同盟国米国は、経済状態が厳しいにもかかわらず、日本などを守ろるため、本気になってくれてきています。わが国も、いつまでも甘えるのはやめて、また時間の浪費はやめて、優先度の高いことから速やかに実現していくべきです。
『 【ハロランの眼 太平洋の真中で】米太平洋陸軍 戦闘の抑止へ 高まる重要性
ベトナム戦争終結後、太平洋地域の米陸軍は、都会に来た貧しい田舎者のようになった。西欧へのソ連の脅威、湾岸戦争における砂漠の嵐作戦の展開、イラクやアフガニスタンでの長期の軍事行動のおかげで、他の地域の米陸軍よりも注目されなくなったのだ。
今日、その状況は変わりつつある。ホノルルのフォート・シャフターに本部を置く米太平洋陸軍(USARPAC)は、米本土外で最大の米陸軍部隊になりつつあり、軍事予算の削減にもかかわらず優先的な財源配分が約束されている。
太平洋陸軍の重要任務は抑止にある。その司令官、フランシス・ワーシンスキー中将は「戦いに勝利するだけでなく、それを阻止する努力も行う。最高の勝利は戦争よりも平和にある」と述べている。
以下がその新たな姿だ。
▽フォート・シャフターで指揮センター建設が始まった。既存の12の建物に代わり、最新の先端技術を駆使した情報、通信機器が設置される。第1段階の建設費用は2年間で4680万ドルに上る見込みだ。
▽イラクやアフガニスタンで任務に就いた17万人におよぶ太平洋陸軍兵士らの経験を生かし、アジア太平洋全域で他国の陸軍との合同訓練を重視する。
▽2011年に日本を襲った地震や津波、原発の放射能漏れ事故のような災害への対応準備に重点を置く。同中将は「太平洋で自然災害の危険がない場所などない」と指摘する。
▽韓国に駐留する第8軍をUSARPACの第8野戦軍に改編し、韓国防衛に加え他地域への遠征も担う。部隊を集約するため韓国政府が130億ドルを拠出し2つの基地を建設中。
▽おそらく韓国に駐在する大将をフォート・シャフターに移すことで、現在中将が担う太平洋陸軍の指揮権をゆくゆくは大将に移行する。この点はダニエル・イノウエ米上院議員(民主党)が強く要請している。
ワーシンスキー中将は「同胞の指揮官たち」にあてた白書で、太平洋陸軍の直近の将来像を披露した。白書は太平洋陸軍の方向性を知らせるために、同軍将官や旅団、大隊の指揮官、米政府機関幹部、アジア地域の軍高官に送られた。
計画の大半は、昨年オバマ米大統領がアジア太平洋地域の兵力の「転換(ピボット)」もしくは「再重点化(リバランシング)」を宣言する前に策定されたのだが、白書は「アジア太平洋地域への米国の新たな焦点」を強調している。
白書はまた、「この地域における米国の戦略的焦点には、多国間の協調した取り組みの重視がある」と指摘。軍の即応性の向上に加え、「地域の平和に有害な軍事的影響力を制限し、潜在的脅威を打ち消す」ことも目的だとしている。
この点は太平洋陸軍に特別な責任を負わせることになる。同陸軍は、米国の同盟国やパートナーを含む大多数のアジア諸国において優勢でしばしば最も影響力のある軍隊だからだ。
戦後の大半の期間、米国は諸外国での自軍の駐留や配置によって自国の安全保障上の義務を遂行してきた。これは今、米軍部隊が他国で数日から数週間訓練してその地にわずかな足跡を残して帰還するという取り組みに代わりつつある。
白書は、アジア太平洋地域や他の国々での、米国の信頼構築のための努力を重視する。「どのような国や政府も、同盟国、パートナー間での信頼や影響力を一気に増幅させることはできない」とし、「それは何年もかかる手の込んだプロセスだ」と強調している。
災害救助について、白書は多くの国で、軍隊は災害に即応できる唯一の組織だったと指摘。軍に対応を準備させるのは「議論の余地がなく、より大きな国際協力を必要とする防衛協力の一側面だ」としている。
他国の陸軍との協力関係構築や災害救助のような任務を強調する一方で、白書はこう締めくくっている。
「国家の戦争に勝利することはこれまでも、また今後もずっと、米陸軍にとって最重要の任務である」』
『憲法改正に「トモダチ」の支持を
今日の日本は、経済的にも軍事的にも膨張している中国や、核兵器計画に自らの正当性を求めるほかない不安定な北朝鮮の近隣に位置することに加えて、日常的にハッカーのサイバー攻撃を受けている。その多くが中国人で、一部が中国共産党や人民解放軍に是認されているのはまず確実だ。
≪無防備の現状に米国の責任も≫
米国は、日本に代わって憲法を起草し、周知の「不戦」をうたう第9条を含む草案を採択するよう強く求め、憲法改正を比較的困難なものにした以上、現状に対して多大な責任を負っている。
米国は第9条について、米国による原案から、多少制限を抑えた芦田均氏の提案による、最終草案への書き換えを認めはした。しかし、1950年以降、憲法に何らの修正を命じることもなく、考え方をほぼ全面転換して日本に再武装を開始させたのである。
その結果、合法的に創設された自衛隊が、非合法であるという感情を日本に生み、それは、とりわけ50年から70年にかけて強固だった。そして、憲法が改正されてこなかったがために、第9条は今日もなお、日本が普通の国であることに対して潜在的に危険な制約を加えかねないままである。
米国のさらなる責任は米上院の行動に起因する。上院は、28年のケロッグ・ブリアン条約(パリ不戦条約)が、すべての戦争を違法とうたうことから、一方的に布告された侵略戦争のみを違法とうたうことへと変更されるまで、条約の批准を承認しなかった。だが、自己の安全のためには条約の修正を要求した同じ米国が、20年もしないうちに第9条を強く迫り、日本のみを、将来の自由と独立への差し迫った深刻な脅威に対して無防備な状態に縛り付けた。
≪「国家安全保障法」の立法も≫
日本に警察予備隊の結成を指示した際には、憲法の改正を強く要請できたであろう50年当時とは違って、今日、米国には日本の憲法を改正する権限はない。しかし、米国は、共和、民主両党の政権下で60年余りもの間、日本に防衛能力を増強し始めるよう継続的に勧めてきたのだから、日本が第9条の改正を決定しても、あるいは、自衛隊の合法性と集団的自衛権を行使する自国の権利を、明確に規定する国家安全保障法案の可決を決めても、せめて、日本を批判することは慎むべきである。
筆者はたまたま、この4月16日に、ワシントンのシンクタンク、ヘリテージ財団で、石原慎太郎東京都知事が講演した後の解説者を務めた。日本の領土としての尖閣諸島の地位を強調するため、東京都による尖閣購入を試みるという石原知事の発言は、多くのメディアの注目を浴びた。講演ではしかし、知事は憲法改正の要求も穏やかに繰り返したのである。
どの国の国民も戦争のための戦争は欲しない。だが、わけても、国民が自国の独立を愛し自国を尊敬している国は、自らの自由に対する攻撃には、必要ならば武力によっても抵抗することを厭わないと表明する。国会で日本の防衛政策を非難された最中に、小泉純一郎元首相が「奴隷の平和は選ばない」と述べたように、自衛戦争に代わる許容可能な選択肢として奴隷をよしとする日本人が多いだろうとは、筆者は思わない。
仮に、ニュージーランドが自国憲法に第9条の米国原案のような条項を取り入れても、大事にはならないだろう。ニュージーランドは偶然にも、およそ考え得るいかなる脅威からも、はるか彼方にあるからだ。かつて、ニュージーランドの「学者」数人が時のデービッド・ロンギ同国首相の「純粋」な原子力艦船入港拒否政策を、日本が米海軍艦船に対して、核兵器を搭載していないとの保証を求めずに自国への寄港を「黙認」していることと対比させつつ、論争を挑んできたことがあった。
≪尖閣購入並みに多数が賛成≫
彼らの理不尽な言い分に、筆者は次のように反論したものだ。もしニュージーランドに二度と再び米艦船が寄港しないとしても、戦略的な重要度は取るに足らないものだろう。だが、米艦船の日本への寄港が妨げられれば、地域の、そして、地球規模の安全保障にとって極めて有害な帰結を招くだろう。日本が自国、米国、そして究極的にはニュージーランドにとっても深刻な脅威に対して戦略的な位置にあることを考えれば、と。筆者が彼らに、ロンギ氏が米大統領になったとして核兵器を放棄していただろうかと問うたところ、全員が恐らくそうはしていなかっただろうと静かに認めた。
今、日本の憲法を改正できるのは日本のみである。まさに、尖閣諸島を政府所有にしようとの石原知事の呼びかけに大多数の日本人が好意的に反応したように、憲法改正と国家安全保障法の立法のいずれか、もしくは両方とも、大多数の日本人に支持されるだろう、と筆者は考える。そして、もし日本がそうすると決断するのであれば、米国は日本の決定を批判すべきでないばかりか、「トモダチ作戦」でしたように、友達として温かい支持を差し伸べるべきだというのが筆者の見解である。』