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2011年3月31日 (木)

ほんとうに頭がよくなる「速読脳」のつくり方 苫米地英人著 PHP文庫

これまでの速読本とは異なる内容でした。新しい発見もあり、試してみたいことなどは次のとおりです。

○速読には読者側がもともと持っている知識量が何より大切
○ゲシュタルトを構築すること、すなわち個々の情報の断片を統合することによって「意味ある全体像」をつむぎだすことが大切
○一冊の本を本当に理解するには何度も読むことが必要
○人間の生体時間(クロックサイクル)をあげることで速読実現可能
 →クロックサイクルを加速させて、自身がハイサイクル化されることで実現
 (具体的には)ステップ1 速読意識の醸成、
        ステップ2 「先読み」の習得
               読むのはあくまでも1行であるが、2行目(隣の行)の文字も情報として意識する。できるようになれば、3行読み、4行読み
        ステップ3 自身をハイサイクル化するためのトレーニング
             ・生活全般のスピードを上げる。特に「思考の加速化」重要。思考をイメージ化することで可能となる
             ・ハイスピードツイート・リーディング 読書の際にできる限り早口で読み上げる。ぶつぶつつぶやくように。ただし、文章はしっかり理解。言葉を読み上げた瞬間、その意味が脳内で理解できるようにする。ノンフィクションものがトレーニングには向いている
             ・ニュースに反論する・・・短時間で反論するトレーニング。キャスターがニュースを読んでいる間に最低5つの疑問提示。できるようなればこれへの反論を考える。肯定と否定を5つずつ考える
単純作業の「慣れ」とはあたらな脳内ネットワークの構築のことで作業を無意識化する。これとは異なる心地よさのクロックサイクル(コンフォートクロックサイクル)により人のタスク処理能力は上がる。
並列度を上げるトレーニング・・・人間の脳は並列化をもっととも得意とする
             ・レストランでメニューをすべて見てから注文するものを1秒で決める、・共感覚(聴覚情報を色として捉えたり、視覚情報を音として捉えたりする能力)を意識、・デュアルインプットトレーニング・・・写真集と絵本を目の前に置き3秒ほど眺めて同時にページをめくる。最初のページに何が移っていたかを具体的にイメージする
○抽象度を上げる・・・視点を、物事を大きなサイズで捉えるものに変える
○小説はIQを高めるには最高の活字媒体
○読まなくていい本を見つけるための方法
 ・フォトリーディング・・・毎秒1ページを超えるスピードでページをめくり写真を撮るように本の情報を脳に送り込む。(ページをぱっと見ただけで無意識に情報は取り込まれている。) 大切なのは「無意識」から「意識」に上げることだが、「これは大切だ」と意識することが必要。つまり、自分にとり何が大切なのかをはっきり意識知ること。このためにみ事前情報は必要。したがって、内容を知らない本を読む場合には適さない。しかし、「自分にとり重要かどうかを判定したい」意思があれば有効
 ・キーワードリーディング・・・ある単語に焦点をあてて、その単語が出てきたときにその前後の文章を読むやり方。この方法ではスコトーマ(盲点)の原理が働き、新しい知識は入ってこない。
○読んでいてスーと頭に入るほうが効果的で、脳機能にとってもよい結果が出る。読んでいてつまらないと思ったらその本は途中でもいいからやめる、というのも捨てる読書のひとつ。もう一度あの本を読んでみようと思ったら読めばよい。自分の成長を感じる上でもつまらないと思った本は一旦やめ、面白い本を読むことを勧める。
○電子化で滅びたアメリカの新聞業界・・・ネットの出現によって、新聞の速報性は失われ、広告もネットに奪われた。まさに、氷河期の恐竜にもたとえられるが、氷河期に強いのは、小型の動物(フットワークのいいものが生き残る。) サバイバルのヒントは小型化と知識量。恐竜が滅んだ理由は、目の前にある餌を餌として見えていなかったこと。餌とはこういう形のものだという思う込みが、目の前にある食べ物を認識できなくさせてしまった。
○ほとんどの有用な情報は公開されたデータ。そこにアクセスするかしないか、あるいは早くアクセスできるかどうかは、さほど大したことではない。「知識」とは、データとデータを意味づけしてつなげる力、つまり「認識力」。知識量とは持ってるデータ量の多さだけではなく、データ同士を関連付ける能力によって左右される。→本当に鍛えるべきは、大脳の前頭前野で、抽象力を上げるトレーニングが必要。これは形の変わった餌を認識するための能力を高めることで、「広さ」、「高さ」の双方を高める必要あり。
・「広さを出す」トレーニング・・・フレームを変えることによって、これまで見えなかったものが見えてくる。例 聖徳太子「一を聞いて十を知る」とは、脳機能的解説では、聖徳太子は初めから十を聞いている。周りが一しか聞こえていないだけ。人は思った以上に自分以外の人を見ていない。周りの人の服装、髪型、話の内容をよく見聞きすることは、視点を一つ増やすことにつながる。
・「高さを上げる」トレーニング・・・社長のフレームでものを考える。これによりプレッシャーに強くなるメリットもある。
○自分が重要だと思っていない情報はRAS(Reticular Activating System::不要な情報は捨てる脳機能)のよりふるい落とされる。その重要度を決めるの「イメージ」。したがって最悪をイメージすることは進められない。成功のイメージ、最高のイメージの方がよい。基本は自分が成功した姿を具体的に思い浮かべ、こうなりたいと思えば、脳はそのために最高の貢献をしてくれる。
○メディア・リタラシーとの付き合い方
 公平な放送というのは世界中のどこにも存在しない。世の中に絶対的に正しいことなど何一つない。もしあるというなら、それは思考停止の状態なだけ。
○ゲシュタルトを二つもつということは難しいが、やり方しだいではできる。その方法が、「二足のわらじ方式」。今の仕事とは違う仕事を脳内でやる。これには、作曲や小説を書くなどのクリエイティブなものが最も向いている。特に小説を書くことは、成功イメージを具体的にするのに最も効果的。
○速く本を読むためには、読書をしながら脳内でイメージを作ることが重要。→その著者の人格になってしまうことが最も効果的。→「著者になりきって読む」「最低3回は同じ本を読む」ゲシュタルトを構築するために必要。同じ本を4回、5回も読むことが嫌ならば、同じ著者の違う本を読むことでも可。
○多重人格は、今では記憶障害であるということが、医学的にも証明されている。強いストレスで副腎皮質からコルチゾルが分泌され、短期記憶をつかさどる海馬の細胞を破壊する→海馬が持っていた記憶も消失する。 多重人格はこの破壊が進みすぎて記憶のつじつまが合わなくなることで発生するもので、ぶつ切りになった記憶の断片一つ一つが独立した人格のようになるもの。このことは逆に多くの人格を脳は同時に維持できることを意味している。自分以外の人格を持つことは危機回避にも使える。

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