったのだ。

・・わが目を疑う光景を目にする。警察官二人は、なんと遺体の手と足をもって、田舎道の横にある崖の下に放り投げたのである。運転手に「なにがあったのか?」と聞くと、彼は「黒子だった」と言う。要するに「人ではなかった」のだ。そもそもこの世に存在していないので、轢いたところでついにならず、警察も「人」として扱うことはなかった。

海に面している土地が少ない中国にあって塩は重要で、海の塩と、チベットなどにある岩塩が政府によって販売されるようになった。

・・2001年の建党祝賀大会で資本家や企業家が共産党員になることを認める演説によって成し遂げられる。中国共産党がプロレタリア革命を捨て、ブルジョアジーを政治体制の中に組み込むことを正式に認めたのだ。これによって中国共産党支配下にあった国有企業は、共産党から一定の権限を与えられた企業資本家として活躍するようになった。

政治権力を背景にした経済は著しい発展を遂げたが、一方で権限や権力を持たない者、またはドロップアウトした者に対しては冷酷な競争社会となり、その所得と権限、ステータスの格差は広がる一方だった。この格差の拡大が現在のバブル経済の実態である。

・・中国の国土にあるすべての物品や不動産が通貨発行のもととなっているのである。ここで、「すべての物品や不動産」と書いたのには理由がある。中国の場合、私有財産を認めていないので、そこにあるものはすべて国家のものになる。「接収」という概念があるということは、所有権の放棄を命令できる権限を持っているということだ。

中国の地下経済社会は独立した経済圏だ。とはいえ、自給自足でも独立国家のような経済ではない。この「経済圏」は、物理的に一般社会と離れているのではなく、階級的または人的に上下に分離しているのである。そして、二つの経済圏は別々の規則と習慣で運営されているというのが正しい解釈だ。

地下経済においては、一般社会のルールではなく、下層社会のルールがある。その下層社会のルールは、驚くことに中国共産党による価値観にのっとっていない。あくまで下層社会のなかで決められた独立したシステムであり、その社会には共産党といえども刑事事件などがない限りは介入することができないのだ。

下層社会は中国共産党よりもずっと前、秦の始皇帝の時代から続いている。その間、為政者は下層社会を完全に支配できず、国家内における別組織のように扱ってきた。中国内部には、国家に必要でありながら、政府が支配できない大多数の人々が存在しているのだ。

国際社会の常識を無視してでも政権維持に努めねばならない。為政者の政治が間違っていないことをしょうめいしなければ、下層社会に突き上げられ、暴動や政権転覆の口実を与えられてしまうのだ。そのようの基本的な構造に「メンツ」が相まって中国の社会と経済を形作っている。

下層社会には巨額の資金が循環する経済システムがあるため、ボスなどの幹部を数人逮捕したところで崩壊はしない。経済システムは一般の社会にとっても必要で、重慶市の政府であっても地下経済を利用しなければならない。改革するためには、下層社会の構造自体を崩壊しなければならないが、大多数を占める人民からは歓迎されない。

中国の人民にはさまざなま不満がある。特に下層社会は、なぜ自分たちが下層なのかという不満を抱いている。インターネットで欧米や日本の情報に触れ、成功する機会の少なさにいらだちを感じているのだ。また、存在自体を否定されている「戸籍のない者」の不満は根強い。

基本的な構造として人民解放軍は、下層社会でもある郷里を敵に回すことができない。現在の人民解放軍は、このようなことを避けるために、出身地から遠く離れた部隊に所属させるシステムになっているが、実際は、郷里の関係者がいることを理由に群立に背く者が後を絶たない。また、軍の幹部も、よほどの上層部でなければ自分にも郷里があるので、部下の違反に寛容な態度にならざるを得ないのだ。

下層民衆を制御する手立ては経済の発展以外にない、と書いた。経済の発展こそ、現在の中国人民の支持を得られる唯一の解である。

逆の見方をすれば、領土を拡大しなければならないほど、8%成長を継続することは困難になっている。しかし、下層民衆の政治不信をおさえるためには、経済を成長させ続けなければならないというジレンマに陥っているのだ。

・・領土拡張の試みは、方々で理不尽な歪みと軋轢を生んでいる。まさにナチス・ドイツが国家社会主義を唱えながら産業革命と軍拡を行い、経済的な矛盾を解消するために戦争を始めたのと同じで、周辺国の警戒と世界各国の反発を招いている。そのために、軍備を拡大しているが、その状況もまたナチス・ドイツと同じなのだ。

筆者はこれらの理由から、下層民衆が中心となって中国共産党政府と対立し、欲望のままに拡大主義を自主的に進めると予測している。現在の体制が続く限り、よほどの画期的な改革がなければ、チベットや内モンゴルなどの地方自治区の反乱、人民解放軍による内乱、あるいは、下層民衆をはじめとする中国人民によるあらゆる手段を使った政府転覆の企てによって、共産党体制は倒されるだろう。

崩壊といった場合、天安門事件のような武力衝突がきっかけになるとは限らない。・・むしろ、市政府など地方政府に経済的な圧力をかけて買収し、無血革命のようなかたちをとりながら、一党独裁体制を切り崩していく。そして、それは現在、進行中だ。それでも、デモ行動や武力衝突が起きるのは、社会全体の「歪み」が顕在化し、下層民衆への同情が中国国内に伝播していった場合だ。そうなればまた、天安門事件が起きるかもしれない。しかし、それは一つの象徴的な事象ではあるが、それがきっかけで崩壊に至るのではない。これらは崩壊の過程にあって先鋭化した活動家が行うものだ。武力衝突は崩壊の象徴として行われ、体制が崩壊する過程であることを表しているのだ。

現在の一党独裁が崩壊しても、どの方向に国家が向かっていくのか、誰がどのような国家をつくるのかはまったくわからない。それは中国の歴史そのものがそうしたことの繰り返しであり、内乱も長期ヴィジョンや国家観に基づいたものではないからだ。

わが国は資源だけでなく食料も中国への依存度が高い。冷凍食品の多くは中国産が多く、原材料がほかの国であっても加工工場は中国という現状がある。今後は中国に原材料を供給している国に対して原材料の確保を行うと同時に、それらの加工を日本でも行えるようにしておかなければならない。

他方の可能性は戦争である。中国が現在のまま国家社会主義を推進しながら市場経済を発展、継続させるには「拡大主義」以外にはありえない。国境をめぐる紛争はもちろん、アメリカ、ロシア、インドなどと戦争が始まってしまえば、中国は外部の敵に対峙するという意味で、内部からの崩壊を免れることができる。もちろん、これはソフトランディングではないが、中国の崩壊を避ける一つの手段であることに違いはない。』

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