華岡青洲の妻 (有吉佐和子著 新潮文庫)
テレビでもやっているようですが、見ていません。家族が買っていたため読んでみました。嫁と姑の壮絶な関係を描写しており、夫として感じるところがありました。夫の実の妹が嫁に語る次の台詞が最も心に響きました。
『「姉さん、それでも男というものは凄いものやと思いなさらんかのし。お母はんと姉さんとのことを兄さんほどの人が気づかん筈はなかったと思うのに、横着に知らんふりを通して、お母はんにも姉さんにも薬を飲ませたのですやろ。どこの家の女同士の争いも、結句は男一人を養う役に立っているのとは違うんかしらん。この争いを裁く男はないし、巻き込まれるような弱い男はいわば肥の強すぎた橘のように萎えて枯れているようなものやわ。考えてみると姉さん、男と女というものはこの上ない怖ろしい間柄やのし。兄と妹というたら、これは全く別ものよし。もしこの病気が姉さんに出たのであったら、兄さんは刀とって裂いたかもしれへんわ。そやけど妹には何もようせえへんのですよし、そやから血縁の女きょうだいは男には役立たずで他家へ嫁に行かせられるのですやろ。こんなことはずっと昔からそうやったのですやろのし。それでこれからも永代続くのですやろのし、家があろうとあるまいと男と女はあるのですやろから、私はそういう世の中に二度と女には生まれ変わりとう思いませんのよし。私の一生では嫁に行かなんだのが何にも代え難い仕合せやったのやしてよし。嫁にも姑にもならいですんだのやもの」』
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