« 人を見抜く技術 (桜井章一著 講談α新書) | トップページ | 帝国陸軍の〈改革と抵抗〉  (黒野耐 著 講談社現代新書〉 »

2011年4月16日 (土)

くじけないこと (アルボムッレ・スマナサーラ著 角川SSC新書)

スリランカ上座仏教長老による著作です。書店でぱらぱら読んでよさそうだったので購入しました。口述をまとめて文書にしているためもあるのでしょうが、私には矛盾していると思われる箇所や宗教家としては世俗に過ぎるのではないかと感じられる部分が散見されます。それでも、いくつかの箇所はなるほどと思いましたので書き留めておきます。

『実際、自分は今の瞬間だけ現実的に生きているのです。何をするにも今の瞬間にしなくてはいけないのです。今の1分より先の1分は存在しない、後の1分も存在しないのです。具体的に存在する、今の1分で、やるべきことをやるしかないのです。それを行わないで、過去のことでできなかったことに悩んだり、将来に関してやらなくてはいけないことを妄想したりすると、今の時間は無駄になります。今の時間を無駄にする人は、人生そのものを無駄にするのです。

「因縁」とは、現実であり、ブッダの教えの中心でもあります。・・・大事なのは過去の因縁ではありません。過去は変えられません。現在の因縁が大事です。それは管理できます。因縁とは、一切を把握している真理です。すべてを知り尽くすことはできないのです。しかし、何があってもそれに相応しい原因があって起きたものだと理解することで十分です。その原因の中でも、現在、目の前にある原因だけを発見すれば、人生を良い方向に進めるように制御することができるのです。

現実的に、存在するのは何なのでしょうか。それは、今の瞬間のことのみです。ということは、私の人生は、『今の瞬間』という一点に絞れます。今の瞬間のことなら、現実的で具体的なものです。この80年間という概念は、実在するものではなく、頭の観念に過ぎないのです。・・このように思うと、80年間の悩み苦しみも期待感も消えて、人生は極限に楽に変わってしまいます。現実とは今の瞬間のみだと知っている人には、悩みに値するものはないのです。失敗する恐れがあることも、やり遂げられない難しいことも、ないのです。

・・自然に守るならば、道徳的な良い人間になるはずだったのに、それが法律になったところで、人間が束縛されて道徳性も失ってしまうのです。嘘をつかないことは道徳です。嘘をついてはならないと法律で定めると、罰則も入るし、道徳性も消えるし、脅しにもなるし、心の自由もなくなるのです。よい人間になるチャンスを国や自治体が奪ってしまうのです。

人間が作るものは、何であっても矛盾が出てくるものです。人間には、矛盾のないものを作ることはできないのです。・・これが積み重なって、社会は今、矛盾にあふれています。「じゃあ、打つ手なしじゃないか」と開き直ってしまうと、先に進むことができません。何をやっても無駄だと判断し、無気力になってしまいます。・・なぜ人は、いつでも綱渡り人生を送っていることを意識できないのでしょう。それは「自分の考えに執着しているから」です。・・人はもとから、危険な綱渡りで生きていると知ることです。そうすれば無知な安心感、保守主義的な気持ちに執着しなくなりますし、心穏やかに判断できるようになってきます。綱渡り状態でいると知ることは、むしろ落ち着いた心理状態を作ることになります。そして、落ち着いた心の状態を作れた人が、人格者なのです。

すべては流れて消えてゆく、はかないものです。それを素直に認めましょう。それに上手に慣れるようにしましょう。自分も流れて消えてゆく。世の中も流れて消えてゆく。世界は無常です。・・無常に納得すれば、楽しみを見出すことも安穏な気持ちでいることもできるのです。・・無理に楽しさを留めようとするのは、変化に逆らうことです。すると、苦しくなります。・・無常には逆らえません。

無常を認める人にとっては、衰えて死んでしまうことも楽しい出来事です。・・すべてが無常であることを知り、楽しみがその瞬間ごとのものであることが理解できれば、すべての変化を受け入れられるようになります。無常を知る人は決してくじけません。

毎日はゲームそのもの・・人生は、やらなければならないゲームだから参加するのです。重要なのはどこまでゲームを進められるかに挑戦すること。ゲームには制約はありません。新しいステージがどんどん現れるエンドレスゲームです。・・人生ゲームには完全クリアはありません。自分が死ぬまでステージを一つずつクリアして進むことです。・・・ゲームは進めば進むほど簡単になるようなものではありません。進むたびに複雑になるのです。・・人生というゲームの場合も、過去のことに足を引っ張られると、今のことができなくて大失敗をする。将来のことに期待を寄せると、また今の人生は大失敗する。過去の経験を生かしているのだから、過去を思い出す必要なないのです。』

« 人を見抜く技術 (桜井章一著 講談α新書) | トップページ | 帝国陸軍の〈改革と抵抗〉  (黒野耐 著 講談社現代新書〉 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« 人を見抜く技術 (桜井章一著 講談α新書) | トップページ | 帝国陸軍の〈改革と抵抗〉  (黒野耐 著 講談社現代新書〉 »