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2012年4月21日 (土)

世界の変化を知らない日本人  アメリカは日本をどう見ているのか(日高義樹著 徳間書店)

昨年5月に発行されたものですので、少し古い情報もありますが、以下について注目しました。

『アメリカの関係者は、原子力発電所に関する日本の技術のレベルはアメリカと同じであり、信頼に足るものではあるが、実際に原子力発電所の建設を許可する当局側の態度に問題があったとしている。アメリカ政府はレギュレーターとしての立場を強く自覚している。核兵器を最初に製造し、核分裂のもたらす大きな危険を十分に承知しているからである。

アメリカでは原子力産業が核戦略と密接につながっているため、アメリカ軍という大きな枠の中ですべてが処理される仕組みになっている。アメリカ軍は戦争の基本を核兵器においているため、核に関連するすべてを取り仕切るのである。

アメリカのマスコミやアメリカの人々は、事故そのものよりも、民主党と菅首相のやり方が、バランスの取れたこれまでの日本のやり方とまったく違っていることに驚いたのである。そして日本政府の対応に強い不信の念を抱いた。

アメリカの原子力産業に詳しい知人はこういった、「本来ならば、国家的な支援態勢がとられるべきだったが、日本政府はレギュレータとしての責任を口にしなかっただけでなく、人々の不安をかき立てるようなことばかりやった。東京電力よりも責められるべきは日本政府だ。」「レギュレータとしての責任を取らず、現実問題として日本がエネルギー源として頼らざるを得ない原子力エネルギーに負のイメージだけ与えた民主党政権こそ、給料をゼロにして責任を取るべきだろう」

日本を襲った未曾有の大災害の後、アメリカ海軍の二つの機動艦隊が、北は仙台沖、西は長崎沖つまり尖閣列島に近い場所に展開し、ひとつは救援活動、もうひとつが大掛かりな軍事演習を行ったことは注目すべきである。太平洋のアメリカ軍がこのように全面的に行動に入り、戦争に近い組織的な行動をとったのは、中国が大震災の混乱を利用して、尖閣列島を占領したりするのではないかと懸念されたからだ。

(米軍ベーカー中佐の言)(グローバルホークの最も優れている点を聞かれて)「耐久力でしょう。30時間以上も飛び続けられます。有人航空機に比べてはるかに長い時間、懸念される地域まで飛行して、そこにどとまり、監視して、問題が何かを突き止めることができます。」

「中国は、戦わずしてアジアの覇権を確立しようとしている。」アメリカの戦略家達はこう言い始めている。日本が今度の大災害で経済的に大きな打撃を受け、アメリカもまた膨大な財政赤字を抱えて、アメリカ軍を本土へ引き揚げざるを得なくなってくれば、中国が戦わずしてアジア極東の覇権を手にすることも不可能ではなくなる。

「日本の外相が中国外相に会って、核戦力を削減するよう頼んだが、中国外相は嘲笑しただけだった。日本の民主党政権は、中国が日本と同じ考え方をしていないことに大きなショックを受けた。」これはシュレジンジャー博士が話してくれたことである。

中国は、広い国土は持ってはいるが、依然として発展途上国であり、軍事力の強化と核兵器の開発は大きな負担になっている。「中国が200発以上の核爆弾を作ろうとしないのは、経済的にも政治的にもそれ以上の核兵器を持つことができないからだ。」ハドソン研究所の中国専門家がこういっているが、中国は経済力が許せば、さらに多数の核兵器を保有したいと考えている。

核兵器を持つ場合、日本の政治家にとって難しいのは、日本の核兵器を受け入れさせるために、世界各国の指導者と話し合い、駆け引きすることである。そういった駆け引きをするためには、見えないところで、日本の持てるあらゆる力を行使しなければならないが、民主党の政治家達にはそういった力の行使は、考え付くことも実行することもできないだろう。

シュレジンジャー元国防長官は、以前岡田外相に対して「公の場と、そうでない場所ではまるで違ったことを言う」と腹を立てていたことがあるが、一国の大臣が嘘つきまがいの行動をとることが理解できない様子だった。・・・日本の民主党の政治家には、日本人としての誇りが見られない。こうした人々の非常識な言動が、日本の評価をおとしめ、日本の国益に大きな損害を与えているのだ。

(シュレジンジャー博士は)「民主党政権の首脳は、表では核兵器反対といいながら、非公式な席上では、アメリカの核の傘は必要だ、などと発言している」こう言ったときには本当に怒っている様子が伺えた。

「もちろん日本が核兵器を作るのは自由だ。だが我々は日本が核兵器を持たないように働きかけている。日本が核兵器を持つのをやめさせようというのがアメリカの防衛戦略の一部になっている。」

中国共産党の首脳は、その多くがアメリカに留学し、アメリカ的な教育を受けている。・・中国とアメリカの間には、日本が想像もできないほど緊密なパイプが存在している。

アメリカ国防総省の日本関係者は、日本とともにソビエトに対し冷戦を戦っているという意識が強かったために、国務省の官僚たちとは違って、日本を大事に扱った。

アメリカ政府の担当者からすると、民主党の政治家達は簡単に約束を破ったり、前言を撤回したりする。・・こうした民主党政権の態度にアメリカが強い不信の念を抱くようになったのは当然である。

民主党の政治家はいまやアメリカの誰からも信用されていない。その結果、世界の政治家の誰からも受け入れられていないのである。

これまでの日本の政治家は、どのような危機にあっても事実を述べ、苦しい状態を切り抜けてきたのだ。「日本人は正直で、しかも誠実である」歴代のアメリカ大統領は私にいつもこういった。

世界における力と政治は真空を嫌う。

ブッシュ大統領が、多くの人々の反対を押し切って昭和天皇の葬儀に出席したのは、・・アメリカ大統領としてこれまでの日米関係にピリオドを打ち、新しい関係を作ろうという思いがあったからだ。日本で、ブッシュ大統領のこの思いに気づいた人は多くなかったが、ブッシュ大統領が天皇陛下の葬儀に出席したことによって、アメリカの人々は日米両国とも過去の関係に決別したと思ったようである。

アメリカの人々はハーバード大学をユダヤ系の名門大学だと見ている。アメリカでは、ユダヤ人はとにかく頭がよいといわれている。頭のよい学生を集めているハーバード大学に、頭のよいユダヤ人の子弟が沢山入っているのは当然のことで、ハーバードの構内で意思を投げるとユダヤ人に当たる、と言われている。

1970年代から80年代にかけては、日本と同じようにドイツが経済的な発展を遂げ、ヨーロッパとアメリカの関係が変わり始めていた。ドイツの人々はどちらかと言えば、アメリカを見下していた。・・シュレーダー首相にインタビューし、彼のアメリカに対する対抗心に驚いたことがある。・・「・・ヨーロッパが統一されれば、アメリカも我々を真剣に取り扱わざるを得なくなる。ヨーロッパの国々が個別に話をするよりは、真剣になるだろう。私はアメリカの経済力と政治力を恐れてはいない。アメリカは偉大な民主主義国家だ。社会的には弱いところがあるが、民主主義システムはシステムの中で改善されていく。したがって私はアメリカをおそれてはいない」アメリカの政治家がヨーロッパよりも日本を選んだのは当然だった。

アメリカの指導者達は、企業を大切にし、規律を守り、うそをつかないという日本の国民性を高く評価していた。したがって中後Kが台頭してアジアで影響力を強めてきたときにも、日本こそアジアでもっとも重要な同盟国であると考えていた。

国防総省の首脳は中国とはとうていまともな話ができないと思い始めている。彼らが中国にそういった感情を持ち始めたのは、中国の言っていることとやっていることが一致しない、つまり話し合いをしても「嘘ばかり言う」と感じているからだ。「中国は、公には平和を求めて努力すると言っているが、実際にはまったく反対のことをやっている」国防総省や軍部の友人達は、口をそろえてこういうようになった。

自民党が弱体化した最大の理由は、自民党政権を支えてきたシステムを小泉政権が崩壊させたからだ。小泉政権が行ったビッグバンによって銀行体制が壊れて力をなくすと同時に、政治的にも役に立たなくなった。そのうえ金融自由化と市場開放によって、農協の組織が壊滅し力を失った。郵便貯金制度も実質的に解体されてしまった。自民党が長い間政権を維持してきたのは、そうした組織を基盤として強力な官僚体制が作られていたからだが、その基盤が失われてしまった。仮に選挙があって自民党が勝ったとしても、昔のような権限と権力を持つことはないと、アメリカの専門家達は見ている。』

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