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2011年5月 5日 (木)

知らないではすまない中国の大問題 (サーチナ総合研究所 著  アスキー新書)

「中国の不動産バブルは本当に崩壊するのか?」「なぜホンダ工場で過激なストライキが発生したのか?」等等、多くの興味深い質問事項が小表題となって記述が進められていますが、すべてに明確な回答が述べられているわけではありません。しかし、一部には明確な回答があり、そうでないものについても回答を導き出すヒントのような事項について記述されています。私の目から見ますと、かなり中国に対し甘い見方のような気がする記述が多いですが、初めて知ったことなどもあり参考にはなりました。とりあえず書き記しておきたい内容は次のとおりです。

『中国の「不動産バブル」を加熱させている投機マネーの中で当局が特に頭を痛めているのが、海外から流入する「熱銭(ホットマネー)」。この主な源泉は、海外在住の華僑。流入の理由は、急速な経済発展に便乗し資金を増やす狙い。人民元はいつか必ず切りあがるという期待がある。中国当局も人民元を切り上げれば、ホットマネーの流入を抑制できるだけでなく、インフレ抑制効果、国民の購買力拡大の効果もあることを十分に理解している。しかし、急激な人民元高は、輸出産業が大きなダメージを受ける可能性があることや、外国の圧力に屈したという国民による中国政府への批判や反発を避けるため、外国からの人民元気利上げ要求をかたくなに拒否している。また、日本のようにバブルを崩壊させることになり、ひいては中国共産党の政権担当能力を疑わせることになることを怖れている。

中国の場合、中華人民共和国憲法では、中国共産党を「中華人民共和国を指導する政党」と明記している。国(中国政府)よりも中国共産党のほうが上に位置する。もしも中国共産党が政権を失えば、中国という国自体が「別の国」になってしまうことになる。

8%以上の経済成長に科学的根拠があるかは定かではないが、「保八」という明確な目標を掲げ、それを達成することによって「中国共産党はきちんと仕事をしているぞ」というメッセージを国民に強くアピールできる。

過激なストが中国全土で繰り広げられた背景には、格差の問題がある。労働争議に参加している若者たちは、内陸部などの地方から出稼ぎに来ている「農民工」と呼ばれる人々。なかには1日12時間以上とか、1ヶ月休みなしという過酷な条件で働かされているものもいる。にもかかわらず月給はせいぜい1000~2000元(1万3千円~2万6千円)

中国の名目GDPに占める個人消費の割合は35%(2009年)で、米国の約70%、日本の約60%に比べて著しく低いため、これを高めていくことが大きな課題。

中国人には、「現状」と「目標地点」を見極めたうえで両者を「最短距離の直線で結びつける」傾向がある。「諸事情に気配り」しながら物事を進める日本人との違いに驚くことも少なくない。

中国のインターネット人口は、約3億人に達し、米国を抜いて世界一。家庭用パソコンがかなり普及しているだけでなく、携帯電話でインターネットを閲覧する人も一億人を超えている。また、街中のインターネットカフェなら一時間1~2元(約13~26円)で利用できるので多くの若者が入り浸り、チャット、オンラインゲーム、映画・ドラマ鑑賞で楽しんでいる。

若者のほとんどすべてといっていいほどはまっているのが、「QQ」というインスタントメッセンジャー(チャット)サービス。アクティブアカウント数は4億8940万件に及ぶ(2009年9月30日現在)。中国の若者たちは知り合った相手と「QQ」のアカウントナンバーを交換し合うのが一般的。

「下水油」とは、レストランの厨房や家庭の台所から流れて排水管に溜まった廃油をすくいだし、それを濾過して新品のように再生した食用油のこと。このほか、生ごみや残飯などから作られるものや、揚げ物などで限界まで使った油を再生したものも「下水油」と総称される。普通の人でも食事10回のうち1回はこの有害な油を使った料理を食べている可能性が高いことが、2010年3月17日、中国の主要メディアがいっせいに報じたことで分かった。下種油の年間販売量は200万から300万トンと推計される。廃油集めをする人の中には、毎月一万元(約13万円)以上稼ぐ人もいるといわれる。これは一般のホワイトカラーの2倍近い収入。

中国では手抜き工事などによる建物の倒壊や道路の陥没、橋の崩落といって事故が枚挙にいとまなし。2009年7月23日河北省石家荘市に建設中の、完成後には高さ186mになる予定のテレビ塔が、突然の強風によって地上約56mと約70mの2箇所でぽっきり折れるという事故発生(折れた時間帯の風は秒速約20~24m程度)。同年6月27日に上海市内でおきた事故は、完成間近の13階建てマンションが、根元からばったりと倒れた。』

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