静かな木 (新潮社 藤沢周平著)
藤沢周平氏の作品については、映画などは見たことがありましたが、本で読みのは初めてでした。しかし、一気に読めました。何か独特な読後感がある作風です。
『「甚之丞、この家の主はお前だ。」十左衛門はいかめしい顔つきで言った。「お前の思い通りにやればいいのだ。直の言うことなど聞くことはない。女子はもともと愚痴の多いものでな、いちいち聞いていてはきりがない。・・」
江戸にいる殿に申し上げたところ、殿は大層お喜びで、家老達が相談して片桐に手厚い褒賞をあたえよというお言葉をいただいた。「そこで河野大きさに鑑み、加増十石と決まった。兼松殿は、いま空席になっておる右筆組の頭に推してはどうかと言われたがわしは反対した。その意味は分かるな。口下手のことではない。そういう役には、そなたは不向きな人間だ」妻女の満江のほかに、藩中にもう一人権兵衛の小心を見抜いていた人物がいたことになる。
』
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