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2012年10月 8日 (月)

三橋貴明の日本経済の真実がよくわかる本 (三橋貴明著 PHP研究所)

三橋貴明氏の経済の本を読んでみました。経済に疎い私にもわかりやすく説明されていると思いますが、他の著者の本も今後読んでみなければいけないと思っています。

『よく勘違いされていますが、「輸出=GDP(国内総生産)」ではありません。輸出ももちろんGDPに関係していますが、日本において輸出入がGDPにかかわっている部分は非常に少なく、1%ぐらいしかありません。それではGDPとは何なのか。実はGDPには支出面、生産面、分配面の3種類があります。この3種類はそれぞれ算定の方法がちがいますが、最終的にはすべて同じ数字になります。この3つのGDPが必ず一致することを「三面等価の原則」と呼びます。

輸入をすればGDPは減っていきます。つまり、輸出そのものがGDPに組み込まれているわけではなく、輸入と輸出の差が純輸出としてGDPに計上されるのです。純輸出が日本のGDPに占める割合は非常に小さく、2010年度の数字では、5.4兆円しかありません。

いまの日本は困ったとことに、1997年以降、実質GDPは増えているのにもかかわらず、物価が下がっており、名目GDPが横ばいの状態を延々と続けています。これこそがまさしく「デフレ」と呼ばれる現象です。実質的には、生産やサービスの総量が増えているのに、価格が下がってしまっているので、名目値のGDPが増えないのです。

なぜ名目GDPが成長しないと問題なのでしょうか。理由は、政府が借りた負債、いわゆる「国の借金」と呼ばれるお金は、名目値で返さなければならないためです。

バブルとは何か。・・民間、具体的には家計と企業が、「借金をして資産をどんどん買っていく(投資)」という経済活動が爆発的に膨張することです。

頂点に達したときから、一気に資産価格が価格を始めるのがバブル崩壊です。

バブルが崩壊すると、どの企業も借金を返済することが先決となり、投資が行われなくなってしまうのです。・・GDPは個人消費と民間投資と政府支出と純輸出の合計ですので、どんなに家計や企業が借金を返しても、GDPは1円も増えません。・・GDPが半分になるということは、国民の所得が半分になったということです。

銀行などに貯蓄されたお金を政府が借り入れる行為が、国債の発行なのです。

国債というのは、国民が過酷に貯蓄したお金を、政府が金融機関を通じて借入借金のことです。ギリシャなどヨーロッパで問題となっている国々は、外国(主にドイツやフランス)の国民が稼いだGDPから貯蓄に回ったお金を借りているために、自国内でやりくりができず、焦げ付きが連鎖していしまったいるのです。)

デフレとインフレの境目は何によって判断するとかというと、失業率と物価上昇率です。デフレになると失業率が上がり、物価が下がります。

日本銀行券とは、「日本銀行が発行した借用証書」という意味です。つまり皆さんの財布に入っているお札は、日本銀行が負っている「借金」なのです。・・つまり現金は、国民にとっては資産ですが、日銀にとっては負債なのです。・・単に、国債は返済と金利の支払いが必要で、日本銀行券は返済も利払いも不要というだけの話です。

日銀が発行した「現金」「日銀預け金」、それと政府発行の5兆円分の「硬貨」。この3つをあわせたものを「マネタリーベース」と呼びます。・・お金というのは、使っても消えません。銀行や企業、家計などの間をぐるぐると回っているだけなのです。・・社会全体に流通するお金の量は、元のマネタリーベースという「日本政府(日本銀行)が発行した日本円という通貨」の何倍にも増えていきます。この仕組みを、経済学では「信用創造」と呼び、資本主義経済の基本をなす機能となっています。また、信用創造の機能が働いた結果、元のマネタリーベースの何倍にも膨らんだ社会全体のお金は、「マネーストック」と呼ばれます。日本の場合、マネタリーベースが100兆円程度で、マネーストックは700兆円から800兆円あたりで推移しています。

インフレになれば、企業はさらなる設備投資をする余裕ができますので、日本の供給能力がたかまります。これこそが、本来の意味における国民経済の成長なのです。要は金利水準とインフレ率をきちんと見ながら、政府は国債を発行し、日銀に国債を買い取らせればよいだけの話なのです。

歴史を振り返ると、ハイパーインフレになった国には共通する特徴があります。一つは国内の物資やサービスの供給能力が崩壊したときです。・・そもそも戦争とは、国家同士が互いに相手国の生産設備をはじめとする「供給能力」を叩き壊しあう行為です。軍事で政府の支出という需要が拡大し、同時に供給が減るため、インフレになりやすいのです。

「借金=悪」と考える人は少なくありませんが、それは資本主義経済ではまったくの見当違いで、「借金=経済成長の原動力」なのです。デフレ脱却のためにどうすればいいか。金融政策と財務政策(需要の喚起)をパッケージとし、民間企業がお金を借りたくなるような形でやることです。

国民経済の目的にとって、貿易収支の黒字や赤字など、本来はどうでもいい話だ。なぜならば、国民経済の目的とは「国民の需要を満たすこと」あるいは「国民が豊かに、安全に暮らすことを実現すること」であるからだ。貿易収支が赤字だろうが、国民が豊かに、安全に暮らせているのであれば、別に問題はない。

解決策は簡単です。日銀がマネタリーペースを増やすこと。具体的には長期国債の買い取りです。アメリカを真似すればいいのです。さらに、日本政府は長期国債をどんどん発行し、東北の復興や全国のインフラ整備にひたするお金をつぎ込むのです。そうすれば・・「信用創造」の機能が働き、日本のマネーストックが増えます。マネーストックが増えれば、相対的にモノやサービスの価格が上がります。さらに、他国の通貨に対して円の価値が下がります。

人類の歴史上、大きな災害が起こった後に大増税した国は一つもありません。・・大震災が起こったことは大変悲しむべきことですが、その後の復興事業を上手にやりさえすれば、日本経済にとって確実に大きなプラスの影響を与えます。

消費税を社会保障の財源にするならば、時期についてよく考えるべきです。まずはデフレを脱却し、名目GDPが不可逆的に成長を始めたならば、検討してもよいでしょう。しかし、今の日本の消費税論議はそういう話になっていません。

現実はどうなのでしょうか。イギリスやドイツなど、電力自由化に踏み切った国の電気料金は、近年は上がっています。逆に日本はここ10年でみると、相対的に下がっています。なぜこうなるのでしょうか。・・結果、発電会社は地域ごとに競合会社とカルテルを結び、あるいはM&Aで寡占化が進んでしまい、電気代を値上げしてしまうのです。送電会社は・・「送電の義務」があるため、発電会社から電気を買わざるを得ません。最終的に、値上げ分は、消費者が払う電気代に転嫁されることになります。それが、イギリスやドイツで起こったことです。さらに送電部分まで自由化されると事態はより悪化します。・・アメリカの場合は、送電網を自由化したために、電線などのインフラに対する投資が激減し、老朽化した設備の故障などによってたびたび停電が起こるようになりました。

電力や水など、人間の命にかかわる公共サービスに関しては、市場原理にすべてをゆだねるのは間違いなのです。民間企業が、原発のような施設を持っていること自体が誤りだったといえるでしょう。

「成長か福祉か」「産業か国民生活か」という二者択一式の考え方は誤りである。福祉は天から降ってくるものではなく、外国から与えられるものでもない。日本人自身が自らのバイタリティーをもって経済を発展させ、その経済力によって築きあげるほかに必要な資金の出所はないのである。『日本列島改造論』・・社会保障の財源は、現実にはGDP(国民総生産)以外にはない・・政府の社会保障の「源泉」はGDP以外にはありえない。

「自由貿易」とは、いわば「相手の国の雇用を奪う」ことでもあります。・・互いに失業が問題化している国同士が貿易を自由化すれば、ますます失業率が高まってしまいます。したがって、今の日本、アメリカ、ヨーロッパは自由貿易に乗り出すべきではありません。中国のようなインフレの国と自由貿易をした場合、デフレの国である日本が一方的に損をします。日本の抱える諸問題の根底にあるデフレが悪化し、完全に立ち直れなくなってしまいます。

かつて、日本はアメリカのサービスを大々的に輸入したことがあります。すなわち、橋本政権時の「金融ビッグバン」です。97年以降、アメリカからたくさんの金融機関や生命保険会社などが日本市長の開拓に乗り出し、その結果、複数の日本の銀行や保険会社が倒産することになりました。プルデンシャル生命やアフラックなどは、金融ビッグバン後の日本の市場において、確たる地位を築きました。それと同じようなことが別のサービス業でも起こりうることを十分に予測しておくべきでしょう。

TPPの怖いところは、範囲が極端に広いことです。日本のマスコミでは農産物と工業製品の話しか出ていませんが、TPPで検討されている作業部会は24項目にものぼります。

ちなみに、アメリカ企業が日本でビジネスを展開する際に、最も邪魔な「非関税障壁」は「日本語」です。

TPPへの参加が日本にとって得か、損か、という質問にははっきりと「損です」と答えます。もし参加すれば、数年後には日本経済や社会、それに日本企業にも大きなデメリットがもたらされるでしょう。

アメリカで「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ、以下OWS)」という運動が広がりを見せ、全世界に波及しようとしている。・・OWS運動の歴史上の意義は、1980年代以降に世界に広まった新自由主義、特に「トリクルダウン理論」に反発する人々が立ち上がったという点にある。トリクルダウン理論とは、ずばり「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透する」という考え方になる。・・日本を含む先進富裕国において、国内の所得格差が拡大することになった。わが国でも確かに格差が拡大し(ジニ係数が上昇し)、社会問題にもなったが、本家本元であるアメリカのレベルは日本の比ではない。』

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